保健省傘下の人口・家族計画化総局は、妊娠12週目以降の中絶禁止など、中絶が認められる条件を厳格化する人口法草案を策定した。しかし、「違法な中絶が増える」など同草案の規制を懸念する意見が上がっている。
草案によると、母子の健康に危険が及ぶ妊娠、レイプや近親相姦による妊娠などのケースを除き、妊娠12週目以降の中絶が禁止となる。また、胎児の性選別を目的とする中絶や母子の健康に深刻な影響を及ぼす中絶は、妊娠週数に関わらず禁止される。
同局のグエン・ディン・バック法務部長は、同案により増加する青少年の中絶や性選別を目的とする中絶の減少や、望まない妊娠を防ぐための責任感を高めることに繋がるとしている。一方で、望まない妊娠をした女性の中絶権を制限することになるほか、法規制により違法な中絶が増える恐れがあるとの見解を示した。
同局の統計によると、15~19歳の中絶件数は年平均で30万件を数えるが、その6~7割を生徒や大学生が占めている。世界保健機関(WHO)によると、ベトナムは中絶率がアジアで最も高い国で、世界でも上位5か国に入っている。