2019年6月22日
オンデマンド殺人 中国の「死刑囚」臓器奪取の実態(一)
2013年03月26日 18時15分
質の高い新聞として評価の高いドイツの週刊発行紙ディー・ツァイトは7日、Martina Keller氏の署名記事「オンデマンド殺人」を掲載した。中国の刑務所や労働教養所で行われている臓器取引の実態を暴き、欧米社会もこの取引に加担していることを明らかにした。以下はその抄訳である。
死刑囚の臓器が巻き上げられる
「今朝、ある死刑囚が処刑されたという恐ろしい情報を聞いた」。北京の韓氷・弁護士が12月6日、身の危険を覚悟しつつ、微博(中国版ツイッター)にこう書き込んだ。同死刑囚に対する裁判で数日前、最高裁判所が再審を命じたばかりだ。明らかに刑務官たちはもう待てない。臓器を待っている人がいるのだ。最良な状態で取り出さなければならない。これは死刑が病院で執行されたわけでもある。「良心を持たない刑務官と医者は病院を死刑執行場にし、臓器売買場にした」。韓弁護士は続けた。
死刑囚は「自らドナーになる」同意書にサインするよう強制された。設けられるはずの家族との最終面会チャンスも取り上げられた。「最高裁判所に訴える」。家族は弁護士にこう伝えたという。
韓弁護士のこの暴露投稿は一日のうち、1万8000回転載され、5600人がコメントした。だがその後、投稿は消えた。
この無名な死刑囚の運命はたまたまではない。中国では毎年、1万以上の腎臓、肝臓、心臓が移植され、米国に次ぎ世界でもっとも多くの移植手術が行われている。これは中国政府が吹聴する政績でもある。衛生部副部長(当時)で移植手術の専門家でもある黄潔夫氏が、移植に使われる臓器の6割以上は死刑囚からのものだと認めたことも、身の毛のよだつものだ。
一人の人間が適時に死ぬことで、もう一人の人間の命が伸びる。これは中国の移植手術でしか実現できない。この報道はこの事実を明らかにする。
死刑の処刑数は中国では国家機密。推定では毎年4000人が処刑されているという。死刑は銃殺か薬殺かで執行される。臓器移植病院は刑務所と密接に連携を取り、移植チームを処刑場に派遣している。医師が直接、処刑を行なうケースもあるという
中国は、死刑における薬物注射の研究を重ねている。致死量の薬物を注射しながらも、臓器に影響しない薬殺刑。昨年、米国総領事館に駆け込んだ重慶市元公安局長の王立軍は2006年頃、囚人の臓器を利用する研究で、光華科学技術基金会から受賞していた。彼は受賞スピーチで、新たな臓器保存液を発明したとして、この保存液で死刑囚の臓器は「新鮮」に保てると豪語した。さらに、この成果は「数千人」に及ぶ実験で得たもので、「大いに感激した」とも話した。
背筋が寒くなるこの話は、欧米社会にも大いに関係している。欧米の患者は死刑囚からの腎臓や肝臓、心臓に感謝し、欧米の製薬会社は移植用の免疫抑制剤を提供している。欧米の病院や医師は事情も聞かずに中国の臓器移植センターに技術支援をし、欧米の政治家も市場利益を獲得するために中国政府に移植制度の改善を要求する。欧米からの医療設備を搭載した車はそのまま移動処刑場に様変わりしている。
医師らは倫理観に反し、協力と共謀の狭間で揺れる。多くの当事者も利益の前で沈黙を選んだ。道徳の重みはないのか?金銭はそれほど誘惑的なのか?欧米社会は手を血で染めたくなくても、その境界はどこにあるのか?
韓弁護士が暴露した死刑囚の臓器はどこへ行ったかは判らない。しかし、イスラエルのペタク・チクヴァに住むMordechai Shtiglitsさん夫婦は、中国で移植手術を受けたことを公にしている。63歳のShtiglitsさんは120キロでエネルギッシュ。引き出しから出されたアルバムには、彼の中国への命の旅が記録されている。
(つづく)
(翻訳編集・張凛音)
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