開発経費、概算要求見送りへ=F2後継機、設計方針まとまらず-防衛省

 2030年代半ばから退役が始まる航空自衛隊F2戦闘機の後継機をめぐり、防衛省は2020年度予算概算要求への開発関連経費の計上を見送る方向で調整に入った。複数の政府関係者が23日、明らかにした。後継機に求める航続距離や速度、レーダーの探知能力などの性能や設計の概要がまとまっていないためだ。事務次官をトップとする検討チームはとりまとめを急ぐ。

 「さまざまな提案を受けて、中身を精査している段階だ。できるだけ早く方向性を示したい」。岩屋毅防衛相は21日の記者会見で、後継機の選定状況について、こう説明した。同省幹部も「米国との調整も必要だ。まだまだ時間はかかる」と語る。

 昨年末に策定した中期防衛力整備計画(19~23年度)は、後継機について「国際協力を視野に、わが国主導の開発に早期に着手する」と明記。防衛省は、F2退役が35年ごろから始まる一方、後継機の生産には開発から15年程度要すると想定している。このため、自民党内には20年度予算で開発経費を確保しなければ、F2退役までに後継機が間に合わないとの危機感が根強い。

 関係者によると、航空幕僚監部はジェットエンジンを2基搭載する大型で航続距離の長い戦闘機を国内防衛産業を中心に開発するとの構想を内々にまとめた。ただ、後継機の発注は多くても100機程度にとどまるため、コスト増大が避けられず、国内企業中心の開発には多額の予算が見込まれることから、財務省などの抵抗は強い。

 このため、19年度予算に続き20年度も研究費の計上のみになるとの見通しが政府内では出ている。

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