2020年大河麒麟がくるキャスト
◆いだてん24話感想あらすじ~視聴率は7.8%でした
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大地震に見舞われ、壊滅の浅草――。
美濃部考蔵が廃墟になった東京を歩きます。
地震の災厄を落語で語るのです。
体協は新体制で始動したばかりでした。
金栗や野口たちは、ストックホルムの記念品を確認。
しかし、ものは無事でもシマは見つかりません。
「あ〜俺のせいばい! 俺のせいでシマちゃんが!」
目次 [とじる]
バラックが建つ
こんな時に自分を責めたらキリがないと言われますが、本当にリアルな震災とは何かがずれてしまった行動で、もう何も言えません。
演出がどんどん雑になっております。
何が起きていますか?
関東大震災の被害が、ここで説明されます。
東京市庁舎も青空市長室。
家を失った多くの人が、避難していきます。
同時にバラックの需要が高まっておりました。
永田秀次郎はその対応力の高さから、後に震災市長と呼ばれたとか。
そんな説明があるところへ、嘉納治五郎が訪問してきます。
嘉納は神宮外苑の避難所提供を申し出るのでした。
競技場が避難場所になったのです。
これは国民の寄付によるもので建てたので、当然だとして、外苑バラックは6400人が収容できます。
ここでも金栗は、シマを探して回ります。
夫・増野とも再会。清公は、逃げて助かっていると言うものの、ここでシマの被災する場面が入ります。
小梅はすいとんを配っています。
一杯目タダ、二杯目5銭。丸焼け屋というすごいネーミングです。
小梅は、シマの結婚写真を見せられ、里に帰ったんじゃないかと言います。
鉄道が復旧して、帰っている人もいたのでした。
金栗も心配されているのではないか?と小梅に指摘され、熊本へ戻ります。
こうして、政子をおぶるスヤと再会するのでした。
4年ぶりの帰郷――。
ちょっとツッコミさせていただきますと。
金栗周辺の人物で、被災したのはシマだけですか?
教え子はじめ、関係者の安否確認は?
シマ探しに熱心すぎていると表現したいのでしょうが、小梅に言われるまで家族にも報告をしない金栗は、さらりと結構なクズあるいは相当なマヌケだと思います。
無邪気で熱心に描こうとして、ただのクズになっている。
そういう場面が増えました。
金栗の愚かさ。甘ったれぶり。
ストックホルムの頃より悪化しているのは、どういうことでしょうか。
オギャるのはもう要らんのですよ。
アリバイ作りに才能あり
このあとは、金栗マイホームパパタイム。
こういうことを言うのは辛辣ではあると理解した上で書きますが、
【LINEのお返事をするなら今だよタイム】
ですね。
熊本では、一家が新聞記事を見てドギマギ。
震災後に起きた恐ろしい事件に、スヤたちが懸念を表明するわけです。
ここでちょっとおさらい。
先週の関東大震災の自警団描写について、評価は保留としておきました。
メディアとしては分かれています。
肯定派:「クドカン氏は勇敢だ!」
◆大河『いだてん』に関東大震災「朝鮮人虐殺」を示唆するシーンが! 右派の虐殺否定デマに抗した勇気
否定派:「あの程度の描写では、事件の直接的な言及とはみなせない、不足」
評価保留の私の意見としましては。
1. クドカン氏ほど時代考証をする人ならば、出さない方がむしろ不自然
2. 判断を下せるだけの情報が不足している
3. 孫基禎と南昇竜を出すのか? そこまで含めて判断してからでも遅くない
この二選手は播磨屋の足袋を履いており、当然、金栗も関わっているわけです。
金栗の指導者功績としても、この二選手の活躍を外すとしたら、異常なことだと思うのです。
この二選手を出さなければ、この程度の自警団描写でごまかされるわけにはいきません。
今週の描写で、評価は確定できました。
【】です。
自警団への言及は中途半端でした。
それどころか、流言飛語として一掃しておりました。
先週の時点で【肯定派】に回った方は、歴史やレイシズムに興味があるのでしょう。
そういう方ならば、自警団のあの程度の描写でも理解できます。
ただ、そうでないのであれば、わからないでしょう。
先週の時点で、そういう層へアリバイを作る。
そして今週、一掃して反対側を安堵させる。
巧みであると同時に狡猾さが見て取れて、私は軽蔑しか感じません。
協力し合う被災者を褒めるだけなんですよね。
ここまでくると、はっきり言って有害です。
『あまちゃん』の作家がこんな震災描写をするのは、もはや罪深いとしか言いようがありません。
過去の功績にまで泥を塗る、おそろしい展開になりました。
関東大震災後での混乱は、いうまでもないこと。
このとき、海外からの被災地支援は、トーンダウンしております。
その原因は、自警団による殺傷行為が海外でも報道されたことが契機でした。
もっと近い東日本大震災のあとも、被災地では犯罪や差別があったことは事実です。
海外のような暴動はなかったとされていますが、それを全面的に信じることはいかがなものでしょうか。
被災地、特に福島からのニュースを聞いていると、暗澹として来ます。
表向きは、被災しても笑顔で頑張っていると笑え。
そういう重圧を感じるけれど。
オリンピックだって復興支援のためだと言われるけれども。
オリンピックのために、人も、資材も、持っていかれて、復興が滞っていると。
ありとあらゆる人権侵害があった。
まだ続いている。
そんなあ震災から10年を経ていないのに、震災後に頑張る被災者を見て感動しよう!というメッセージを流す。
もう、はっきり言って意味がわかりません。
『あまちゃん』や『八重の桜』とは、これまた別。
あの二作品の舞台は、被災地でもそこまで被害が甚大ではなく、観光を盛り上げればメリットがある。そういう舞台でした。
ひとくちに震災復興応援といっても、比較すると危険なのです。
このあとの、金栗を間に挟んだ嫁vs姑バトル、実次の絶境。
もう一体どうしちゃたのか不安になってくるくらいいただけません。
この嫁と姑はむしろべったりと甘いくらい仲良しだったのに。
熊本へのアピールだのなんだの、そういう御託は間に合っています。
ちょっと良いところがあっても、その十倍くらいアラが目立っては興ざめです。
『西郷どん』での嫁vs姑バトルアピールを思い出して、うんざりでした。
被災地を走って神様になろう
被災地を走る金栗。
申し訳ないですが、金栗にはアスリートとして大事な要素が欠けていると思われ、どうにも納得できません。
韋駄天に二重の意味を持たせたと言われても、リアリティを伴わなければ……ん? なんかこのやり取り、聞き覚えがあるな。答えは後述。
それは、競技安全性の確保意識が薄いことです。
箱根駅伝の除雪が半端な中での走破強行。
夜間に思いつきで、教え子とその父を走らせる。
そして、この瓦礫の中での走行ボランティア。
危険極まりないとしか、言いようがありません。
こういうことを書くのは、心が痛む話っちゃそうですけど、自分の安全確認すらしないボランティアは、ただの大迷惑です。
被災地支援は、当時の有名人ならば行ったことです。
売名とまでは言いません。
ただ、金栗のこの支援は非効率で自己満足的に思えてしまう。嘉納の場合は納得できますし、あれはよかったとは思います。
しかし金栗は、うっすらと自己満足ボランティアに見えてきて、心がどんどん濁っていくのです。
被災地に届く、捨てるなら送るか認識が感じられる、汚れ破れた衣類。
千羽鶴。
迷惑としか言いようがないけれど、断ったらどう罵倒されるかわかったものじゃない……そういう苦い思いを噛み殺し、お礼状を出す。
そんなことを思い出し、心が濁りました……。
善意が由来の行為だからといって、相手が心地よく受け取るものとは限りません。
そこをあまり考えていない、独りよがりの姿勢を金栗から感じてしまう。
『あまちゃん』ではそんなことがなかったのに。
そういう落語を続けて欲しいな
はい、ここで美濃部パートへ。
こんな中でも、一杯引っ掛けるために出かけてしまう。
家を出ても金がない。
気がついたら、寄席へと向かっていました。
建物をなんとかこさえて、営業をしていたのでした。
高座にあがる美濃部。
焼け残りが集まったという憎まれ口から始まり、余震の話です。
女房は妊娠中だから、草履履いて寝ているって。
グラグラきたから、亭主をまたいで出て行ってく。
「なに言ってんだい! 子供と亭主なら亭主は他人だよ!」
「亭主がえらいんだ、嘘だと思うなら役所行って聞いてみな」
「役所はもう、焼けてるよ」
そう語る美濃部です。
彼の場面は、いつでも見応えがあります。
当時、復興節が大流行していました。そういう歌い踊る民はよいと思います。
そんな最中に、外では、いだてんこと金栗が走っていくのでした。
夜になると静かだと、清が美濃部に語りかけます。
こんな時だからこそ、酔っ払って笑いてえ。
だからまたノミだらけ、薄汚えバラックに来てくれと小梅ともども語る。
おりんとの仲を聞かれ、逃げてかねえなら悪くない、と答える美濃部。
ここで、すすり泣く声が聞こえてくると清が言います。
昼は笑っているけど、夜は身内の死や家屋損失を嘆いて泣いているのだと小梅が説明します。
「そして何食わぬ顔で、翌朝おはようと言うんだ」
「孝ちゃんには、そういう落語やって欲しいな。泣いても、笑っても、いいじゃねえかっていう落語をやってほしい」
しみじみと振り返る清。
それをじっと聞く美濃部。彼の目には、常に鋭い光があります。
これも皮肉だなぁ。
戦争が近づいたら、国策落語になってしまいます。
そんな中、金栗は走るシマの幻を見るのです。
「シマちゃん! 無事だったとね! シマちゃん!」
「金栗先生……」
しかし、シマは消えていきます。
大河幽霊の使い方として、正直なところ、ギリギリ及第点ですかね。
近年マイベスト幽霊シーンは、孫・氏真によって召喚された寿桂尼が、武田信玄を葬った『おんな城主 直虎』です。
シマの扱いがくどい。人が死んだら泣けるでしょう。
そんな犬が西を向きゃ尾は東みたいな話に、どういう反応をすればいいんでしょうか。
本当にちぐはぐ。
清と美濃部のあとに、この場面は要らなかったと思います。
復興運動会だ
さて嘉納は、こう宣言します。
ひとつ。
第8回パリオリンピックに選手を派遣する。
ふたつ。
その予選となる、全国陸上競技大会を開催する。
三つ目を言いかけたときに、二階堂が止めに入ります。
時局をみろと言う二階堂。ここで野口が嘉納を支持すると言います。
二階堂は完全に、口うるさくてやられるだけの役回りになりそうでもうげんなり。
いわゆるフェミニストメガネババア路線ですね。
二階堂の意見が妥当でしょうに。
第一次世界大戦に無頓着な周囲の中で、彼女だけが正論を述べていたことを思い出します。
嘉納はこういう議論がやりたかった、と言い出します。
って、適当すぎて嫌。議論の司会としてダメすぎるでしょう。
両者の言い分を怒鳴ることなく言い、論点をまとめ、示す――そんなことはせずにただ単にテキトーなんですわ。『笑天』の座布団以上に雑です。
嘉納や金栗のそばにいたら、私はストレスのあまり胃が痛くなって無理だということは、本作を観ているとよくわかりますとも……。
三つ目は、運動会だと宣言する嘉納。
元は金栗のアイデアだそうで。
外苑バラックで復興運動会をやると提案するのでした。
震災後の避難生活でも、子供たちは遠足や林間学校が続いているようなもの。
子供達にこそオリンピックを見せてやりたいと語る嘉納です。
「そこで運動会だ!」
う、うーん。
この子供は全員運動会が好き――というナチュラルな決めつけが辛いです。
全国の運動会およびその練習にトラウマがある者を、葬りにくる流れで、私は吐血したいレベルで被弾しましたね。
ここで清と小梅が食ってかかります。
怪我人も大勢いるのに、運動会じゃないだろう。そう正論を吐くのです。
そういうのはほったらかしか?と食ってかかります。
しかし、ある意味チート枠の増野がやって欲しいと言います。
シマの耳に届けば駆けつけるってさ……。
って、これを美談にするんですか?
シマが被災者のシンボルになっておりますが、公私混同じゃありませんかね。
既視感があるんです。
戊辰戦争の死者全体を矮小化する一方で、西郷隆盛の弟・吉二郎戦死を盛り上げた『西郷どん』……。
てなもんで、自治会長と体協がしぶしぶ手を打って、復興運動会が行われることになりました。
「やっぱりスポーツは娯楽の王様だー!」
というセリフが、やっぱり心に刺さります。
すまん。
野球観戦席で読書して悪かったと認めるから。
そこは認めるから、スポーツ苦手な側の人間にも、呼吸する権利をください……。
そこへ、安仁子もやって来ます。
彼女は私財をなげうち、児童福祉施設を経営していたのだとか。金栗主役パート再会タイムですね。
このあとの運動会は、なんと言いますか……他人のホームビデオを見せられているような気分です。
すまん、スポーツ観戦苦手ですまん。
謝るから、謝るから、こっちにこないでください。
大森兵蔵が伝えたバレーボールは女学生に大人気なんだって。
そんな中、人見絹枝が訪れました。
岡山から来ていて、シマからの手紙を受け取ったそうです。
走るのが嫌いだったけれど、岡山の競技会で走り幅跳びで日本新記録を出したんだとか。
シマにお礼を言いたくて来たんだと。
浮かれていた金栗は暗い顔になります。
そのタイミングで、増野がシマを探す姿が見えると。
そして人見と増野が出会い、増野がシマの手紙を読むのでした。
なんとなく感動的な流れになって、おしまい。
ここも美濃部の復興寄席が救いですね。
どれだけ酷い描写があろうと、森山未來さんはいつでも素晴らしい。もはや芸術そのものといった趣すらある。
そのあと三島が出て来ましたが、こんな三島天狗は別にいりません。
私財を投げうち復興をする。
それこそ金持ちの気概を見せて欲しかったものです。無理な望みってやつなのでしょう。
金栗主人公編が終わりました。
金栗はもうアスリートを通り越し、金栗が走るとみんな笑顔になるという
【宗教的象徴】
になりました。
「いだてんにはそんな意味があったんだねーーーー!」
とは全然思えなくてすみません。
そんなことを言われても、
「金栗がメリサンドル(※『ゲーム・オブ・スローンズ』に出てくる巫女)になったんだ……」
としか思えない私。
セルフドラカーリスして焼かれますので、お許しください。
MVP:清と小梅
今日一番の正論は、
【動けない人もいるのに運動会どころじゃねえよ】
だったと思います。
これもある意味、森山未來さん効果。
神様にしないでくれと言いたい気持ちはある一方で、むしろ神様は彼なんじゃないかと思います。
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彼がいると、周囲の演技まで輝いて見えます。
すごいことになって来たな。
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