Gunosy 取材記事
ある夜、突然、妻に言われました。
「子どもの塾どうする?」
中3になる筆者の息子。高校受験に向けて塾選びをする時期か……。とはいえ、塾のことなんて何も考えていなかったので適当にやりすごそうとしたところ……。
—筆者の妻
東京個別指導学院って知ってる? そこね、生徒が講師を選べるシステムなんだって。
—筆者
生徒が講師を選ぶ? なんかおもしろいね。
—筆者の妻
その講師がアルバイトの大学生なんだけど、カリキュラムとか、テキスト選びとか、教え方とか自分たちで考えて、提案して授業するらしいの。
—筆者
へえ、アルバイトがそこまでするのってけっこう意識高いな。
—筆者の妻
でしょ! あなたの大学時代とは大違いよね。
ママ友ライターが取材したらしい
筆者の大学時代の話はさておき、なぜそんなに詳しいのか理由を聞いたところ、ライターをしているママ友が東京個別指導学院・関西個別指導学院を取材したらしいのです。その記事がこちら↓
読んでみると、たしかに生徒が講師を選んでいます(※1)。それよりも筆者が気になったのは大学生講師の人としてのレベルの高さ。責任感が強く、子どもたちとの信頼関係も築けており、人としてしっかりしているようなのです。たしかに筆者が学生の時とは大違いだ……。
そこで、講師をどのように育成しているのか東京個別指導学院・関西個別指導学院に取材を申し込んだところ、
「それなら講師研修を受けてみませんか?」
と、まさかの返事が!(※2)
「はい!お願いします!」と元気よく返事をしたのですが、塾講師の経験も、ましてや人に勉強を教えた経験もない筆者、大丈夫なのだろうか……。
やってきたのは、東京個別指導学院・関西個別指導学院 本社
不安を抱きながらやってきたのは東京個別指導学院・関西個別指導学院 本社。こちらは今回の研修の講師を担当する臼井さん。よろしくお願いします!
今回受ける研修は2つ
通常は全部で12の研修を3ヶ月かけて行い、研修中は仮採用、そして研修を終えると本採用となるそうです。
今回筆者は12の研修の中から初期に受ける「Rookie(ルーキー)研修」と研修の最後に受ける「Trainee(トレイニー)研修」の2つを研修中の大学生と一緒に受講することに。
いきなりの「プロ意識」に背筋がピンッ
まず受講したのは「Rookie研修」。ルーキーだから、と軽い気持ちでいたのですが……。
「講師の仕事とは」何かと聞かれた筆者。
—筆者
教えること?授業すること?
しかし臼井さんから教わったのは……。
講師の仕事とは 授業することではなく、成果を出すこと。 授業することは、成果を出すための1つの手段。
親御さんが学習塾に求めているのは成果。つまり学習効果。成果を出すことが塾として最優先すべきことなのです。
もうひとつ、親御さんが求めるのが生徒の成長。成果だけでなく、いかに生徒が成長できるかを考えながら授業をすることが大切だといいます。
これってもう普通に学校の教師と同じ意識じゃないですか! ルーキーだからと軽い気持ちでいたのですが、いきなり教えられたプロ意識に背筋がピンッと伸びました。
親がドキッとする3つの言葉
そして成果を出すため、生徒を成長に導くために大切な心構えとして教わったのがこちらの3つ。
・信じる
・励ます
・ほめる
●信じる
1回言って理解する生徒もいれば、10回言っても理解できない生徒もいます。そんな場合でも、次は理解してくれるかもしれない、と生徒を信じてあげることが大切。親御さんの中には「この子、勉強が苦手なんです」と塾に連れてくる方もいるので、そういうときでも先生が生徒の可能性を最後まで信じてあげることでやる気につながります。
●励ます
生徒が目標を達成するまでの間、信じて励まし続けることが大事なんです。「一緒にがんばろう!」という一言でやる気を出す生徒もいるので、1つひとつの言葉を大切にして生徒を励まします。
●ほめる
例えば50点が55点に上がるという少しの変化であっても、ほめられることで生徒は成功体験を得られます。ほめられたことが自信になり、60点とれるようにがんばろう! と次へのチャレンジにつながるんです。
これにはドキッとしました。自分は親としてこの3つができているだろうか。息子の顔を思い浮かべてみましたが、自信がない……。
いよいよ模擬授業スタート
人生で一度も「授業で教える」なんてしたことがない筆者。不安しかありませんが、研修で教わった授業例を参考にチャレンジです。
講師1人に生徒2人という実際の授業と同じスタイルで行います。講師はもちろん筆者。生徒2人は一緒に研修を受けていた大学生にお願いしました。
ほめることを意識する!
まずは挨拶から。生徒に安心感を持ってもらうために笑顔で自己紹介します。そして今日の授業の目標を設定して、授業スタート。意識してほしいと言われたのは、しっかりほめること。
生徒が立てた目標をほめ、問題が解けたらまたほめます。たとえ間違えたとしてもいいところを見つけてほめます。
ほめることに慣れていないので、開始直後は恥ずかしかったのですが、次第にこんな気持ちになりました。
ほめると自分も気持ち良くなる!
生徒のいいところを見つけてほめているうちに次第にほめることが楽しくなり、ほめると生徒が笑顔になってくれるのでこちらも気持ち良くなるんです。
「わかった?」と聞かない理由
教え方の基本方針を教わる中で、特に印象に残った指導法が「わかった?」と生徒に聞かないこと。
「わかった?」と聞くと生徒はたとえ理解していなくても反射的に「わかった」と言ってしまうんだそうです。なので、解説後は「わかった?」とは聞かずにすぐに演習問題へ。演習の様子を確認しつつ、繰り返し解いてもらうことで本当の理解につながるという考え方なんです。
最後の研修テーマが意外
そして後日、3ヶ月間の研修を締めくくる「Trainee研修」を受講しました。最後の研修なのでもう一度模擬授業を行うのかと思いきや、テーマは「ホスピタリティ」。
教室のカウンター前に不安そうな表情で立っている女の子の気持ちを考えて、ホスピタリティのある対応とは何かをグループでディスカッションするというもの。
ディスカッションなんてなかなかすることがないので意見を言いよどんでいると、一緒に受けた大学生から次々と意見が。
—大学生A
宿題を忘れたとか、学校や家で嫌なことがあったとか、いろいろ考えられると思います。女の子の性格も考えながら、いろんな状況を想定する必要があると思いますね。そのうえで、なるべく笑顔で声をかけるというのがまず第一歩かなと。
—大学生B
女の子に気付いた人だけではなく、ほかの講師や担当講師にも状況を伝えることが大事だと思います。もしかしたら担当の講師には心を開いていろいろと話してくれるかもしれないので、教室全体で女の子をフォローできるといいですね。
すばらしいです。ここまで考えられる学生が講師なら、自分の子どもを預けてもいいと本気で思いました。
研修終了後に臼井さんに話を聞いた
—筆者
研修ってけっこう大変なんですね。途中で辞めてしまう人はいないんですか?
—臼井さん
途中で辞めてしまう人はほとんどいないですね。けれど、筆者さんと同じように、Rookie研修を受けて「本当に自分にできるの?」と少し不安になる学生はいます。
「Rookie研修」を終え、教室でも研修を受けた後、実際に授業をすることになるのですが、授業をしていく中で、教えることはもちろん、とにかく生徒を知ることが大事なんだと気付き、生徒に合った自分なりの教え方を見つけて自信をつけていく講師が多いですね。
—筆者
応募してくる大学生は勉強が得意な人が多いんですか?
—臼井さん
勉強に自信があるから教えたいという理由で応募してくる学生もいますが、勉強で苦労したからその経験を生かして教えたいという学生もいます。
—筆者
採用時はどのような点に注目していますか?
—臼井さん
筆記試験の結果はもちろんですが、身だしなみや人に対する思いやりがあるか、ホスピタリティがあるかを見ています。
東京個別指導学院の講師にとって大切なことは、人のために何かしてあげたいという想いを持つことなんです。お子さまはもちろん、保護者さま、一緒に働く講師のために何ができるのかを考えられることが重要です。
—筆者
カリキュラムの作成、テキスト選び、教え方など、講師が自分たちで提案する「自主性」はどのように育てているのですか?
—臼井さん
採用の段階で、ホスピタリティの「種」を持っているような学生を採用しているんです。おそらくそれが研修や授業を通して開花したときに自主性が生まれるんだと思います。
—筆者
ちなみに筆者の授業ぶりはいかがでしたか?講師になれそうでしょうか?
—臼井さん
ほめるのはすごく上手でしたよ! あとはしっかりと学力があれば……。
臼井さん、お気遣いありがとうございます!
まとめ
授業の仕方や勉強の教え方などのレクチャーを重点的に受けるのはもちろんですが、今回受けた研修では理念や考え方にも重きを置いており、親としてハッとさせられることばかり。
「ホスピタリティ」という言葉が出てきたときには意外に感じましたが、大学生講師がここまで考えるからこそ、クオリティの高い教室になるのだなと納得しました。
今回の取材の様子を妻に伝えたところ「息子と見学に行く!」と張り切っていました。
息子よ、そして受験生、がんばれ!
※1:担当講師は、講師の在籍状況によって教室と相談となる場合があります。
※2:今回、取材のために特別に実施したものです。通常、保護者の方の研修体験は実施しておりません。