任天堂ゲームサウンドのすべて PART2
1.効果音がなければゲームはつまらない!

音にかける職人たち クリエイター インタビュー


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音符任天堂は効果音にこだわっている!
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--任天堂の効果音の特徴ってあるんですか。

写真近藤 特徴というよりも、効果音に関してはどこにも負けていないと思います。ちゃんと作りこんでいるし、いろいろな音が全部出ていますし。最近、他社さんのゲームをやったんですけど、足音がいまいちだったんですよ。やっぱり、うちはちゃんとやっているなあと思いました。容量も、サウンド全体の中で半分は効果音に使っています。CD-ROMのゲームで、曲には力を入れていても効果音はノイズだけでしか作っていないようなゲームもありますよね。でも、本当は、音楽も効果音もどちらも重要だと思うんです。

稲垣 パソコンゲームの流れで、家庭用のゲームも、あまり効果音に力を入れない傾向があると思うんです。ゲーム全体でも、せいぜい効果音は50個くらいとか。NINTENDO64のゲームの場合は、常に500個くらいは音を用意しています。『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』にいたっては、声も入れて2000個もあったんですよ。

--そうなんですか! それはすごい!

稲垣 これは自分でも自慢なんです。『時のオカリナ』ですでに1200くらいあったので、続編の『ムジュラ』の開発を始める時に1200をとりあえず600に減らしたんですよ。でも、開発を進めていくうちに『ムジュラ』用に新しい音をどんどん足していったら、合計で2000を越えてしまったという。

--2000もあると、自分でもどの音をどこで使ったかわからないですね。

写真稲垣 ええ。そうですね。「爆発」とかいっても20くらいファイルがあったりするんです。プログラマさんが勝手に使っていたりすると、「これは違うアイテムの爆発音だから、爆弾のときには使わないでくれ」とか言って。どこが違うんだと言われると困るんですけど、作っているほうとしては違う音なんですよね。

--それだけ音が多いと、作業も多くなりますね。全体を把握するだけでも大変ですね。

稲垣 たとえば、地上地形の担当者だったら、その地上地形のことだけ理解していればいいという部分があります。だけど、効果音の担当者は、ゲーム全体のネタやシナリオを全部わかっていないと、音が作れないんです。もちろん、開発モードで簡単に行ける場所もあるんですけど、時には自力でプレイしてみなくてはなりません。プレイしながら「ここはこういう音をつけようかな」と思っていると、敵にやられてしまって「もう1回」とか。

--サウンドプログラマといっても、いろいろな作業があるんですね。

写真阪東 最後に、ひとつ言いたいんですけど……。外に集音用のマイクを持って音を録音しにいくと、必ずヘンな人だと間違えられるんですよ(笑)。それが辛いですね。以前、車のエンジン音を録音していたら、けげんな感じで「環境団体のかたですか?」と聞かれまして。決して不審者ではないので、京都のみなさんは温かく見守ってください。


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