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あまりにも重すぎるのでmixiに移しました…。

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1970年代後半から80年代前半にかけてのフュージョン・ブームを牽引していたのは主にギタリストだと筆者は思っているが、その中でもリー・リトナー(先日の杏里との婚約発表にはビックリした!)とラリー・カールトンは、特に日本でのブームの立役者だと思う。誤解を恐れずに云えば、彼等の作品は万人に解り易いのだ。その辺が時として自称音楽マニアを気取る連中にとっては嘲笑の対象になってしまうのかもしれないのだが。

実際、筆者がこのアルバムで初めてカールトンの曲が耳に入って来た時にも「え!?これ高中正義!?」って思った程キャッチーで覚え易いポップな曲想で、すぐに虜になってしまった程だ。しかし勿論、キャッチーでポップだからと云って単純なものと云うわけではない。このアルバムにしてもキャッチーではあるが、随所にカールトンの高度な演奏表現から感じられる。奏でられる音に余裕があり、安心して聴いていられるのだ。何でもかんでも複雑にしてスピードを上げるといった様な演奏が目立った時期もあるフュージョン・シーンでも、カールトンの様に高度な演奏技術を持っていても、それを見せびらかす様な弾き方はしない本物のミュージシャンがいたから、インストゥルメンタル・ミュージックがこれ程まで世間に浸透していったのでは無かろうか。

このアルバムはカールトンとしては3作目に当たるのだが、ファーストはなんと1969年、セカンドが1973年とアルバム・デビューしてからの彼の作品創りは決して速いものとは云えない。しかし、それは彼が活動していなかった訳ではなく、実際にはむしろ逆で、数々のセッションをこなしていたからに他ならない。古くは1968年に、なんとフィフス・ディメンジョンのツアーに参加したり、そして勿論、有名なクルセーダーズへの参加(1974)、スティーリー・ダンのAJAへの参加(1977)等々、まだまだ他にも数え切れない程のセッションをしていたのだ。ちょっと面白い所ではデオダートのワーナーでのアルバム「Love Island(1978)」のタイトル曲で、まるでジョージ・ベンソンか!?と思う流麗なソロを披露している(これを初めて聴いてカールトンだと判る人はまずいないのでは?)。しかし考えてみればファースト・アルバムの頃はGibson ES-175Dを抱えてウェス・モンゴメリーばりのジャジーな演奏をしていたのだから不思議は無いのかもしれない。

それにしてもこのアルバムが当時の日本のミュージシャンに与えた影響は相当大きかったのではないだろうか。ハムバッカーにブギー・アンプのナチュラル・オーヴァードライヴ音なんて、筆者が初めに勘違いした様に高中正義にそっくりの音(勿論、高中がカールトンに影響を受けたのだろうけれど。もっとも高中の音創りは、サンタナの影響がかなり大きいのだが)だし、そもそも高中の「Can I Sing......For You」は、このアルバム・ラストの「(It Was) Only Yesterday」にそっくりである。ついでに云えばカシオペアの「ZOOM」という曲も、このアルバムの「Don't Give It Up」に、言い訳のし様が無い程にそっくりだ。まぁここで「パクリだ、盗作だ」等と無粋な事を云うつもりは毛頭無いし、こういう名盤があったからこそ次の世代の音楽家達が育ってきたのだと、つまりは良い影響を及ぼしていると思っている。

ところでこのアルバム、やめておけばいいのに2曲でカールトン自らヴォーカルをとっている。それ以外はストレートで清涼感に溢れるギター・フュージョンの名曲「Room335」(この曲のリフは前述のスティーリー・ダンのアルバム「Aja」に入っている「Peg」のリフからヒントを得て(というよりそのもの)作ったそうだ。)や、クルーセーダーズを彷彿とさせる「Nite Crawler」、スピード感のある「Point It Up」、よくシャッフルしているアップテンポなブギー「Don't Give It Up」、そして、しっとりとよく歌うギターを聴かせる「(It Was) Only Yesterday」と名曲揃いだ。

久しぶりに聴いても筆者のミュージシャン魂が揺さぶられてくる。譜面の読めない筆者は、Room 335を何度も何度も聴き直して少しずつフレーズを覚えていったものだ。そうして素晴らしいものをどんどん吸収しようとしていたのはなにも筆者だけではなく、当時のミュージシャンも同じ気持ちで一生懸命だったに違いない。

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▼曲目
 1.Room 335
 2.Where Did You Come From
 3.Nite Crawler
 4.Point It Up
 5.Rio Samba
 6.I Apologize
 7.Don't Give It Up
 8.(It Was) Only Yesterday

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読み応えのある解説に感心しました。貴殿も昔はギター少年だったのでは?ハンバッキングの骨太ギターはいいですね。最近はほとんどのギタリストがストラトキャスターなのがちょっと寂しいです。

2007/6/25(月) 午後 10:11 [ Pierre ] 返信する

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