ドイツの小学生が「デモの手順」を学ぶ理由

まず役所、次に地元紙、それでもダメなら?

若者が政治を身近なものと感じるきっかけとして、広場や歩行者ゾーンも重要な役割を果たしている。たとえば選挙期間中の週末には、各政党が市街地の歩行者天国になった道路や広場で情報ブースを設置し、党員や候補者が道行く人に政策を直接紹介し、対話を行っている。そこには過剰な握手やアピールはなく極めて自然体で、一見すると世間話をしているような雰囲気だ。また、選挙期間かどうかは別に、デモや集会もよく見かける光景だ。

いうなれば公共空間が政治的な言論空間になっているのだ。日本では公共空間での政治活動といえば、選挙カーや右翼の街宣カー、昔の学生運動の過激な映像を想像するのか、拒否感をおぼえる人も少なくない。しかし、ドイツでのそれは拡声器でがなりたてるようなことはほとんどないし、暴動のような様相にもならない。

公共空間での選挙運動では誰もが対話に加われる(筆者撮影)

また、こういうドイツの選挙運動の場で立ち止まるのは中高年が多そうに見えるが、若者が立ち止まることも少なくない。筆者の体験からいえば、パンクルックの2人連れの若者が政党のブースに足を止めて、話をしている場に居合わせたことがある。拡声器での応援演説を一方的に聞かされるよりも、「誠実な対話」があり、政治と日常が乖離していない社会の姿として印象的だった。

働き方改革が国民の政治参加を促す可能性も

ドイツでも戦後は日本と同様、学生運動が盛んな「政治の季節」があった。ある種の混乱の時期に、ドイツはこうした政治教育の方向性を作ったかたちだ。当時の若者たちは、大学卒業後、都市部の企業戦士として働く人も多かった日本に対し、ドイツではそのまま各地方で職につき、地方政治を動かした。これが可能だったのは職住近接で、労働時間も日本に比べて短かったという事情も大きかったと思われる。そう考えると、日本でも「働き方改革」で個人の可処分時間が増えれば、国民の政治参加が促される可能性もある。

『ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか』(学芸出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

このように、市民生活と政治が密接なかかわりを持つドイツだが、意外と投票率が高くないケースも見られる。筆者が住むエアランゲン市を見ると、連邦議会選は70%を超える一方で、地方選は50%を下回っているのだ。地方選が相対的に低い投票率であるのには理由がある。

連邦議会選はイデオロギーを選ぶ重要な場である一方で、地方選となると地元の具体的な問題が争点となり、それらの問題は市民投票や市民イニシアティブなどほかの解決方法も多い。そのため、2014年に行われた同市の地方選で与野党が逆転した際も、報道関係者たちから「実際のところ、党なんてあんまり関係ないし」という本音を聞くこともあった。

ドイツの場合、必ずしも投票率が民主主義の成熟度を反映しておらず、選挙は民主主義を実現する一手段にすぎないのだろう。日本も政治参加を促したければ、投票率にこだわるのではなく、まず政治へ市民がアクセスする方法を多様化することも必要かもしれない。

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  • NO NAME4e1903e7c57f
    日本の選挙カーは本当に無意味で迷惑だと思う。うるさいし、邪魔。
    「お前らもトラック持ってきて、上乗ってから批判しろ」みたいなこと言ってた政治家いたけど、いやいやお前が降りて国民と同じ目線に立ってから物言えよ、って思いました。
    up93
    down5
    2017/10/22 11:33
  • NO NAME053b4842a6f6
    ナチスはあまり関係ないかと。
    「法律は自分で制定する物」という基本理念が原則だからでしょう。
    日本の「お上が決めたことだから正しい。守るべきもの」ではない。

    「廊下は走ってはいけません」
    日本の場合は先生が理由も言わずに一方的に押し付ける。
    かの国の場合は、学級で話し合って「危険だからやらない」を合意する。
    そういう違いかと。
    up73
    down15
    2017/10/22 10:43
  • NO NAMEd80dc7ac1d66
    デモは右・左関係なく民主的な社会にとって必要なこと
    義務教育で取り入れるのも頷ける
    up47
    down0
    2017/10/23 00:50
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