失業保険をもらいたい人が陥る、離職理由「自己都合」の落とし穴

意外と知らない、手続きの具体的方法
鷲尾 香一 プロフィール

したがって受給希望者としては、会社が離職票の「離職理由」にどう書いているかが、非常に大きな問題となる。

自己都合退職とみなされる場合には、失業保険の支払対象期間が始まるのは、受給資格の決定から3カ月と1週間後からで、その間は「無収入」ということだ。しかし実態としては、離職のきっかけが上司の嫌がらせやパワーハラスメント、セクシャルハラスメントなど、会社側にある場合でも、会社側は離職票の離職理由に「自己都合」と書く場合がほとんどだ。

こうしたケースでは、離職理由を「会社都合」とするように要求するべきだ。もし、会社側がそれを拒むようであれば、失業保険の申請の際にハローワークで事情を説明すれば、ハローワークが会社側へ調査を行うなどの対応をとってくれる。

 

いくらもらえるのか?

では、肝心の失業保険はどのくらいの期間支払われるのか

これについては、雇用保険を掛けていた期間、離職時の年齢、離職理由によって違ってくるため、正確な受給期間は個人で確認していただきたい。ただ、失業保険にはまず「不可抗力で失業した人を支える」という目的があるため、会社の倒産や解雇が離職理由の「特定受給資格者」の場合、「一般の離職者」への支払い対象期間が最長150日であるのに対して、最長330日となっている。さらに、障害者などの「就職困難者」の場合には、最長360日まで失業保険が支払われる。

さあいよいよ、失業保険を受け取るための手続きだ。

受け取り手続きには、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が必要だと前述した。

まず、「雇用保険受給資格者証」だが、これには失業保険の支給番号など基本的な項目のほかに、離職時の賃金日額、給付制限の有無、受給期間満了の年月日、基本手当日額、給付日数などが記載されている。さらに「処理状況」の欄があり、ここには失業保険の処理状況が記載されることになる。

失業保険の支給額は、【基本手当日額×給付日数】で決まる。基本的に失業保険は、月に1回の失業認定を受けたあとで支払われるので、月額払いだと考えていい。従って、基本手当日額に土日祝日を除く平日の日数をかけた金額が、月額の受給額となる。

ベースとなる基本手当日額は、受給者の離職時賃金日額によって決まるため、一律には言えないが、最高額は以下のように制限が設けられている。なお、65歳からは年金支給が始まるため、失業保険の対象外となる。

<基本手当日額の最高額>

年齢区分   基本手当日額

29歳以下    6750円

30~44歳    7495円

45~59歳    8250円

60~64歳    7083円