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温泉の疲労回復効果は本当か 逆に疲れる?

温泉の疲労回復効果は、本当なのでしょうか? この記事では、土日は寝るだけ、重度の疲労体質だった筆者が、関東甲信越の100以上の温泉を巡った体験を記しています。

もくじ

疲労回復効果が目的なら、単純泉はやめておこう……

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写真は、長野県のある名旅館の温泉大浴場です。見るからに疲れが取れそうに見えませんか?

温泉の疲労回復効果を考えるうえで難しいのは、写真のように「何となく雰囲気が良い!」という点が、混ざり込んできてしまう点です。

  • 大きな湯船は、疲れが取れそう。
  • 山や空が見えて、疲れが吹き飛びそう。

これは、間違いではありません。大きな湯船は足を伸ばしリラックスできることは事実ですし、風景を見ながらの入浴は、気持ちの面から疲れを和らげてくれます。

しかし!

よく考えてください。

  • 大きな湯船というなら、都会のスーパー銭湯でも疲れは取れます。
  • 山や空というなら、景色が良ければ、温泉でない大浴場でも、疲れは取れます。

温泉の疲労回復効果を考えるには、都会や自宅のお風呂、あるいは旅先の温泉でないお風呂でも、実現できてしまう要素は、取り除くべきなのです。

  • 温度による効果 … 自宅でも都会のスーパー銭湯でも、実現できます。温泉の評価からは外しておきましょう。
  • 水圧・浮力による効果 … 同様に、温泉の評価からは外しておきましょう。
  • 気分転換の効果 … 海や山があれば、温泉でなくても気分転換の効果は大きいです。専門的には「転地効果」と呼び、温泉そのものの効能ではありません。

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さきほどの温泉と同じ湯を使った露天風呂をアップで撮ると、無色透明です。この温泉は、単純泉と呼ばれ、疲労回復効果は、スーパー銭湯や自宅の湯船と大差はありません。

  • 温度、水圧、浮力の効果を除けば、疲労回復効果がないということです。
  • 気分転換の効果を除けば、疲労回復効果がないということです。
  • 足を伸ばせる、体を動かせるなど、湯船の大きさからくる効果を除けば、疲労回復効果がないということです。

 単純泉は、現在の日本に最も多く見られる泉質です。「無職透明でシンプルな温泉」というイメージかもしれませんが、実は成分が薄く基準(成分が1kg中1000mg)に満たないという意味です。

注:無色透明イコール、単純泉とは限りません。

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単純泉は、日本の代表的な温泉ではない!

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最近は落ち着きましたが、2005年頃まで、全国の温泉の数は、増え続けてきました。その背景には、戦後の温泉掘削技術の進歩があります。しかし、新たに湧いた温泉は単純泉が多く、それまで日本の温泉の代表格だった塩化物泉を数で追い抜いてしまいます。

各地で気軽に温泉を楽しめるようになり、観光産業が盛り上がる反面、効能や疲労回復効果が薄い温泉が、目立つようになってきたのです。

疲労回復に効く温泉を探すには、江戸時代にはすでに存在していた温泉を探すというテクニックもある程度有効です。

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温泉の歴史はWikipedia(ウィキペディア)に、掲載されています。上記は、箱根温泉の説明です。

注意! 歴史がある温泉でも、単純泉の場合があります。また同じ温泉でも、旅館によって泉質が違うことがあります。

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 疲労回復におすすめは、塩化物泉

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疲労回復に効果がある温泉を探す場合、まず候補に挙げたいのは、塩化物泉です。

サラリーマン時代、筆者は重度の疲労を抱えながら、いろいろな温泉を試していましたが、ほとんど効果はありませんでした。いま思い返すと、仕事に便利な、高速道路や幹線道路沿いの旅館を選んでしたため、単純泉を多く引き当てていたのかも知れません。

そんななか、例外的に効果があり驚いたのは、群馬県の沢渡温泉です。沢渡温泉は、群馬三名湯の、草津温泉、伊香保温泉、四万温泉を結ぶ三角形のなかにある、寂れた温泉です。しかし、寂れたのは戦後になってからで、江戸時代には、熱海温泉と並ぶ地位を持っていた歴史ある温泉です。

沢渡温泉は、塩化物泉です。驚いたのは、温泉に入り、部屋に戻ったあとです。大浴場に行くさいに、部屋の暖房を消し忘れたようで、戻った部屋が暑かったのですが、1時間後、あることに気づきました。部屋がひんやりと冷え切っています。確認すると、暖房は、初めからついていなかったのです! これが塩化物泉の、保温効果です。

疲労回復には、血流の循環を高め、身体の機能を回復しつつ、質の良い睡眠につなげることが重要です。疲労回復は、体の機能をフルに活用するのが1番ですので、体を温めることは、大きな効果があります。

疲労回復に効果がある温泉を探す場合、まず候補に挙げたいのは、塩化物泉です。

  • 単純泉が増える前は、日本の代表的な泉質だったため、数が多く探しやすい。
  • 疲労には、単純な筋肉痛から、長年の生活習慣や体の歪みが影響する深い疲労まで幅広く、ひとくくりにできないが、温熱効果はオールマイティ。

温泉の泉質は多種多様で、例に挙げた沢渡温泉も、実は塩化物泉であると同時に、硫酸塩泉でもあります。しかし、細かい泉質まで把握するのは大変ですので、疲労回復に効果がある温泉を探す場合、まず候補に挙げるのは、塩化物泉と覚えておくのがおすすめです。

※塩化物泉が見当たらない場合、二酸化炭素泉も同等の効果があるとされます。

 効能に書かれている症状は、普通に効く

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出典:環境省HP

温泉には疲労回復のほか、様々な効能があります。特に伝統的な適応症については、適当に表示されているわけでなく、医師の意見を参考に、環境省のHPにも掲載されています。

沢渡温泉を訪ねた頃は、長時間のパソコン作業から腕の神経痛に悩まされてました。この神経痛は、なかなか治りませんでしたが、沢渡温泉に1泊しただけで、驚くほど改善しました

沢渡温泉の効能

  • 泉質:カルシウム・ナトリウム一硫酸塩・塩化物温泉
  • 効能:切り傷・やけど・神経痛・リュウマチ・運動麻痺・慢性消化器病・痔・冷え性・糖尿病・婦人病・病後回復期・水虫 等

温泉の効能として、書かれていれば効果があり、書かれていればない、ということは、見落とされがちですが、覚えておいてほしいことです。温泉は何となく健康に良い、何にでも効くとイメージしがちですが、書かれていれば効く、書かれていれば効かないというのは、基本的なことです。

どんな泉質でも疲労回復効果が出やすいのが「温冷交代浴」

広告代理店の営業マンとして残業を大量にこなしていた時期、塩化物泉以外で、疲労回復に効果を感じたのが、山梨県にある神の湯温泉でした。神の湯温泉は、浴槽が多くあり、それぞれ温度を変えてあります。そして掲示に従って、さまざまな温度の温泉に出たり入ったりしていると、明らかに疲労回復の効果が見られました。

 

この温冷交代浴は、最近では徐々に知られるようになってきています。各地の温泉や地元の銭湯でも応用可能です。

  • 長めに入浴、数分冷ますを繰り返す。
  • 冷ますとき、正式には水風呂や冷水を使う(全身つからない。全身に水をかけない)。
  • 徐々に温度差を広げてゆくと良い。
  • 冷ますとき、ぬる湯や外気に当たる程度でも効果はある。

温泉で逆に疲れてしまう人 

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せっかく、疲労回復に適した塩化物泉あるいは二酸化炭素泉をセレクトしても、入浴方法を誤れば、逆に疲れてしまうこともあります。

温泉で逆に疲れてしまう人

  • 食事の直前、直後の入浴 … 消化器への負担が大きくなり、疲れを感じます。
  • 運動の直後の入浴 … 身体への負担が大きくなり、疲れを感じます。
  • 入浴前後の水分補給を行わない … 軽度の脱水症状となり、疲れを感じます。
  • 高温の浴槽やサウナを好む … 身体への負担は大きく、体調が良い人向けです。重い持続的な疲れを取る目的なら、短時間にとどめます。
  • 深夜の入浴 … 疲れが重い場合は、睡眠の方が効果があります。また、交感神経(=活動時の神経)優位となり、睡眠の質を落とします。
  • 眠気をこらえての入浴 … 疲れが重い場合は、短時間でも、睡眠を取ったほうが効果があります。
  • 長湯、回数が多すぎる … 温泉では、長湯をしたり、何度も入浴したりしがちですが、疲れが重い場合は、控えめにします。
  • 全身浴 … 疲れが重い場合、心肺機能への負担が軽い、半身浴にとどめます。

以上が注意点です。温泉旅館では、到着しお茶を飲んでから、ぬるめのお湯に半身浴で入り、水分補給後ひと休みして夕食、の流れがおすすめです。

なお、重く継続的な疲労を解消するには、温泉よりも、質の良い睡眠や、バランスの良い十分な食事と安定した便通の実現がまず優先されます。体に歪みが生じている場合には、整体が効果を生むこともあります。また、大前提として健康体であることは外せませんので、医師による健康診断は必ず受けておきます。

自宅の風呂でできる疲労回復の工夫

上述のように、塩化物泉は特に保温効果・血液循環の効果が高くなります。また環境省HPは、二酸化炭素泉でも、保温効果・循環効果をとくに強調しています。

環境省HPが「保温効果・血液循環効果」をとくに取り上げた泉質

  • 塩化物泉
  • 二酸化炭素泉

自宅のお風呂で疲労回復効果があるのは、塩化物泉を再現できるバスソルト系入浴剤と、二酸化炭素泉を再現できる炭酸タブレットです。

クナイプのシリーズのなかで、特に疲労回復効果が感じられるのが、「ウィンターグリーン&ワコルダーの香り」です。炭酸タブレットは、炭酸ガスがすぐに抜けてしまう市販のものは、おすすめ度が低くなります。

 

(まとめ)温泉の疲労回復効果は本当か 逆に疲れる?

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もし疲れを取るために温泉に行くとしたら、次のことが言えます。

  • まずは、塩化物泉を選んでみましょう。保温効果をはっきり感じ取れます。
  • 温泉は、有効成分の比率が重要です。単純泉は「薄い」温泉ですので避けます。また、かけ流しの温泉の方が、成分の損失は少ないと考えられます。
  • 塩化物泉が見当たらない場合、二酸化炭素泉でも同等の効能があります。
  • より効果を高めるために、温冷交代浴は効果的です(ただし、気持ちの負担にならない程度の、マイペースでやっていきます)
  • 食事の前後、深夜などの入浴は避け、ぬるいお湯に半身浴が基本です。
  • 疲労が継続的で重い場合は、睡眠の方が即効性があります。また、日常から、食事の量とバランス、便通の改善、睡眠時間を増やすことを心がけます。

以上、温泉の疲労回復効果は本当か 逆に疲れる?でした。

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