Warhammer 40,000世界の背景設定をLexicanumより翻訳します。
今回はホワイト・スカー兵団について。
ホワイト・スカーはかつて20個存在した原初のスペースマリーン兵団における5番目の兵団であった。総主長はジャガタイ・ハーン。ホルスの大逆にて皇帝への忠誠を維持し続けたのち、ダークエンジェル兵団は再編成され第二次創設のなかでいくつかの戦団へ分割された。拠点惑星の部族的な凶暴さを利用し、ホワイト・スカーは戦場において高度な機動戦術を用いて電光石火の勢いで敵を打ち破り、敵が反応するまでに姿を消す。その野蛮人然とした特徴にもかかわらず、ホワイト・スカーは非常に文化的な戦団である。彼らが尊ぶ古くからの伝統の中でも詩作はその筆頭に位置している。
歴史
大征戦
第五兵団が総主長ジャガタイ・ハーンと再会するまでに、彼は自らが育った惑星ムンドゥス・プラヌスの獰猛なる諸部族を統一していた。皇帝との出会いに際し、ジャガタイは皇帝こそがジャガタイ究極の理想を体現する存在であり、空の星々を統一する者なのだと確信する。<干城>の宮殿においてジャガタイは皇帝への忠誠を誓い、第五兵団の指揮権を与えられた。第五兵団の<戦闘者>たちは、顔に儀式的な傷をつけるというタルスカー族の風習を採用し、自らの名を「ホワイト・スカー」と改める一方、太祖ハーンに忠実な多くの部族民が兵団に入ることを許された。クム・カルタ山域を通る起伏の激しい一本の山道の先にジャガタイの宮殿は存在し、これが兵団の要塞院となった。
大征戦の間、ジャガタイ・ハーンのもとホワイト・スカーは数多くの血塗れた戦場で戦った。彼らはやがて高速戦闘と一撃離脱攻撃によって恐れられるようになる。
ホルスの大逆
ホルスの裏切りと<降下地点での虐殺>の報が届いた時、ジャガタイ・ハーンと彼の兵団はチョンダックス星系のオルクに対する戦役を数年にわたり行なっていたが、この戦役はアルファレギオンによって意図的に引き伸ばされていたものだった。ホワイト・スカーは急ぎテラへ帰還するようローガル・ドルンに促される。しかしちょうど惑星プロスペロより帰還したレマン・ラスが太祖ハーンに連絡を取り、自らの軍勢に合流するよう要請する。このことを予期していたホルスはアルファレギオンを派遣し、数でまさるラスのスペースウルフに強襲を仕掛けさせる。惑星ヤラントでアルファレギオンはスペースウルフを破った。ジャガタイはスペースウルフをそのまま残していくことを厭い、さらに危険な<歪みの嵐>に直面していた。しかしジャガタイは大きな犠牲が予想されるアルファレギオンとの戦闘に突入するよりも、ドルンの緊急要請にしたがって直ちに地球へ帰還する方を選んだ。なによりも、いま<帝国>に何が起きているのかをジャガタイは自分自身のために知ろうとしたのだ。<鑿(のみ)>として知られる艦隊陣形を用い、ホワイト・スカーはアルファレギオンの軍艦を沈めつつ封鎖を突破し、チョダックス星系を後にした。
太祖ハーンは最終的にこの動乱の根源を調査することに決め、スペースウルフによって終末的な攻撃を受けた後の惑星プロスペロへと到着する。最初、ホワイト・スカーはどちら側の反応も見つけることが出来なかったが、やがて斃れしサウザンド・サンたちの亡霊が現れる。この危険な敵に対しホワイト・スカーの持つ武器は殆ど効果がなく、中隊長キン・ハーは直ちに撤退を命じた。最終的に太祖ハーン自ら<赤きマグヌス>の霊的な写し身と出会い、マグヌスは兄弟たる総主長ジャガタイに対し、この戦争でどちらに味方するか決断するように、そして皇帝を信じないように嘆願した。しかし最終的に太祖ハーンは剣をもってマグヌスの影を粉々にした。ジャガタイと近衛部隊ケシクは次にデスガード兵団総主長モータリオンと彼の近衛部隊<死の帳(とばり)>に遭遇すし、両者は戦闘に突入した。ホワイト・スカーとデスガードの両艦隊が宇宙にて戦闘を開始した頃、ホワイト・スカー兵団はトルグム・ハーンとハシク=ノヤン・ハーンによるクーデター未遂に直面していた。彼らの計画ではホワイト・スカーの艦隊がプロスペロにいる間に艦隊の指揮権を奪い、ホルスの軍勢へと合流することになっていた。兵団内部で地球生まれの者とチョゴリス出身の者との間で文化的緊張が掻き立てられ、人類誕生の地より来た者の多くがホルスに賛成し、一方で太祖ハーンの育った地より来た者はジャガタイの言葉に従った。シバン・ハーンが突入部隊を率いてホワイト・スカー旗艦<剣の嵐>に向かい、ジャガタイ到着まで大逆者たちと戦い続けたことで陰謀は失敗に終わった。モータリオンとデスガード兵団は宇宙にて短時間戦闘をしたのち、速やかに退却した。
地球の戦い
帝殿包囲戦のあいだ、ホワイト・スカーはブラッドエンジェルやインペリアルフィストとともに大逆者と戦った。彼らは何回かの一撃離脱攻撃を行なった後、タラーン第一戦車師団の生き残りと帝国歩兵数個連隊とともに宇宙港<獅子の門>にある敵補給線への妨害を成功させた。
大逆以後
ホルスの大逆以後、ホワイト・スカー兵団は<戦いの聖典>を採用し、兵団はいくつかの戦団へと分割された。
<渦>内部に住み着いた無法者、反逆者、そして異種族を食い止めるため、ロブート・グイリマンは周囲の星系に増援を要請した。<渦>周辺に拠点惑星を持つホワイト・スカーはこの宙域の安全を確保することを主たる責務として課された。
大逆以後における特筆すべき交戦
- ???:<失われし血族>。<干城>にある大ハーン記によれば、ホワイト・スカーたちがムンドゥス・プラヌスに帰還したとき、彼らは拠点惑星がダークエルダーによっておびただしく略奪されてきたことを知った。ジャガダイはダークエルダー討つべしと多くの誓いを立て、多くの戦いを行なった。コルシルⅤの戦いの最中、ジャガタイと彼の同胞たちは強大なダークエルダーの貴族を追って<網辻>に通じる門を通り、そして永遠に姿を消した。今日に至るまでホワイト・スカーはかの異種族に対し特別な憎悪を燃やしつづけている。
- ???:ゲヘフト侵入。惑星ゲヘフトがケイオススペースマリーンの戦士団ブライテッド・クロウの攻撃とディーモンによる物質世界への侵入を受け、コルッサーロ・ハーン率いるホワイト・スカー戦団とダークエンジェル戦団、そして帝国防衛軍ブリンデルヴェンド連隊は住民の救援に駆け付ける。彼らの奮戦にもかかわらず事態はすでに手遅れであり、惑星ゲヘフトには<究極浄化>が施された。
- ???:ヴォルガスト急襲。M41にホワイト・スカー戦団とタウのヴィオルラ家門が戦闘を行う。司書官カルジェクはタウ軍の五感を混乱させ、奇襲を仕掛けてかの異種族を完全に圧倒した。
- ???:<ブラックフィストの頭皮剥ぎ>
- ???.M41: ヴォルドリウス狩り
- ???.M41: ジョパル蜂起
- 742.M41:ダモクレス湾征戦
- 755.M41:サバト征戦。渾沌の軍勢より<サバトの星々>を解放するための征戦にて聖サバトとともに戦った。彼女が惑星ハーカロンにて九つの聖傷を受け殉死した後、彼女の遺体はホワイト・スカーによって回収され、惑星ハギアへと葬られた。
- 775.M41: <第四象限の叛乱>
- 856.M41: ディアータ粛清
- 869.M41: グレイス・メサ防衛戦
- 925.M41:ホワイト・スカー戦団はカルドリムの戦いにジョガテン・ハーン率いる第四中隊を派遣し、ネクロンおよびオルクと戦った。
- 936.M41: ブラッドスウォーム征戦.
- 945.M41: フライトンⅥの戦い
- 988.M41: リィンズ・ワールド奪還。クリムゾンフィスト戦団が拠点惑星リィンズワールドをオルクの脅威より奪還するのにホワイト・スカーが協力した。
- 989.M41: フィーレの戦い。ホワイト・スカーはスペースマリーン六個戦団とともに連合して悪魔惑星フィーレを浄化した。
- 998.M41:第三次アルマゲドン戦役。ホワイト・スカー船団は三個同胞団をアルマゲドンへ派遣した。そのうちの1つ、デッドランド地帯に配備されたスボデン・ハーン率いる<曲剣の同胞団>は惑星の生命線となる石油及び水資源採掘施設ならびに処理施設を守護する任を帯びた。開戦劈頭、<ダンテの谷>の戦いにて同胞団は白いイナズマ爆走連合と衝突し、オルクたちを<嵐の海>の凍りつくような水底へと追い込むことに成功した。
- 999.M41:<ム=グラースの入り江>の戦いと、それに続くヴォルトリスの戦い・
- 999.M41: プリフェクシア戦役
- 999.M41: 第二次アグレラン戦役
- 999.M41:第十三次<黒き征戦>。ホワイト・スカーは<ケイディアの門>にカジョグ・ハーン率いる軍勢を派遣した。短期間のうちにカジョグの同胞団はアバドンの計画を大きく脅かす存在となり、3つのカサー(訳注:ケイディアの各都市中心部にある要塞、ストームトルーパー部隊カサーキンはカサーを防衛する任を負っている)包囲戦がホワイト・スカーの手で包囲を解かれた。結果として、アバドンはザラフィストン率いるブラックレギオン第一中隊および戦闘集団の大軍にかの同胞団を狩り出し撃滅するよう命じる。ケイディアにおいてカジョグは奴隷輸送車列に装甲二輪車部隊による攻撃をしかけるもブラックレギオンの待ち伏せに遭い、多大な損害を受ける。ホワイト・スカーたちはカドゥカデス海の石碑へと撤退し、生き残った60名の同胞たちは死ぬまで激しく戦い続けた。
戦闘教条
ホワイト・スカー戦団はスペースマリーンの基準から見ても非常に機動力が高く、電光石火の如き戦闘に特化しており、戦闘二輪車、ランドスピーダー、ストームタロン、そしてその他の高速車両を好んで使う。装甲二輪車に騎乗するスペースマリーンはパワーランスと呼ばれる特殊なパワーウェポンをしばしば用い、他のパワーウェポン同様の破壊力をより長射程で実現している。重装甲の軍勢はしばしばホワイトスカーの影を追うだけで精一杯となり、その一方でホワイト・スカーは易々と敵の弱点へと回りこんで攻撃を加えるのだ。ホワイト・スカーの軍勢はある程度の距離をおいて敵を攻撃することを好み、速度と火力によって敵を撃滅する。しかし強襲分隊を猛烈な白兵戦へと送り込むことも十二分に可能だ。
ホワイト・スカーの艦隊戦力は戦団の技術官によって大幅な改造が施されており、艦の大きさからは考えられないような速度と加速を可能にしている。しかし同時にこの改造によって武装、防御、そして兵員輸送能力が犠牲となっている。
組織
ホワイト・スカーの戦団組織は彼らの拠点惑星が持つ部族的文化を反映しており、たとえば司書官は<嵐を見る者>と呼ばれている。ホワイト・スカーはムンドゥス・プラヌスのみから新兵徴募を行なっている。この惑星のステップ地帯には互いに反目しあう諸部族が生息しており、そのなかから最も強く、かつ有望な若き戦士たちがどの部族からでも新兵として選ばれる。ひとたび彼らがホワイト・スカーとなると、かつての部族への忠誠心は戦団と皇帝への忠誠心へと置き換えられる。
大征戦およびホルスの大逆の時期、ホワイト・スカー兵団には氏族長という、現在の戦団長と同様の特別な位階が存在した。大逆以後、ホワイトスカー戦団は1人の大ハーンと何人かの中隊格のハーンたち(中隊長に相当)によって指揮された。
彼らの総主長がかつてステップを統一する戦役で行なったのと同様、異なる部族から集められた新兵たちは1つの分隊へと集められる。それぞれの分隊は同胞団、すなわち一般的に言う中隊の一部となる。ホワイト・スカーが兵団であった大征戦の時期には、複数の同胞団が軍団、すなわち現在で言うところの戦団の指揮下に置かれていた。しかし他の聖典戦団と異なり、ホワイト・スカーは装甲二輪車部隊やランドスピーダーをより高い割合で保有しており、これは戦団の好む戦法を反映している。ホワイト・スカーは全体として撃滅分隊を欠いており、これは斯様に鈍重な兵器はホワイト・スカーの戦闘手法を台無しにしてしまうと判断されてのことである。さらにホワイト・スカーは戦闘車両の保有数も比較的少数であり、その他の兵種に速度を合わせるため必要最小限の武装で配備される。最後に、ホワイト・スカーはドレッドノートを一切保有していない。彼らにとって戦士の魂を鋼鉄の棺の中へ閉じ込めることは忌むべきことであるからだ。
戦団編成
司令部
戦団司令部
大ハーンたるジュバル・ハーン
<名誉の守り手>
戦団奉仕者および技能奉仕者
武具庫
<炉の長>
技術官
技能奉仕者
プレデター
ヴィンディケイター
ホワールウィンド
ランドレイダー
ストームタロン攻撃機
センチュリオン戦闘装甲服
医術院
医術院長
医術官
艦隊司令部
艦隊長官
強襲戦艦
打撃巡洋艦
高速打撃艦
サンダーホーク強襲揚陸艇
蔵書院
<嵐を見る者>の長
朗読官
追補官
記録官
修練者
隔世の間
<嵐の声>
教戒官
中隊
古参中隊
第一中隊
<穂先の同胞団>
第一中隊長にして戦争評議長ジュルガ・ハーン
スペースマリーン古参兵
戦闘中隊
第二中隊
<炎拳の同胞団>
中隊長にして伝承長カジョグ・ハーン
戦術分隊
強襲分隊
撃滅分隊
第三中隊
<鷲の同胞団>
中隊長にして狩猟長コルッサーロ・ハーン
戦術分隊
強襲分隊
撃滅分隊
第四中隊
<曲剣の同胞団>
中隊長にして刀剣長ジョガテン・ハーン
戦術分隊
強襲分隊
撃滅分隊
第五中隊
<嵐が如き憤怒の同胞団>
中隊長にして精霊長スボデン・ハーン
戦術分隊
強襲分隊
撃滅分隊
待機中隊
第六中隊
<鷹の目の同胞団>
中隊長にして盾の長セグレイ・ハーン
戦術分隊
第七中隊
<平原狩人の同胞団>
中隊長にして監視長ドルガイ・ハーン
戦術分隊
第八中隊
<血の乗り手の同胞団>
中隊長にして騎馬長ヴォルガ・ハーン
強襲分隊
第九中隊
<嵐の太矢の同胞団>
中隊長にして騎馬長カダジェイ・ハーン
撃滅分隊
斥候中隊
第十中隊
<風の語り部の同胞団>
中隊長にして騎馬長ジョダガ・ハーン
斥候分隊
コメント
兵団関連の日本語訳は初めてです! 兵団の情報を探していた自分にはほんとにありがたき翻訳です! ホワイト·スカーの一撃離脱戦術はやはりロマンチックですよね。