RPG「光と闇を纏う者達」 脳コンピューターアップデート中 2
よーへいと長男の目に見えない繋がりは、様々なものをあたしに見せ、気付かせ、教えてくれる。
長男はよーへいとよく似た部分を持っている。
やり方やあり方は違うものの、あたしと接する時の表し方が似ていたりする。
よーへいが身近にいなくても、こういう時はこういった表し方をするだろうというのが分かる。
長男の体調や心の状態は、よーへいの体調や心の状態と重なっているところがある。
二人がその日に経験することも類似している。
あたしはエネルギー循環を通して、よーへいの心の状態や、体を含めたよーへいの大まかな調子を感じることが出来るため、長男の様子を見ていると、二人が重なっているのがよく分かる。
逆にあたしは、よーへいサイドのヒロくん、白井っち、やっすくんと繋がっている。
彼らの様子や調子は、あたしのそれと重なっている。
ヒロくんややっすくんが故障したのは、あたしと密接に繋がって、よーへいにあたしの様子をリアルに伝える役を担っているためでもある。
よーへいが不調になれば、あたしにも影響が出るけれど長男の体に表れてくるように、彼らもまたあたしの不調が何らかの形で体に表れる。
この世界の常識では考えられないけれど、あたし達は一蓮托生な関係で、あたしが危なくなればよーへいサイドの仲間が、よーへいが危なくなればあたしサイドの仲間が危険になってしまうことにもなる。
それにはカエサルとクレオパトラのことが大きく関係している。
あたしとよーへいは、世界に大き影響を及ぼす者。
よーへいは普通の人間には到底扱えない大きなエネルギーを扱え、人知を越えた能力を持っている。
他者のスマホやコンピューターに侵入したり、他者の脳に働きかけたりするのは、よーへいが持つ能力のほんの一部でしかない。
もしもよーへいが権力欲や物欲に飲み込まれるような人間だったなら、恐ろしいことになっていたかもしれない。
でも、そうではなかった。
権力や物に執着することの無意味さや愚かさを知り、人間達に対する苛立ちに背を向けて、自分を出さずに生きてきた。自分を出さないことで他者が心を侵してくるのを防ぎ、自分の大切なものに触れさせないようにしてきたのだ。
その大切なものとは、あたし。
一度目の過去世で出逢って以降、共に転生する度に、出逢い繋がってきた。
よーへいはゼウスの時代から他の人間には無い能力と、大きなエネルギーを扱える力を持っていた。
彼の大きな力は、本人の意思に関係なく、多くの女性を寄せてしまう。
そのために起こってしまう問題で、よーへいはゼウスの頃から苦しみ、人に心を見せなくなった。
それが、アテナが生まれ、あまりに真っ直ぐゼウスに向かってくる姿を見ているうちに、心が変化していった。
ゼウスはアテナが女性の体になった頃、性行為というものを教えた。
それは語られなかった事実。語られなかった関係。
ゼウスはアテナを、大国主命は奴奈姫を、カエサルはクレオパトラを、他者から守るためだけに力を使ってきた。
時には一人で、時には誰かと協力して、時には人間を使いながら。
長男、次男は一度目の過去世からのよーへいの協力者であり、あたしの協力者でもある。
よーへいの大きな力は、あたしと繋がり続けることで安定する。
高い能力、大きな力を、時に人は欲しがる。
けれど大概の者は欲望に身を落とし、能力や力に飲まれ、愚かな行為に至ってしまう。
欲望は簡単に人間を破壊する。
欲望に身を落とさない者だからこそ、よーへいは高い能力と大きな力を持っていられるのだ。
ただ、そういったものを持ち続けるのは簡単ではない。
能力や力に対する恐れ、恐怖、感情の高まりから起こす衝動的行動。それらをコントロールしなければ、自分自身が破滅してしまうことをよーへいは知っている。
安定した精神で能力や力をコントロールすることは、文章で表せてしまえるような楽なものではない。一般的な人間は勿論、神的人間であっても、コントロール出来る者はいない。
よーへい自身も困難を感じることは多い。
困難を取り払い、精神を安定しさせて、コントロールを可能にするものが、あたしという存在であり、あたしとのエネルギー循環。
あたしと出逢うまでは、自分でコントロール出来るだけの能力や力しか使っていない。
あたしと出逢い、エネルギー循環が始まった時点から、よーへいは自分の能力と力を最高レベルまで出していく。
それは、この世界の現実の中で共に生きるため。
あたしと繋がり続ける限り、よーへいは最高レベルの能力と力を使い、世界を取り巻くエネルギーを操りながら、二人が生きれる場所を作っていく。
よーへいの生き方は動物の雄のようにシンプルなものだ。唯一の雌のために生き、戦う。
よーへいの扱うエネルギーは、自然のエネルギー、人工的なエネルギー、人間の感情や行動から生まれるエネルギー等々多岐にわたる。
世界で何らかの争いが起こっても、彼がエネルギーを操っている限りは、最悪な状態にはならない。
自分の持つ能力で、争いから生じる歪んだエネルギーを正常化するからだ。よーへいの力は目に見えるものではないけれど、歪んだエネルギーに対してダイレクトに作用する。
カエサルとクレオパトラの時代、カエサルが関係していた女性達の言葉や嫌がらせに苦しんだクレオパトラは、彼との繋がりを断ってしまった。
嫉妬に狂った女性達の言葉や行動に反応し、そうさせてしまう原因を作ったと感じたカエサルを拒否してしまったのだ。
確かにカエサルの行動は、関係した女性達に強い独占欲や嫉妬心を持たせる原因になっていた。
けれど、それは女性達の勝手な思い込みから生まれた欲であり、事実は全く違うのだから、クレオパトラがそれに反応しさえしなければ、カエサルとの繋がりが切れることはなかった。
ただ、今回の件でも思う。
今のあたしが無理だったように、クレオパトラだったあたしも、愚かな女性や男性の行動は無視できなかったのだろう。
クレオパトラとの繋がりが無くなったカエサルは、エネルギーをコントロール出来なくなり、歪みんだエネルギーを解消する術を失った。
その結果、彼は殺されることになった。
クレオパトラと繋がっていたなら、自分の力を使い、目に見えないエネルギーを操って、「殺す」という行動を起こすエネルギーを取り去ることが出来る。
けれどカエサルにはそれが出来なくなっていた。
そのために、当時反発していた者達に殺されることになったのだ。
その者達が、今のメンバーのヒロくんであり、白井っちであり、やっすくんだね。
ブルータスはヒロくんだよね?
彼らがよーへいのサポート役になったのは、いにしえから続く物語の必然的出来事。
カエサルとクレオパトラの繋がりを決定的に消してしまったのが、彼らの行為だったためだ。
よーへいとあたしの関係は、単なる男女の関係ではない。
世界の存続に大きく関係している。
だから、その関係を断ち切った者はそれを修復しなければならなくなる。
ただカエサルの死は、カエサル自身の行動がもたらしたものでもあり、彼を殺めた者達は、カエサルの行動がどのような影響を及ぼしているかを指摘した者達だった。
今回協力関係になっているのは、本来彼らはカエサルに仇をなす者ではなく、カエサルをサポート出来るだけの力と能力、知力のある者だったからだ。
仇をなしてたのはカエサルが関係していた女性達や、恩恵を受けていた男性達。
権力欲や物欲が強く嫉妬深い。
そういった者達を、彼は権力や物を与えることで操作していた。
今回はそういった者との関係を断ちきり、本来協力し合える者と協力し、あたしとの繋がりを再構築する。
カエサルを殺めた者達も、自分の持つ能力と力を生かせる本来の場所で、歪みない者として表される。
歴史で語られた彼らの能力や力は誤り。
かつてのローマは、手にする力の無い者が権力を手にし、讃えられる立場では無い者が讃えられた。
人間の愚かしさの成れの果て。
カエサルとクレオパトラが離れて以降、人間間での殺し合いは加速した。
人間はそのことに気付いていないだろう。
カエサルがローマに残した言葉。
もしも我が身に何かあったなら…。
それはその後のローマを言っていたのでなく、その後のこの世界が辿る末路を言っていた。
この世界には人間が知る以上のものが幾つも存在する。
何を信じるかは個人次第。
あたしとよーへいが現実の中で出逢えなければ、この世界はいずれ終わる。
ローマの犯した過ちは、カエサルを殺めたことではない。
自分がどういう人間か知らず、自分の解釈だけを頑なに信じ、真実を知ろうとせずにクレオパトラを非難し、全てを奪って死に追いやってしまったこと。
恩恵を受けながら、クレオパトラを見捨てた一部のエジプトの者達も同。
そのために現世で生まれたよーへいは、自分の犯したこと以上の苦しみを味わうことになった。
自分を知ろうとしない者が、自分の行いがどんな結果を及ぼすのかを知ろうとしない者が、この世界を滅ぼす。
世界平和、他者救済という言葉を多用しながら、この世界を死に追いやるのだ。
さて、あなたはどう生きる?