私のメールアカウントには様々なメールマガジンが入ってきます。
そのひとつの日経BPのメールマガジンを見ていたら気になる事が書いてありました。
それは誰もが使っているUSBメモリーの保存期間についての警告です。
日経BPのメールマガジンも日経パソコンからの引用なので、私は再引用になりますが、記事が長いので要旨を整理して紹介します。    (出典:日経パソコン)

※結論は
1.書き換え可能回数に起因する寿命は実用上、無視できます。
2.大昔に保存したまま、たまに読み出ししかしないようなデジカメ写真やビデオカメラの動画は、自然蒸発によって失われる危険があります。
3.基本的にUSBメモリーやメモリーカードのたぐいは、データの永久保存に向きません。
4.大切なデータを保存する機会が多いのならば、多少高価でも正規品を選ぶのが望ましいです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(様々なところに使われているフラシュメモリー)
フラッシュメモリーは電気的に情報を記録・消去でき、電源を落としても情報を保持できる半導体チップのことですが、誰もが知っているUSBメモリーのほかmicroSDや SDカード、SSD(solid state drive)などに使われています。

(データ保持期間)
ところが悩ましいことに、フラッシュメモリーには「データ保持期間」「書き換え可能回数」なる仕様が存在します。半導体チップや周辺機器のメーカーなどが提示している指標です。現行製品の多くが採用しているMLC(multi level cell)というタイプのチップでは、データ保持期間は5~10年、書き換え可能回数は5000~1万回ほどです。
データ保持期間が5年とは、例えばUSBメモリーをパソコンから外して5年間机の中に放置すると、データが電気的に消失する可能性があることを意味します。また、書き換え可能回数が5000回とは、同じ個所を5000回書き換えるとその部分が使用不能になる恐れがあるということ。いずれもハードディスク(HDD)などでは基本的に起きない、フラッシュメモリー特有の問題であります。

(通電しただけではダメ)
まず、“データの自然蒸発”ともいえる前者から説明します。フラッシュメモリーは1個で1ビット(もしくは2ビット以上)の情報を記録する、セルという記録素子の集合体です。このセルに一定量の電子を注入したり抜き出したりして情報を記録・消去します。一度注入した電子はセルの絶縁体内部に格納されるので、電源を切ってもデータが保たれるのがフラッシュメモリーの特徴であります。しかしながら、データを保持する期間にも限界があり、あまりに長期間放置すると電子が漏れてデータが自然消失してしまう恐れがあるのです。

(自然蒸発)
これを回避する方法として、パソコンなどに時々接続して通電させるという通説がありますが、これは大きな間違い。単に接続しただけでは、セルに電子は再注入されません。また、読み出しをしても、セル内の電子量を確認するだけだから意味がありません。電子量を記録当初の水準に戻すには、データをいったんHDDなどにコピーしてから、再びフラッシュメモリーに書き戻す必要があります。つまり再記録です。大昔に保存したまま、たまに読み出ししかしないようなデジカメ写真やビデオカメラの動画は、この自然蒸発によって失われる危険があることを念頭に入れておきましょう。

(2年後は2000回で壊れる)
一方の、書き換え可能回数の問題もセルの単位で起こります。書き換えを繰り返すとセルが電子回路的に劣化して、電子を保持できなくなります。書き換え可能回数 5000回とは、あるセルを5000回書き換えると、そのセルが使用不能になる可能性があることを意味します。記録素子の一部が部分的に使用不能になるわけです。
悩ましいことに、この書き換え可能回数は今後減少する傾向にあります。半導体チップの製造プロセスの微細化が進む2011年になると、2000回以下。高密度で回路を詰め込む製造プロセスの向上は、大容量化・低消費電力化が見込める半面、耐久性を損ねる面があるわけです。
しかしながら、現在の5000回でも気になる数字であります。例えば、スケジュール関係のファイルをUSBメモリーに保存して1日に10回書き換えると1年で3650回。このファイルを記録しているセルは2年もたたずに書き換え不能に陥るのでしょうか。?

(書き換えの意味)
こうした疑問は、フラッシュメモリーにおける“書き換え”という言葉の意味を正しく理解すれば解消します。実は、Windows上で同じファイルを書き換えても、その結果はフラッシュメモリーの内部で違うセルに記録し直されるのです。物理的に違う場所に記録した上で、論理的な場所と物理的な場所の関係を記録した管理情報を書き換える。こうした処理は、フラッシュメモリーに付随する制御チップが背後で行っています。制御チップは、フラッシュメモリーとUSBなどのインタフェースをつなぐ形で基板に実装される。基本的な構造はUSBメモリーだろうとSSDだろうと、ほぼ変わりません。

(セクター)
一般に、HDDやフロッピーディスク、DVD-RAMなどの記録領域はセクターと呼ばれるブロックに分割され、Windowsはセクターの番号を指定してブロック単位でデータを読み書きします。実際には、デバイスドライバー(機器制御ソフト)を通じて読み書き命令を制御チップへ送ります。このデータ処理の流れはフラッシュメモリーでも同様であります。

(制御チップのみぞ知る)
ところが、あるセクターのデータを具体的にメディアのどこに記録するかは制御チップに任されており、Windowsは一切関知しません。フラッシュメモリーはこの仕組みを利用して、記録する場所を毎回変えます。例えて言えば、ロッカーに入れた荷物の一部を入れ替える際、荷物を全部取り出して一部を入れ替え、それらを丸ごと別のロッカーにしまうようなものです。セクター番号はいわばロッカーの番号で、これと記録したロッカーの関係は制御チップが管理します。

(ウエアレベリング)
磁気記録円盤を使うHDDの場合、このようなロッカーの入れ替えは基本的に起こりません。Windowsから見たセクター番号は基本的に、磁気記録円盤上の特定の記録領域に結び付けられています。水面下におけるロッカーの再配置はフラッシュメモリーならではの特徴で、「ウエアレベリング」と呼ばれます。

(利用回数が少ないロッカー)
これにより、フラッシュメモリーでは不思議な現象が起こります。例えば1GBのUSBメモリーに1MBの文書ファイルを保存して、何度も上書き保存したとします。Windows上では同じファイルだが、実際には書き換えるたびに別のセルに記録されているのであります。制御チップは物理的なロッカーの書き換え回数も管理しており、利用回数が少ないロッカーが優先的に使われます。

(未使用の記録領域)
これはすなわち、記録容量が大きいフラッシュメモリーほどセル寿命に関しては有利とも言えます。極端な話、未使用(書き換え回数ゼロ)の記録領域が膨大にあればそれらが使われ、同じセルが続けて書き換えられることはありません。乱暴な計算だが、1MBのファイルを1つ更新し続け、1GB分のセルが書き換え寿命の5000回を迎えるには、1GB(1024MB)÷1MB×5000回=512万回も更新作業を行わなければなりません。

(寿命)
この考え方でいくと、トータルでメディア全体に書き込める容量の目安は、メディア全体の容量×書き換え可能回数となります。例えば、128GBの SSDでいずれかのセルが寿命の5000回を迎えるには、トータルで128GB×5000回の書き込みを行う必要があります。毎日128GBを書き換えても、 5000日かかる計算です。セルの書き換え可能回数が寿命を迎える事態は、とてもありそうに思えません。

(さばを読んでの5000回)
さらに言えば、書き換え可能回数5000回という数字もメーカーが余裕を見たものです。実際にはセルが書き換え可能回数に達しても、すぐに壊れることはまずありません。実際の書き換え可能回数は「通常なら2倍ほどの数値になるはず」(東芝セミコンダクター)。余裕を見た値を公称値とするのは、製造品質の違いなどにより、寿命が通常より短くなる製品がまれにあるためです。

(隠しロッカー)
それに加え、フラッシュメモリーの多くは不良個所の発生を想定して、それを代替するスペア領域を設けています。つまり、Windows上では普段見えない隠しロッカーがあって、正規のロッカーに不良個所が発生すると水面下でそれを置き換えます。その隠しロッカーの空きがある間は、ユーザーは不良があると気付ません。

(寿命は実用上、無視)
こうしたことから、書き換え可能回数に起因する寿命は実用上、無視できるというのが結論です。実際のところ、あるデータ修復業者によれば、依頼を受けたフラッシュメモリー採用の記憶装置は、端子や回路の物理的破損や操作ミスなどの過失が多数を占め、セルの寿命が原因と考えられる症状は現時点で確認していないといいます。

(使い古すほど蒸発の危険)
ユーザーとしてはむしろ、書き換え可能回数がデータの自然蒸発と密接な関係がある点に注意したい。実は、何度もデータを書き換えてセルが劣化すると、データが自然蒸発する可能性も増加します。つまり、データ保持期間5年とは新品に限った話で、使い古したUSBメモリーやメモリーカードはもっと早くデータの自然蒸発が起こる可能性があります。
確実に5年で消失するわけではないが、基本的にUSBメモリーやメモリーカードのたぐいは、データの永久保存に向きません。HDDやDVDなどほかの記録メディアと上手に併用することが、“マイデータ”を長持ちさせるポイントです。

(激安品は疑ってかかる覚悟を)
東京・秋葉原などの一部店舗では、メーカー表記がない、あるいは知名度の低いメーカーのフラッシュメモリー製品を販売していることがあります。一般的な価格の半額以下で、店舗の保証が付いていることもあって買い得ではあります。ただし、品質については製品ごとにばらつきがあり要注意です。
基本的に、値段が安い製品は、目に見えにくい管理工程を削るなどしてコストを抑える傾向が強い。だが、問題はそれだけではありません。フラッシュメモリーでは、生産工程で一定の品質に達しない、いわゆる“B級品”が発生することがあるのです。一般に、B級品は通常よりも書き換え可能回数やデータ保持期間が短い。ところが、無名メーカーの中には、こうしたB級品を何らかの方法で不正入手して、低価格なフラッシュメモリー製品として流通させる場合があるという。当然、こうした製品では通常の製品よりもデータ消失のリスクが高まります。
こうした激安品を、重要度の低いデータの一時保管場所として利用するならば問題ありません。ただし、大切なデータを保存する機会が多いのならば、多少高価でも正規品を選ぶのが望ましいでしょう。