筆者が初めてハローワークを訪れ、失業保険の受給資格を得たのは1月8日だが、前述した説明会が開催されたのは、2週間以上あとの1月24日だった。
場所はハローワークではなく、さいたま新都心の高層ビルの1室。午前9時20分から始まった説明会には、約100人が集まっていた。
年齢層はバラバラだが、30代、40代が多く、女性が多数を占めているのには驚いた。出席していた女性に聞いてわかったのだが、女性の場合、契約社員や派遣者で雇用されているケースが多く、雇止めなどで失業した人が多いらしい。
説明会は、ビデオ映像による説明が中心だ。運転免許証をお持ちの方は、免許更新手続きを行う際に講習で見せられる、道路法規や安全運転などに関するビデオをイメージしていただければ、わかりやすい。
ただし、このビデオでは、失業保険の仕組みについてはごく簡単に触れるだけ。むしろ、違反行為に関する詳細な説明と、ハローワークの機能、就職に向けてハローワークをどのように活用するかといった点に重きが置かれている。「失業保険はなるべく払いたくない」「だから、みなさん早く就職してください」という国の本音が透けて見える。
説明会を受けると、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付される。この2つが交付されて初めて、失業保険を受け取る手続きを行うことができるのだが、その具体的な内容は後で説明しよう。
さて、離職証明書に記載されている「離職の理由」が、失業保険の受給には非常に重要だと前述したが、その説明をしよう。離職理由が「会社都合」か「自己都合」かによって、失業保険の支払い方法は違うのだ。
失業保険の受給資格決定が行われてから、説明会まで2週間以上空くことは前述した。これは、失業保険の受給資格が決定しても、すぐに失業保険が支払われることはないためだという点に、筆者は後から気が付いた。
受給資格が決定してから1週間は「待機期間」として、失業保険の支払対象期間から除外される。なぜこの待機期間があるのかについて、ハローワークの職員に尋ねたが、「おそらく、退職してから1週間以内に次の仕事が決まるケースがあるため」という曖昧な返事だった。
会社都合退職の場合、待機期間の1週間が経過すると、失業保険支払いの対象期間が始まるのだが、自己都合の場合には、さらに3カ月間の「給付制限期間」が設けられている。つまり、失業保険支払いの対象期間に入るまでに、さらに3カ月が必要となるわけだ。
給付制限期間が設定されている理由については、ハローワークの職員は、「自己都合は不可抗力で失業しているわけではなく、本人の意思で離職している。本来、失業保険は不可抗力で失業状態に陥った人を支える制度。従って、自己都合で離職した人は、就職活動を積極的に行い、新たな職に就いていただくために、給付制限期間の3カ月間が設定されている」と説明した。