吾輩は猫である ~名前はマダナイ~   作:大三元
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十二

 

「にゃぁあん」

 

エ・ランテルの冒険者組合の一室で組合長プルトン・アインザックと漆黒の二人とマダナイがいる、組合長とマダナイは向かい合って座っているが漆黒の二人はマダナイの後ろで立っている。

組合長はマダナイを見て何とも言えない表情で固まっている一方、マダナイは顔をクシクシと手で撫でながら鳴いている。

漆黒の二人はそれを黙って見ている。

 

「わ… 私はここの冒険者組合の組合長、プルt………」

 

なんとか話し始めた組合長であったが話している最中でマダナイが猫の姿になる、目の前で見ていた組合長は又しても黙ってしまった。

猫の姿になったマダナイは何を思ったのか組合長の膝にぴょいっと乗ると丸まって眠ってしまった、乗られた方はそれはもう見てわかるぐらいビクッっとなり固まったが寝始めたマダナイをじっと見て何を思ったのか撫で始めた。

それを見守る漆黒、特にナーベは口をギリッっと噛み締め組合長を睨んでいる。

 

『えっと、マダナイさん何してるんです?』

 

『眠いから寝る、後はよろしく』

 

メッセージで聞いたモモンガであったがマダナイは返事をしてメッセージを又しても強制的に切ってしまった、スヤスヤと寝息が聞こえるので本当に寝たらしい。

 

「ア… アインザック組合長、大丈夫でしょうか」

 

「あぁ、いや大丈夫です… 少しこのままでいさせてほしい」

 

そう言う組合長の顔はほころんでいた、そしてこの状況はマダナイが起きるまで続いた。

 

 

 

マダナイは起きると膝の上で欠伸をして組合長を見上げる、目が合う、そして何を思ったのか組合長の頬を肉球でムニムニと揉み始めた。

組合長の顔はもうとろけそうな顔になっている、そこへマダナイが話しかけた。

 

「組合長ぉ~、私も冒険者になりたいにゃぁ~」

 

「あぁ、いやそれはぁあ~」

 

「にゃぁ~、じゃあ揉むのやめようかにゃぁ~」

 

「そ… それだけはぁ、あぁぁ」

 

「じゃあプレートくれる?」

 

「わかったからやめないでくれぇ… はぁん…」

 

このやり取りを見ていたナーベは組合長を切り殺さんと剣に手をかけたがそれをモモンが押さえている。

 

「やったにゃぁ~、じゃあプレートの色はアダマンタイトでよろしくにゃぁ」

 

「あ… あ、それは駄目ぇ… 高くてもゴールドぉ…」

 

「にゃ~ん、仕方ないにゃぁ~じゃぁオリハルコンでいいにゃぁ~」

 

「ダメぇええオリハルコンは出せないぃいい」

 

「にゃ~ん」

 

この光景を見たモモンはもうナーベを押さえるのをやめようかなと思い始めた。

 

「これが最後にゃぁ、ミスリルにして、じゃないともう組合長にはこんな事しないにゃぁ~」

 

「わかったぁ! わかったからやめないでくれぇ! はぁああん!」

 

喘ぎ声を出す中年とその中年の頬をモミモミする猫、傍から見たら見るに堪えない光景である。

 

『マダナイさん… 組合長に何かしました?』

 

呆れながらもマダナイにメッセージで話しかけるモモンガ、そのメッセージを受け行為はやめず漆黒の二人を見たマダナイは笑顔で返事をした。

 

「私は何もしてないにゃぁ~ん、けどこのチョーカーはなんだろうにゃぁ~」

 

何故メッセージで話さないのか疑問に思いながらもマダナイの首元を見ると確かにチョーカーを付けている、毛と同じ色で尚且つチョーカーの幅が狭いので見難いが。

モモンガがバレない様にそのチョーカーに道具上位鑑定をかけると効果が分かった、魅了の効果があるようだ、そして厄介なのが触れている相手にはその効果が25%アップするという物だ、アインズには言ってはいないが腕にも似たようなアイテムを装備している、だが魔法で見えなくしている。

 

『……… えげつない事しますね』

 

「にゃぁ~ん」

 

この後マダナイは組合長にプレートを取りに行かせたり人型になり先ほどより大きくなった手の肉球でまた揉んであげたりしたが幸せの絶頂で組合長が気絶した、それを確認するとモモンの方を向き言葉を発する。

 

「よし! これで俺も冒険者だ!」

 

「もう何も言いません…」

 

モモンはうなだれるのであった。

 

 

 

夜、マダナイは漆黒の二人が泊まる宿へお邪魔していた。

受付の店主や他の冒険者らしき者達からジロジロ見られたりしたが何とか宿へ泊ることが出来たのだ。

そして数刻後、三人が泊まる部屋で正座をさせられているマダナイと腕を組み怒ってますオーラを出すモモンガとどうしていいか解らずオロオロするナーベラルが居た。

 

「マダナイさん、今回の件はもう済んだことなので水に流します。しかしですね貴方は本当に何がしたいんですか!? 貴方のせいで振り回される此方の身にもなってください! 他にも etc...」

 

「ごめんなさい、もうしません、許してください」

 

夜も更けエ・ランテルの皆が寝静まっても、朝になり皆が起き上がってくる時間になっても説教は続いたのだった。

 

「ふぅ、じゃあこれで許します、次は必ずちゃんと報告してから行動してくださいね!」

 

「はい… ごめんなさい、すみませんでした」

 

結局終わったのは翌日の昼前だった、終わったと同時にマダナイは倒れて寝てしまう。

モモンガはその姿を見て流石にやりすぎたと思ったのかそっとマダナイを持ち上げベットへ寝かせたのだった。

 

 

 




ペット用のアイテムがあってもいいかもしれない。
それが魅了効果のあるアイテムでもいいじゃないかと思う。
その結果がアインザックさんの醜態です。
因みにナザリックの者には効果がありません、初めから魅了されていると勝手に解釈しているからです。


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