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(なつ)一人で なんとか頑張ります。
うわ~!
♪~
(坂場)大丈夫?
大丈夫…。
か… 勘違いしないで下さい。
(坂場)ん? 何ですか…。
これ!
これ! これ! これ! これ! これ!これ! これ! これ! これ!
あっ あっ… ああっ! あ~…!
ああっ… えっ…。
お~…!
♪~
よし…。
出来た…。
なつよ 何が出来た?
早く見せろ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
また これで見て下さい。(下山)うん。
マコさんも お願いします。
(下山)どれどれっと…。
ん?
ん? あっ…。
(笑い声)
面白い。えっ… そですか!
うん 面白いよ…ちょっと マコちゃんも見て。
(麻子)はい。うん。
(ひづめの音)
(いななき)
♪~
どうですか?
♪~
前足 4本描いたの?はい。
それなら 指定された動画枚数の中でもたくさん動いてるように見えますしそれに タメを作
っても一連の動きの勢いを殺さないと思ったんです!
うん…何か 物を こう振り下ろす時とかに勢いをつけるために残像を バッて描くことある
んだけどここまで はっきり 残像を描いた動画初めて見た。
(麻子)あなたが考えたの?はい。
うわ~!
ちょっとしたはずみで思いついたんです。
はずみ…。マコさん どう思いますか?
私は…まあ 面白いと思うわよ。
えっ 本当ですか!?
ただ 仕上げでの色のつけ方次第かなという気もします。
やってみないと うまくいくかどうか分からないっていうのが正直な感想ね。はい。
よし じゃ これ仲さんと井戸さんに相談してくる。
うん。はい。
♪~
(井戸原)見て 仲ちゃん。仲さん すいませんこれ ちょっと見て下さい。井戸さん どうぞ
…。
あなたのせいで全体のスケジュールが遅れてるんだから早く 次の動画取りかかってちょ
うだいね。
はい。
(桃代)ふ~ん… それじゃその北海道から一緒に来た友達が急に 川村屋を辞めるって
話だったの?あの時は。
あ… そう。あの時は そのまま帰っちゃってごめんね。
急に あの人あの… 坂場さんと2人にされてどうしようかと思ったわ。
モモッチ 坂場さんのこと嫌いになった?
いや そんなことないわよ。
なっちゃんは どうなの?
いや… 私は ちょっと苦手かな。
話してると 知らないうちに 自分が崖っぷちに追い詰められてる気がする。
ああ… 分かる。
ねえ だけど もしかして…その崖から落ちた時恋に落ちてたりするかもよ?
何言ってんの?
そんなこと あるわけないっしょ!
そう?うん。
(露木)これは何だ!こんな動画を 誰が描いた?
ああ 露木さん どうかされました?
どうして 馬の前足が 4本もあるんだ?
ああ。 残像ですよ。
は? 残像というのは動画を見る人の目に残るもんだろ。
そんなもん 絵に描いたら不自然って呼ばれるんだよ。
すいません… それは 私が描きました。
誰が描いたかは 問題じゃない。
問題は 誰が許したかだ!
私が許しました。
お前な…。私も許しました。
(仲)僕も許します。は?
僕も いいと思います。
仲ちゃん 井戸さんさ本当に これでいいのか?
うまくいくのかね?
分かりませんが やってみましょうよ。
やってみなければ ダメだということも分からないじゃないですか。
東洋動画には ディズニーのような予算も時間も人手もありません。
あるのは 若い情熱だけです。
それを 我々が どう生かすかです。
世界の壁を越えようとするならそこに賭けるしかないじゃないですか露木さん。
分かったよ…。
そこまで言うのなら いいだろう。
今回は これで やってみっか。
(一同)ありがとうございます。
じゃ せっかく来て頂いたわけですからこのまま 打ち合わせやっちゃいませんか?
ねえ 監督。いいですね。どうぞ どうぞ…。
行きましょう。
♪~
(ノック)・(妙子)は~い。
(妙子)あっ…。おばさん!なっちゃん。
心配して来てくれたんかい?
雪次郎君は?雪次郎 なっちゃん。
(雪次郎)よっ。
上がって。すいません。
はい はい どうぞ どうぞ。お邪魔します。
ここ 座って。
はい。ありがとうございます。
おばさん…。(妙子)うん?
雪次郎君 許してもらえたんですか?
それは まだ。
だけど 今はこの部屋で生きてんだからねちょっとは ましにしてやんないと。
なっちゃんはこうなることが分かってたのかい…。
ん?
父さんと 川村屋で働いてた時は本当に 自分が何してんだって思ったわ。
自分が間違ってるって思ったわ。
たまんなかったな。
そんなら 役者の夢は諦めんの?
諦めたくはねえけどな…やっぱり やめるべきだ。
そこ迷ったらみんなが ますます心配するだけっしょ。
そだね。 なっちゃんの言うとおりだわ。
俺だって 我慢して川村屋にいたわけじゃねえよ。
父さんの夢はな 俺の夢でもあるんだわ。
ただ ほかのことを後悔したくなかっただけだ。
あ~あ…。
この体が 2つあればいいのにな!
悪かったね。 兄弟生んでやれなくて。
そったらこと言ってねえべ。
おじさんは?
川村屋さんにいるの。
この子が いつでも戻れるように自分が働いて居場所を作っておくからって。
えっ…。
♪~
おじさん。
(雪之助)あ なっちゃん。
(光子)雪之助さん今日は もういいですからなっちゃんとお話でもしたらどうですか?
はい…。
すいません。すいません。
(野上)テーブルに こぼさないようにご注意下さい。
「覆水盆に返らず」。
ごゆっくり どうぞ。
さすがは野上さんだ。嫌みにも気品がある。
今の嫌みですか?
私はね なっちゃん 決して雪次郎に嫌みで こんなことしてるわけじゃないんだよ。
分かってます。
雪次郎には 雪次郎の夢があるのは分かる。
だけど 私にも 私の夢がある。
いや… 生き方がある。
はい。
それを 雪次郎君も よく分かってました。
自分のために おじさんにこんな思いをさせるのは たまんないって。
あの店は… 雪月は私だけで つくったんじゃないんだよ。
強いて言えばおふくろの生き方そのものなんだ。
とよばあちゃんの?
(亜矢美)お酒 お強いんですか?
(とよ)私かい? 強いよ。
(雪之助)おふくろが開拓した…。俺は その生き方を尊重してきた。
(妙子)はいよ。うわ~!
(2人)頂きます。
(雪之助)雪月を俺は何としても守らなくちゃならん…。いずれ 雪次郎に渡してやらなくち
ゃならん。
そう思って 今は生きてるんだ。
それは間違ってるかい?
俺は それでも雪次郎を苦しめてるだけかい?
なっちゃん。
それは…間違ってないから雪次郎君は つらいんです。
雪次郎君は ちゃんと家族を大事にして生きてると思います。