吾輩は猫である ~名前はマダナイ~ 作:大三元
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吾輩は猫である、名前はマダナイ。
ユグドラシルがサービス開始して半年、やっとの思いでレベルをカンストさせた。 情報が…情報が無さすぎるよ………
1年目にして挫折、新たにキャラを作り直すことに。
一か月でレベルを5に、二か月でレベルカンストに成功、偏にゲーム内で知り合った親友達のおかげである。
この三か月の突貫キャラリセットのおかげでリアルでの職を失う事となるがそれは別のお話。
そしてそこから半年間ひたすらにユグドラシルに入り浸った。
ひょんな事から運営の一人とリアルでの知り合いになる、何か優遇してと言ったら笑顔で殴られた、「個人を優遇するほどうちの運営陣は腐ってない」らしい。
リアルで新しく職を見つけるがユグドラシルからは足を洗わずまだ続ける。
ここで親友数名と共にクランを設立、三か月程で崩壊。「皆個人で動いているのでそこまでクランの恩恵を受けなかったのが原因かも」(元副クラマス発言抜粋)
この時期から親友と共にふらふらとする事が楽しくなっていく。「ねこだもの マダナイ。」
同時期親友の一人と一人のアンデットを救う、仲間曰「誰かが困っていたら助けるのは当たり前!」らしい。
念願のワールドアイテムを手に入れたぞ! ………数週間後には奪われました、ナニアノ天使コワイ。
またしてもクラン結成を持ちかけられる、前みたいになるだろうから今回はパスしたのだった。
あぁ無情かな、貯金が尽きてしまった、しかしユグドラシルやめれないんですけど。
一か月ユグドラシルから離れた、その甲斐あってお金がいっぱい増えたよ! ………親の所有している土地がいくつも消えたが不思議な事もあるんだな。
時が過ぎクランではなくギルドに招待された、なんでもできたてほやほやらしい、入って見るか。
このギルドいろいろと面白い、先ずメンバーが個性豊かすぎる、そしてギルド初のイベントで拠点を入手、ここまでは良い、なんだよ初見攻略って。
ロリババアは良い物だな、男の娘?いいなそれ♀、ギャップ萌えも良い物だ、武人?あぁ掘られたいね♂、え?俺は何処までOKなのかって?ハハハッ!全てだよ全て、ちょっ!鳥!引くな!お願いだから!。
またしても正義と悪が喧嘩している、俺はそっと骨を差し出すことにする。
ギルドランク1桁キタ!今日はお祝いだ!。
繁栄あらば衰退あり、メンバーが一人また一人と減っていく…。
最後に残ったのは猫と骨か、仕方ないね。
なんやかんやあった12年だった、リアルではまた無職になったりしたが親の遺産が入って元気です。
「ではまたどこかでお会いしましょう」
そういってドロドロとしたスライム型のキャラはログアウトしていった、ユグドラシルの12年の歴史も今日で終わる。
いろいろと思うところがあるのだろうギルド長であるモモンガさんは机を叩いた、No Damageと表記が出る。
「もう時間もない事ですし最後は玉座の間に行きませんか?」
「そうですねマダナイさん、では行きましょうか」
そうして二人は第十階層の玉座の間へ移動した、途中で見かけたプレアデスも連れて行く事に「最後ぐらいは働かしてあげよう」との事らしい。
玉座の間に着いたモモンガは玉座に座る、俺はその横に立つ。
モモンガは無言で部屋を見渡している、その時俺は次のゲーム何するか考えていたのは内緒だ。
新しくサービス開始したFPS系のゲームでもするかと考えている時モモンガが驚いたような声を出した、びっくりしてモモンガの方を向くと守護者統括のアルベドの設定を見て驚いたらしい。
「モモンガさんはNPCの設定とか見ない派の人でしたね」
「そうですね、そういやマダナイさんはどっちはです?」
「私は見まくるタイプですね、ある程度なら記憶しています」
モモンガは俺を見て固まっている、何だこの骨、お前だって殆どの魔法やアイテムの効果覚えてるじゃないか。
「…いやぁそれにしてもビッチって、どう思います?」
「話を逸らしたなこの骨め、いやぁ良いじゃないですかビッチ、貪られたい」
「聞いたのが間違いでした…」
そういってモモンガはコンソールをいじり最後の一文を消去し文字を打ち込む「ギルメンを愛している。」と。
「…まぁモモンガさんだし………勇気がなかったんですね」
「ちょっ!どういう意味ですか!?」
その時ユグドラシルは終わりを告げた、しかし新たな時の始まりでもあった。
何時もと同じく楽しく言い合いをしている時にモモンガが異変に気付いた。
「あれ?コンソールが消えてる………チャットもGMコールも使えない」
「ほんとだ、何でだ?延期?それともバグ?」
二人してオロオロしているとアルベドが話しかけてきた。
「どうかなさいましたか?モモンガ様、マダナイ様」
心配した面持ちでモモンガに近づくアルベド、モモンガはと言うとアルベドの胸を見てピカッっと光った。
ここからモモンガは色々と指示を出した、セバスに周辺の探索を命じたりアルベドにセクハラしたり6階層に第4第8以外の守護者を集めさしたりした、その間マダナイは顔を自身の肉球でムニュムニュと触っていたのだった。
第六階層に向かっている時にモモンガと意見を交わした、ここまでの異変やはりおかしいと。っで一応の結論としてあり得ない事だがユグドラシルに取り込まれたと仮定した。
そしてNPC達も生きているものとして考えることに、そして二人はそれらしく振舞う事になった。
「あ~、猫になっちゃった…猫、にゃぁあああああん!!」
「おっ!落ち着いてくださいマダナイさん!俺だって骨になっ…ふぅ」
「またか、鎮静化かぁ、ワーキャットにはそんなもんないから羨ましい」
話しているうちに円形闘技場に到着した、そこでぶくぶく茶釜さん作成の双子のダークエルフの姉が迎えてくれた。
「いらっしゃいませモモンガ様!マダナイ様!私達の守護階層までようこそ!」
アインズは姉のアウラを見て動かない、マダナイも同様だ。
この二人を見て何か思ったのか直ぐに振り向き弟を呼んだ。
「マーレ!至高の御方々に失礼でしょ!とっとと飛び降りなさいよ!」
「む、無理だよお姉ちゃん」
「マァーレェ!」
「わかったよぉ… えぇい!」
なんやかんやあったが双子が揃った、そこからはモモンガの意見であった魔法が使えるかどうかの実験をした。
その間マダナイはまだ自身の体のあちこちをもにゅもにゅと触っていたのだった。
守護者各位が揃いそしていろいろあってセバスが合流した、そしてモモンガが自分とマダナイの事をどう思っているか聞いた。
結果モモンガはめっちゃすごい、マダナイもめっちゃすごいという事が分かった。
『マダナイさん、では私の私室に行きましょうか』
『先に行っててください、まだ確かめたい事があるので』
『そうですか?なら先にいって待っていますね』
そうメッセージで言うとモモンガは消えた、そして今だその場から動かない守護者達の方にマダナイは体を向けると両手をバッと広げた。
「にゃぁああああああああああん!」
皆が困惑した表情になり辺りが静寂に包まれる、マダナイは動かない。
「あの、マダナイ様?」
「にゃぁああああああん!んにゃんな!」
「申し訳ありません!」
この気まずい雰囲気を打開する為にアルベドが話しかけたのだがマダナイはまた意味不明な事を発した、そしてアルベドが謝罪するとこの場に居る者全員が跪いた。
「ふむふむ、猫語が解る者は居ないようだな、では私も移動する」
そう言うとマダナイもどこかへ消えていった。
残された者達、ある者は困惑しまたある者は自分の不甲斐無さに憤怒しまたある者は全く訳が分からないといった顔のまま固まったのだった。