---------------------------
----N----075---------------
----a-----------------------------
----t-----------------------
----u-Z-o-r-a--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
(妙子)雪次郎!
(とよ)元気かい?
(なつ)雪次郎君 黙って いなくなるなんてそれはないっしょ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(雪次郎)黙って出て すみませんでした…。
(雪之助)すぐ行くべ。
どこに行くんだ?
川村屋に決まってる。
このまま 挨拶もなしじゃ いかんべ。
それは 人の道に外れてる。 だべ?そだね。
それは 落ち着いたら必ず謝りに行こうと…。
すぐ行くのが筋だ。
一緒に行くべ。父さん! 父さん…その前に 俺東京で やりたいことに気付いたんだ。
やっと 自分の気持ちに 正直になった。
それは 道を踏み外しただけだ。
戻るなら まだ間に合うべ…。
いや ちょっと待って ちょっと待って…!
雪次郎…。お前 役者になって食べていけると思ってんのかい?
ばあちゃん俺は 食べていきたいんじゃない。
演劇をやりたいだけだ。
したけど 腹はすくべさ。
したけど 食べていくことよりも何かをやりたいと思うことを我慢する方が時として ずっと苦しいことだってある。
お前 我慢足りないだけだ!
まだ学生みたいな…考え違いしてるだけだべ!
違う!
家のことじゃなく… 自分のことだけを考えようと思っただけだ。
俺は うちの店が好きだ。
川村屋も好きだ。
だけど ほかにもやりたいことがあった…。
あったんだ!
雪次郎君…。(咲太郎)頑張れ。
お兄ちゃんは黙って!
俺にもたった一度だけ チャンスが欲しい。
自分だけの夢を追わせてほしい。
頼む!
お願いします!
よし 分かった!
動かんなら 無理してでも連れてくべや!
ちょっと待って 嫌だ…。来い こら!
嫌だ…。あんた…。やめれや…。
おじさん! 雪次郎君! やめて下さい!
(とよ)やめて やめてくれ…。
あんた…。
ほれ…。
行くべよ とりあえず…。
本当に 申し訳ございませんでした。
申し訳ございませんでした!
杉本さん 日曜日の忙しい時に申し訳ございません。
(杉本)いいですよ。
おい 君たちはいいから 手 動かせ!
(3人)はい。
それから お願いがあります。
これから こいつも性根を入れ替えるので雪次郎を またこの店に置いてやって下さい。
父さん!
お願いします!
それは 別に構いませんが…。
私も働きます。 あ… もちろん無給でこいつが ここに落ち着くまで何日でも働きます。
マダム どうか 許して下さい。
(光子)えっ…。
♪~
本当に いつも話をこじらせてくれるわね。
えっ…。趣味?
あっちこっちで 話をこじらせるのが趣味ですか?
うるさいな。うるさい?
どの口が言ってんのよ? 反省しなさい。
(野上)反省してたら誰も こんな苦労はしません。
ふんっ。
お義母さん これからどしたらいんですかね?
そんな情けない声 出さんの。
ちょっと 様子を見てくるわ。
私も行く。
(ため息)
何か… 本当にすみませんでした。
あ… いいんだわ。
あなたは 雪次郎の味方になってくれたんでしょ。
私は それだけでも感謝です。
本当に ありがとう。
いえ…。
(すすり泣き)
雪次郎君…。
♪~
雪次郎! もう行きな。
そのかわり もう二度とここに戻ってくんでないよ。
自分で決めたんなら その覚悟を貫け!
ばあちゃん ごめん…。
ダメだ 戻れ!
雪次郎!
自分の子どもに惨めな思い させるんでないわ!
母ちゃん…。
ぶつなや…。
とよばあちゃん…。
なっちゃんも もういいからほっといてやって。
皆さん どうも どうも…お騒がせしました。
すいません…。
♪~
なつ。
♪~
よ~し。
出来た~…。
はあ…。
そして 翌日です。
どですか?
(下山)う~ん…。表情は いいんだけど 馬の動きがな…。
うん…。やっぱり まだ どこか おかしいですか?
おかしいっていうか 何か足りない?うん。
最後かな… 最後だよね?(麻子)うん。
(下山)馬の脚に勢いがな…。最後のもう一押しってのが何か ないかな?
馬が 速く駆け出すとこですか?
そうですね…やっぱり まだ タメがないのよ。
タメですか?
馬が こう脚を上げて 下ろすまでにタメを作ってないから動きが流れちゃうのよ。動き出しの動画っていうのは こう丁寧に 詰めて詰めて描いて一気に ここ 飛ぶから緩急がついて 勢いが出るんでしょ。
でも 動きを詰めるだけだと全体の勢いが止まってしまいます。
勢いをつけるために詰めるの!動画の原則でしょう。
いや 分かりますが…。分かってるなら やりなさいよ。
もう 私がやる?
いえ 最後まで やらせて下さい!
うん。 じゃ もう一回 考えてみて。はい。
待って これも。
(茜)大丈夫 面白くなってきてるわよ。
あと少しなんですが…。
(堀内)やっぱり 詰めじゃないかな?
はい そなんですけど…。
どうしたらいんでしょうか…。
♪~
あっ…。
(坂場)また馬ですか?
馬です。まだ 馬を描いてるんですか?
まだ 馬です。
もし お役に立つなら…。
えっ?
私が 馬になってここを駆け下りましょうか?
大丈夫です…。
(坂場)そうですか?
もし それを見てしまったら当分 馬を描く度に笑って 手が震えそうですから。
一人で なんとか頑張ります。
うわ~!
大丈夫?
大丈夫…。