2019.06.24更新
夜のホテル街で手島は何を思うのか?
映画『愛の渦』『娼年』などを手掛けた監督・三浦大輔が、オンナたちにある“設定”を提供。緻密に書かれた台本に沿って、彼女たちが“フェイクな自分”を演じる様子に密着する“フェイク(虚構・嘘)ドキュメンタリー”。
今回登場するのは、手島優。グラビアアイドルとしてブレイクし、その後はバラエティ番組で引っ張りだこだった彼女が、「1ヵ月後に芸能界を引退する」と三浦を居酒屋に呼び出すところから物語はスタートする。
手島は芸能界を引退し、「デリヘル嬢」になるという。想定外のワードに「デリヘル…」と三浦も驚く。実は、半年ほど前から「まゆ」の源氏名で働いている手島は、風俗を設定にした作品の多い三浦の目を通して「タレントからデリヘル嬢に転職する思い」を世間に伝えたいのだという。
後日、手島は三浦をマンションの一室にある待機所へ案内。そこで、指名率がアップする写真写りを研究したり、客の好きなプレイを記録したノートを見直しながら指名を待つ。「努力しないと飽きられますから」と言う手島は、自身が「芸能界で飽きられた」と実感しているからこそ、真剣にデリヘルに向き合っているのだ。
そんな中、指名が入る。三浦とともに渋谷のラブホへ向かう送迎車の中で、デリヘル嬢を選んだ理由を聞かれると「私の“武器”をすべて使えるもの=デリヘル嬢だった」と明かす。そして、90分後、仕事を終えて戻ってきた手島は、充実感にあふれて見えた。
この日はさらに次の指名が入り、送迎車に乗り込んだ手島に、三浦は改めて芸能界引退を決意した理由を尋ねる。
仕事が減ってくると、「街を歩いているだけでも、笑われているようで辛かった」と言う手島。グラビアで人気絶頂だった時を過ぎ、バラエティ番組に出演するうち、気が付けば「いじられキャラ」になっていたが、売れている時はよくても、「仕事がなくなっていくと、本当に受け入れられないですから」と語気を強める。
いじられることに拒否感を覚えるようになったのは、彼女の過去が関係していた。彼女は幼少期、いじめに遭っていたのだ。“バカにされる自分”から逃げるために入った芸能界で、“バカにされても大丈夫な自分”を演じ続けてきたという。
しかし、表層的な芸能界で「自分は使い捨てのような扱いだった」と本音を吐露。「でも今は、全力でやればやるほど、みんな返してくれる」「昔から(誰かに)必要とされたかった」と、曇り一つない笑顔を見せ、次の客の元へと向かうが…。
そこで手島を待っていたのは、初めての“チェンジ”。相手から必要とされるのがやりがいだったはずなのに…。芸能界では、自分を見下していた人を見返すことができなかったが、デリヘル嬢としては、「(チェンジした客を)必ず見返したい」と憤りをあらわにする。
その足で飲みに行った店で、60分という短い時間で「深い愛情をもらうし、あげることができる」のが、デリヘルの魅力だと熱く語る手島。それに呼応するように、「得意なプレイは?」「男がイク時の顔をどう思うか?」などと、きわどい質問を重ねる三浦。
三浦は、「実際のプレイを見なければ、手島の本気の思いは見えない」と感じ始めていた。「それなら指名して」という手島に、三浦は手島に顔を見られていないスタッフに、手島を指名するよう命じる。そして、店に電話をして手島を指名し、自宅に呼ぶ。
そして、引退が1週間後に迫る中、手島には心残りがあった。両親に芸能界引退とデリヘル嬢への転身について、話せていないという。揺れる思いのまま、手島は両親の元へ向かう――。
際どい設定ながら、“ありそうでなさそう”なギリギリのラインで役を演じ切った手島。本人が「枯れ果てた…」と脱力したほどの熱演に、期待したい。
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