吾輩は猫である ~名前はマダナイ~ 作:大三元
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あぁ暖かい、こうやって永遠にこの至福の時を過ごしたい。
昨日はアルベドの膝の上、今日はデミウルゴスの膝の上でゴロゴロしています、どうもマダナイです。
デミウルゴスの膝の上で丸くなり眠っているマダナイに対しデミウルゴスは何処か緊張した面持ちで職務を遂行している、用があって入室する悪魔達も皆何処かぎこちない。
そんな事を知らないマダナイは夢うつつの中今日のお昼ご飯は何かと考えているのだった。
お昼前、目を覚ましたマダナイはデミウルゴスの膝から降りると背伸びをしデミウルゴスに礼を言うとトコトコと部屋から去っていく、デミウルゴスの顔は何処か寂しそうな顔だったと後に部下の悪魔が証言したとかしなかったとか。
自室に戻る最中何処からか良い匂いがするのでフラフラと匂いの方へ行くとそこは食堂だった、大勢のメイド達が美味しそうに食事をとっている。
誰が最初に気付いたか解らないが一斉にマダナイに気付き一斉に立ち上がる、そして皆が礼をする、何とも言えない光景だがこれが上位者の日常なのだろう、そう思い余り気にしないことにした。
ここで食事をするかと思い体を人型に変える、そしてビュッフェ形式なのでトレーを持ち食事を取ろうとした時お付きのメイドに「私がやりますのでマダナイ様はどうぞお座りになられてください」と言われた、こう言われたら仕方ない、素直に従って座って待つことにしよう。
適当に開いている席に座る、何やら周りのメイド達はソワソワしているが気にしない、何かあれば言ってくるだろうというスタンスで待つ。
数分後食事を持ってメイドが現れた、今日の昼ご飯はパスタの様だ。
ミートスパにクリームにと色々な種類があるの、これをマダナイもっちゃもっちゃと食べて行く。
どれもこれもが旨い、あぁゲームの世界に入れて最高だと思う。
ここでふとあの味付けのパスタが食べたくなった、それを作れないか側に控えているメイドに聞いてみる。
「なぁ、パスタだろ?ペペロンチーノは無いのか?」
何がいけなかったのだろうか、この言葉を発した途端辺りの温度が数段下がった気がした。
考えることが苦手であるマダナイも原因を考える、あっ、ペロロンチーノと名前が似ているからか?等と結論付けた。
固まったままのメイドをしり目にマダナイは再び目の前に置かれている食事に手を伸ばしモグモグと食べ始める、内心何か言わなきゃいけないな等と考えてはいたがその言葉が思いつかずひたすらに何とも言えない空気の中食事をすすめていったのだった。
「うむ、ご馳走様」
手を合わせ食事を終わらせる、やはり満腹になると眠くなる。
とここで先ほどの回答が出た気がしたので口に出してみる。
「ペペロンチーノとペロロンチーノはまぁ似てるよな、実際ペペロンチーノからもじったみたいだし、しかし似ているからってあの鳥なわけじゃないんだからそこまで気を使う事は無いんじゃないか?」
この言葉を聞いたメイド達の顔を今後マダナイは忘れないだろう。
食後眠い目を擦りながらふらふらと彷徨う、行き着く先は何処だろうか。
廊下でした、もう眠いので寝ますおやすみなさい。
流石に人型だと邪魔になるので猫になる、吾輩は猫である、故にここで寝るのである。
廊下の真ん中でスヤァと寝てしまったマダナイをお付きのメイドはどうしていいか解らずオロオロしてしまう。
その時偶然にもモモンガがその場所に来たのである、メイドから経緯を聞きやれやれといった様子になるが何処か機嫌がいいみたいだ。
モモンガは起こすのもあれだろうと思い抱き上げることにした。
モモンガの部屋、椅子に座るモモンガの膝の上でスヤスヤと眠るマダナイ、見る人が見たらどこぞの危ない人物に見える構図である。
そしてモモンガは何をしているかと言うと遠隔視の鏡を使おうと四苦八苦しているのであった。