コラム

朝ドラには欠かせない、ヒロインの恋愛模様。幼なじみとの恋、三角関係、道ならぬ恋など…作品ごとに描き方はさまざまです。切ない恋愛模様やプロポーズが印象的な作品を、前編・後編にわたってご紹介します。
前編では、以下の作品をピックアップ。作品名をクリックすると該当部分に移動します。

第98作「半分、青い。」 ■第92作「まれ」 
第90作「花子とアン」 
第88作「あまちゃん」 
第85作「カーネーション」 ■第77作「ちりとてちん」 
第74作「純情きらり」 ■第69作「てるてる家族」 
第64作「ちゅらさん」

幼なじみのソウルメイト

ヒロイン・楡野鈴愛(すずめ・永野芽郁)と萩尾 律(佐藤 健)は、同じ日、同じ病院で生まれた幼なじみ。鈴愛にとって律は、いつも自分を助けてくれるヒーロー。鈴愛の左耳が聞こえなくなったときにも、そばにいて支えてくれたのは律だった。2人はお互いを支え合う“ソウルメイト”として成長していく。

私と律にドキドキは似合わない

ある雨の日、傘をさしながら家路につく2人。ノーベル賞をとることが夢である律は、左耳が聞こえない鈴愛のために、いつか“雨の音がきれいに聞こえる傘”を発明することを約束する。そして、鈴愛のスカートにかかった泥水を、自分のパーカーでふいてあげた。その姿にドキドキする鈴愛だったが、“私と律にそんなことは似合わない”と自らに言い聞かせ、その気持ちをしまい込んでしまう。

律の大切さ

高校卒業後、鈴愛は漫画家になるため、律は大学入学のために上京。律は大学で初恋の女性と偶然再会し、付き合い始める。一方、鈴愛も律の友人に恋をするが、失恋。傷ついた鈴愛を元気づける律。鈴愛は改めて律が大事な存在であることを自覚し、律の恋人に嫉妬。三角関係の修羅場へと発展してしまう。そして律は恋人のため、鈴愛と距離を置くことを決意。

5年ぶりの再会、突然のプロポーズ

5年後、2人は故郷である岐阜・梟(ふくろう)町で再会。恋人とは別れ、就職が決まったという律は、鈴愛に「結婚しないか」と、突然のプロポーズ。しかし、鈴愛は漫画を頑張りたかったため、プロポーズを断ってしまう。

人生経験を積み、ビジネスパートナーへ

それから月日が流れ、漫画家をやめた鈴愛と、大阪の企業に勤める律は、お互い別の人との結婚・子育て・離婚を経験。う余曲折を経て、やがて2人はビジネスパートナーとなる。
公私にわたって支え合うことになった2人は、お互いへの愛情を深めていく。しかし、この関係が壊れることを恐れ、なかなか前に踏み出せない。

毛布の中でキス

そんなある日の朝、オフィスで眠っている律を見つけた鈴愛は、そっと近寄り、その寝顔に吸い寄せられるように顔を近づけていく。すると、目を覚ました律が、思わず身を引こうとする鈴愛の手を握る。毛布を持ち上げ、「入る?」と律。毛布にくるまったまま、抱き合う2人。最初は違和感を持つ鈴愛だが、律の温かさを感じ、そっと目を閉じる。そして2人は静かにキスを交わす――。

あの日の約束

こうして、お互いの気持ちを確認し合った2人。誕生日である七夕の日、律は高校生のときに約束した“雨の音がきれいに聞こえる傘”を鈴愛にプレゼント。そして「律のそばにいられますように」「鈴愛を幸せにできますように」というお互いの願いごとを伝え合い、新たな一歩を踏み出したのだった。

“夢”への拒否反応

幼いころ、破産寸前で、一家で石川・能登に移り住んだヒロイン・津村 希(まれ・土屋太鳳)は、そこで出会った紺谷圭太(山﨑賢人)と恋に落ちる。

高校生のとき、希は圭太から告白されるが、「漆職人になりたい」という夢を熱く語る圭太の言葉に、ジンマシンが出てしまう。夢追い人で家族に苦労をかけ続けた父のせいで、希は夢を持つことが大嫌いだったのだ。圭太からの告白にどう答えていいのか分からなくなり、希が返事を保留していると、圭太には別の恋人ができてしまう。

ファーストキスを奪われ…

夢を持つことが嫌いだったものの、パティシエの夢を捨てきれなかった希は、周囲から背中を押され、修業のために横浜へ。希はそこで出会った池畑大輔(柳楽優弥)にファーストキスを奪われ、心ひかれていく。同じく希に好意を抱いていた大輔から告白されるが、大輔がしばらく海外で仕事をすることになってしまい、交際は保留に。

揺れる心

大輔の帰りを待つ間、成人式のために能登に帰省した希は、圭太が恋人と別れていたことを知り、心乱れてしまう。圭太と大輔――自分の気持ちに混乱する希。

そんな中、希と圭太が組み、輪島塗とケーキのコラボレーションをする話が持ち上がる。イベントの準備を通して、さらに距離を縮めていく2人。そこへ、大輔が日本に戻ってくる。希は大輔と付き合うことを決意するが、やっぱり圭太のことが忘れられない。そんな自分に嫌気がさした希は、大輔に自分の気持ちを正直に告げ、別れることに。

音楽で通じ合う2人

大成功に終わったコラボレーションイベントのあと、希と圭太は、ミュージシャンを目指す同級生のライブを見に行く。そこで2人に向けられたラブソングが演奏される。その歌に胸を打たれた希は、その場でついに圭太に告白。そして、キス――。
こうして、すれ違い続けた2人の恋が、ようやく実を結んだのだった。

圭太の修業が年季明けしたのち、2人は結婚。当初は遠距離結婚だったが、のちに希は能登へ戻り、ケーキ店を開業。双子の子どもにも恵まれ、家庭と仕事を両立しながら希は“世界一のパティシエ”を目指していく。

運命の出会い

東京の女学校で英米文学に親しみ、翻訳に目覚めたヒロイン・安東はな(吉高由里子)は、出版社でアルバイトを始める。そこで出会ったのが、印刷会社で働く村岡英治(鈴木亮平)。英治ははなの翻訳を賞賛し、英英辞典をプレゼントする。そこから、英治ははなにとって気になる存在に。
女学校卒業後、故郷の山梨で小学校の代用教員として6年間働いたのち、出版社で働くため再び上京。

腹心の友の“第六感”

腹心の友・葉山蓮子(仲間由紀恵)と10年ぶりに再会することになったはな。するとその場に、英治がやって来る。実は英治は、はなが逢い引きするのではというウワサを聞き、気になってやって来たのだ。そんな英治の様子を見た蓮子は、英治のはなへの思いを確信する。

親友を後押しするために蓮子は、はなが英治からもらった英英辞典に「この辞書の送り主はずっと前から、はなちゃんの心の中にいたのね。自分の気持ちに素直になりなさい」という手紙を忍ばせる。はなはその手紙によって初めて、自分の夢をこれまで支えてくれていたのが英治だったことに気が付く。

道ならぬ恋

その翌日、はなは勢い余って英治に告白。動揺し、大雨の中を逃げるように家路へ向かうはなだが、追いかけてきた英治に強く抱きしめられる。しかし、なぜかその翌日の英治の態度がそっけない。さらに「夕べのことは忘れてください」と、謝罪までされてしまう。
実は、英治は既婚者だったのだ。英治の妻は結核を患い、入院していた。そのことをはなは知ってしまい、“道ならぬ恋”として、英治を忘れようと決意する。

英治の思い

新雑誌の刊行に力を注ぐはな。しかし、雑誌に掲載されるはなの翻訳作品のために英治が描いた挿絵を見て、心が揺らぐ。それは、はなへの思いが込められたものだったのだ。

完成した雑誌を妻に見せる英治。妻は英治の挿絵と翻訳者のはなの名前を見て、英治がはなに思いを寄せていることを察する。そして英治に離縁を言い渡す。「(英治には)自分のことは引きずらずに誰かと一緒に生きてほしい」という遺言を英治の弟・郁弥(町田啓太)に告げ、この世を去る。傷心したはなと英治は、それぞれ仕事に没頭していく。

決意のプロポーズ

半年後のクリスマスパーティー。はなに思いを寄せていた幼なじみ・朝市(窪田正孝)が英治に「はなの気持ちを受け取ってやってほしい、はなと一緒になるのは英治でなければならない」と説得。さらに、郁弥から妻の遺言を聞かされ、ついに英治ははなにプロポーズ。はなも受け入れ、2人は結ばれた。

親友との出会い

高校2年生のヒロイン・天野アキ(能年玲奈)は、母・春子(小泉今日子)の故郷である岩手県・北三陸に移り住む。海女の祖母・夏(宮本信子)に影響され、アキは海女さんを目指すことに。

北三陸でアキは、アイドルを目指す足立ユイ(橋本 愛)と出会い、親友となる。ユイと一緒に北三陸鉄道の一日車掌を務めたアキは、その楽しさから自分が進むべき道について悩み始める。

一目ぼれ

ある日、高校の潜水土木科の授業を見に行ったアキは、そこで出会った3年生の種市浩一(福士蒼汰)に一目ぼれ。潜水土木科の訓練にも魅了され、普通科から潜水土木科に編入する。種市に「潜水士の試験に受かったらデートをしてほしい」とお願いしたアキは、苦しみながらも試験に合格! しかし、約束のデートは種市にはぐらかされてしまう。

愛の告白からの衝撃の事実

北三陸鉄道存続のため、「お座敷列車」のイベントに一役買うことになった、アキとユイ。本番に向けて歌のレッスンに励むが、アキは種市への恋心に浮かれて練習に身が入らない。そこで、思い切って種市に告白! しかし、種市の口からは意外な言葉が。種市には別に好きな人がいて、それはユイだという。しかもすでに付き合っているらしい。失恋のショックでアキは真冬の海に飛び込み、熱を出して寝込んでしまう。しまいには「お座敷列車には出ない」と言い出し、ユイとも口を利かなくなる。

ユイの本音

ユイは種市を捕まえ、告白の返事は東京で付き合い始める“予約”みたいなものだと、大声で締め上げる。そして、アキに自分の本心を打ち明ける。ユイはアキに嫉妬していて、何事においても負けたくなかったのだ。アキはユイの心情を理解し、仲直り。
無事に2人そろってお座敷列車に出ることができ、イベントは大成功。アキは種市のことを吹っ切り、卒業式に晴れやかな笑顔で握手を交わして別れる。

東京での再会

お座敷列車で自分がやりたいことに確信を持ったアキは、ユイと一緒にアイドルを目指すようになる。2人は東京の芸能事務所からスカウトされるが、ユイは家庭の事情で北三陸に残らなければならず、アキだけが先に上京。
レッスンに奮闘する日々を送る中で、アキは東京で偶然、種市と再会する。会社をやめて岩手に帰るつもりでいた種市を、アキは説教。その言葉によって心を入れ替えた種市は、東京に残り寿司店で板前修業を始める。

恋の再燃

アイドルとして悪戦苦闘するアキは、種市に相談して励まされているうちに、種市への恋心が再燃する。そして、思い余って種市に告白! 今度は種市もその思いに応え、無事に2人は結ばれる。恋愛御法度のアイドル業界の中で、こっそりと愛を育んでいくのだった。

夫の戦死

ヒロイン・小原糸子(尾野真千子)は、紳士服店で働いていたときの同僚・川本 勝(駿河太郎)から積極的なアプローチを受け、結婚。細かいことにはこだわらず、いつも笑顔で機嫌がいい勝に、糸子は何度も救われ、良い夫婦関係を築いていく。3人の娘をもうけるが、やがて戦争がはじまり、勝は出征。帰らぬ人となってしまう。

決して好きになってはいけない人

自らが営む洋裁店の仕事に精を尽くす糸子の前に、長崎からやって来た紳士服職人・周防龍一(綾野 剛)が現れる。店の手伝いをしてもらっているうちに、徐々に周防に惹(ひ)かれていく糸子。しかし、周防は妻子ある身。その気持ちにふたをし、糸子は周防と距離を置くようになる。

意味深な言葉

あるとき、婦人服の型作りの依頼があり引き受けることにした糸子は、工場の監督に婦人服作りの指導をするため、工場を訪れる。そこに監督として現れたのは、なんと周防だった。動揺する糸子。仕事として周防に指導をするも、周防の「糸子さんがいるから工場長を引き受けた」という言葉を聞き、ますます思いが募っていく。

おいも…好いとった…

指導の最終日、気持ちにケリをつけるため、周防に告白することを決意する糸子。普段はしない化粧をし、洋服姿で周防に会いに行く。糸子は「最後に言わせてください。好きでした。ほんだけです」と淡々とした口調で告げ、部屋を出ていこうとする。すると、その腕をつかみ、そっと糸子を抱き寄せる、周防。「おいもです……おいも…好いとった…ずっと…」と、糸子と同じ気持ちであることを告げる。

禁断の恋に足を踏み入れてしまった2人。やがて、周囲に2人の関係が明るみになってしまい、別れを余儀なくされるのだった。

落語家への恋

福井・小浜から大阪へ出てきたヒロイン・和田喜代美(貫地谷しほり)は、落語家・徒然亭草若(渡瀬恒彦)と、その二番弟子・草々(青木崇高)と出会い、徒然亭宅に居候することに。喜代美と草々の部屋は薄い壁を隔てて隣同士。
草々の落語に対する熱い情熱と、不器用な優しさに触れるうち、喜代美は草々への恋心を自覚する。

3年間は恋愛禁止

やがて喜代美は草若に弟子入りし、落語家の道を志すことに。しかし入門後の3年間、年季が明けるまでは恋愛禁止。草々のことは忘れて喜代美は落語に打ち込む。

草々の気持ちの変化

喜代美が弟子入りしてから2年半、内弟子修業が終わろうとしていたころ、草々の破門騒動が巻き起こる。家を出た草々を探し回る喜代美は、空き家の中で高熱にうなされ寝込んでいる草々を見つける。朝までそばについて看病し、「大阪に帰りましょう。1人にはさせません」と草々を説得。喜代美の必死の働きによって騒動が丸く収まると、この一件から草々は喜代美の存在を意識し始めるようになる。

“ふるさと”は自分で作っていくもの

さらに喜代美は、草々が大切にしている座布団がボロボロになっているのを見て、繕ってあげた。それは草々が亡き父からもらい、草若との出会いのきっかけにもなった座布団で、草々にとって唯一“ふるさと”を感じられるものだったのだ。

喜代美の年季明けがかかった落語会当日。草々はその座布団を高座で使い、喜代美に心からの感謝を告げる。そして喜代美も無事に高座をやり遂げ、数日後の年明けとともに年季明けすることが決まる。

年季明けが決まった喜代美に母・糸子(和久井映見)は「これから先は小浜だけではなく、大阪もあんたのふるさとになっていく」と話す。「ふるさとというものは、ただ生まれた場所のことをいうのではない、自分で作っていくもの」という糸子の言葉に、喜代美と草々は心打たれる。

すれ違う2人の気持ち

喜代美の年季明けは、同時に徒然亭宅を出ていかなければならないことを意味していた。そこで、喜代美に思いを寄せている三番弟子・小草若(茂山宗彦)が「一緒に住まないか」と喜代美に提案。草々と離ればなれになりたくない喜代美は草々に相談するが、草々は自分の気持ちとは裏腹に「それでもいいのではないか」と答えてしまう。落胆した喜代美は小草若のマンションに引っ越すことに。2人の気持ちはすれ違ったまま、喜代美の年季明け前日の大みそかを迎える。

口論の末に…

この日の朝、喜代美はゴミ捨て場で自分が繕った草々の座布団が捨てられているのを目にする。ショックを受けた喜代美はその夜の忘年会の席で突然、「落語家にならなければよかった」と泣き出してしまう。そこから喜代美と草々は激しい口論に。だが口論するうちに2人は、これまでお互いの心と心がすれ違っていたことに気づく。喜代美は草々のことを思い続けていたこと、草々は喜代美がいなくなるのを寂しく思っていたことをお互いに打ち明ける。

壁を破壊してプロポーズ

気まずくなった2人が部屋に戻ってほどなくして、除夜の鐘が鳴り終わる。それは喜代美の年季明けの瞬間、恋愛解禁の合図だった。すると、草々が喜代美の部屋との間の壁を壊し始める。喜代美の部屋に入ってきた草々は、「今日からお前が俺のふるさとや!」とプロポーズ。こうして結ばれた2人に、新しい“ふるさと”ができたのだった。

ライバル心から恋愛感情へ

愛知・岡崎に生まれたヒロイン・有森桜子(宮﨑あおい)は、亡き母が弾いていたピアノにあこがれ、いつしかピアニストを目指すようになる。一方、桜子の祖父が職人頭を務める八丁味噌(みそ)の蔵元「山長(やまちょう)」の跡取り息子・松井達彦(福士誠治)もまた、ピアノが好きな青年。2人は同じ夢を持つライバル同士。
音楽家を目指す2人はそろって上京。東京で生活する中で、達彦の桜子への思いは、ライバル心から恋愛感情へと変わっていく。

帽子のつばに隠れて…

達彦は桜子に告白。戸惑う桜子だが、いかに達彦が自分を親身に思ってくれているかを知り、達彦への愛情を募らせていく。
しかし、達彦には演奏家を目指すためのドイツ遊学の話が舞い込んでいた。桜子は達彦に餞別として白い帽子をプレゼント。そしてドイツ行きを悩む達彦に「私は達彦さんの味方だよ」と告げると、帽子のつばで隠しながらその頬にキスをする。

夢か結婚か

結局、達彦のドイツ行きは父が亡くなったことで白紙となる。達彦は音楽学校をやめ、「山長」を継ぐことを決意。
桜子は達彦から「音楽家を諦めて嫁にこないか」と言われ抱きしめられるが、つい身をひるがえしてしまう。「夢は諦めたくない」と、プロポーズを断る。

不遇な運命

しかし、桜子は夢を諦めざるを得ない状況に陥ってしまう。有森家の家計を支えるため、音楽学校をやめて実家に戻り、喫茶店の女給をしながら内職にも励むという多忙な日々を送ることに。
そんな桜子を支えたいと思った達彦は、再びプロポーズ。嬉しく思う桜子だが、ここで受けるのは虫が良すぎると自分を責め、返事を保留にする。だがその矢先、達彦の元に召集令状が届く…。

誓った永遠の愛

達彦が何よりも大切だと改めて気付いた桜子は、「お嫁さんにしてください」と頼む。だが桜子に苦しい思いをさせたくないと思う達彦は、プロポーズを撤回する。
数日後、諦めきれない桜子の元に、達彦から思いがけない贈り物が届く。それは桜子が夢を諦めたときに売ったピアノだった。「音楽にかける夢だけは捨てないでください。いつどこにいても、君がどこかでピアノを弾いていると思えることが僕の支えです」と添えられた手紙を読み、感涙する桜子。

達彦の入営2日前、桜子のピアノ演奏会が開かれる。達彦も招待され、連弾を披露するなど幸せな時間を過ごす2人。
そして達彦は「俺が帰ってくるまで待っていてほしい、無事に帰ったら一緒になってくれ」と改めてプロポーズ。2人は永遠の愛を誓い合った。

戦死のウワサ

達彦の入営後、達彦からの手紙に励まされながら、「山長」の若女将としての修業を積む桜子。しかし、戦争が本格化すると、達彦がいる部隊に大打撃があったという知らせが入る。さらに「達彦が戦死したかもしれない」というウワサが…。

最愛の人との再会

終戦を迎え、達彦の母の一周忌の日、桜子は「山長」を訪れる。そこで桜子の目の前に、戦死したと思われていた達彦が現れる。およそ6年ぶりの再会だった。

戦争の後遺症を背負っていた達彦だが、桜子の支えによって徐々に心を開いていく。桜子もまた、達彦の存在によって再び音楽活動に力を入れはじめ、お互いの存在が大切であると再認識する。ようやく結ばれ2人は、「山長」で結婚式を挙げたのだった。

パンの耳をもらいに来る少年

ヒロイン・岩田冬子(石原さとみ 少女時代:田島有魅香)は、大阪・池田で製パン店を営む家に生まれた。8歳のとき、家が貧しいために製パン工場にパンの耳をもらいに来ていた少年・桑原和人(錦戸 亮 幼少時代:米田 良)と出会う。冬子は和人に興味を持ち、次第に心を通わせていく。
しかし、仲良くなり始めた矢先、和人の父親が急死し、和人は叔父が住む四国へと行ってしまう。

和人との再会

中学生になった冬子の前に突然、しばらく音信不通になっていた和人がやって来る。夜間学校に通いながら、見習いの職人として岩田製パン店に住み込みで働くことが決まったのだ。

冬子の夢

冬子は学校が休みのとき、工場でパン作りの手伝いをした。父・春男(岸谷五朗)と和人と3人でのパン作りに安らぎを覚えた冬子は、「パン屋さんになりたい」という夢を抱く。春男の許しも得て、パン職人としての修業を始める。

2人の思い

一方、和人は高校卒業後に岩田家を出る。冬子は料理を作って頻繁に和人のアパートに足を運ぶように。
和人は複雑な家庭環境で育ったために常に心は厚い殻で覆われていたが、底抜けに明るい冬子と触れ合ううち、徐々にその心の殻を破っていく。

冬子は理想のパン店の夢を和人に語るうち、和人と一生をともにしたいという気持ちが胸にこみあげてくる。そして、和人も同じ気持ちだった。

「冬ちゃん、ラブミーテンダーや」

ある日、家の庭に呼び出された冬子。そこにはレッドカーペットが敷かれていた。そして頭上からは何やらギターの音。見上げるとそこには、白いタキシードに翼をつけた和人の姿があった。
浮き上がり、ギターに合わせて「Love Me Tender」を歌う和人。そのまま地上に舞い降りると、「冬ちゃん、ラブミーテンダーや」とプロポーズ。2人は抱き合い、めでたく結ばれる。

結婚の約束

沖縄・小浜島に生まれたヒロイン・古波蔵恵里(国仲涼子 幼少時代:浦野未来)は、小学生のときに東京からやって来た、上村和也(遠藤雄弥)・文也(小橋賢児 幼少時代:山内秀一)兄弟と仲良くなる。しかし、不治の病におかされていた和也は、恵里と文也に「お前たち、いつか結婚しろよ」という言葉を残し、この世を去ってしまう。

命のはかなさと大切さを知った2人は、「和也の木」と名付けたガジュマルを植え、結婚の約束をする。

7年ぶりの再会

その約束を大切にする恵里は、文也と再会するため、高校卒業後に上京。7年ぶりに偶然の再会を果たすが、文也には恋人が…。「結婚の約束は子どものころの昔話」と、文也が恋人に話すのを聞いてしまった恵里は、ショックを受け、子どものころに文也からもらった思い出のスーパーボールを落としてしまう。

思い出のスーパーボール

4年の月日が経っても、恵里の思いは募る一方。文也には恋人がいる、と気持ちを押し込めてきたが、家族からの応援に心動かされ、ついに文也に自分の思いのすべてを伝える。突然の告白に戸惑う文也。恵里は傷心し、小浜島へと旅に出る。
そのころ、文也の手元に恵里がなくした思い出のスーパーボールが偶然届く。命を感じた文也は、恋人に別れを告げ、小浜島へと向かう。

ガジュマルの樹の下で…

ガジュマルの樹の下にいる恵里の元へ、文也がやって来る。「兄貴との約束、果たしに来た。恵里、結婚しよう」とプロポーズ。「和也の木」の下で、2人は結ばれた。

恵里が一人前の看護師として認められたのちに、2人は結婚。東京と沖縄の両方で式を挙げた。

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