Warhammer 40,000世界の背景設定をLexicanumより翻訳します。
今回はダークエンジェル兵団について。
ダークエンジェルはかつて20個存在した原初のスペースマリーン兵団における最初の兵団であった。総主長はライオン・エル・ジョンソン。ホルスの大逆にて皇帝への忠誠を維持し続けたのち、ダークエンジェル兵団は再編成され第二次創設のなかでいくつかの戦団へ分割された。兵団の名前と遺産を受け継いだ戦団は1つのみであるが、あらゆるダークエンジェルの後継戦団はともに<許されざる者>として<堕ちし天使>を狩り続けている。
目次
歴史
大征戦
ダークエンジェルは人類の皇帝によって作り出された最初のスペースマリーン兵団という栄誉を有している。大征戦の劈頭において、ダークエンジェル兵団はのちに生み出されるあらゆる兵団が判定されるうえでの試金石となり、また基づくための標準ともなった。最初に生み出された兵団ゆえ彼らには実験的な戦闘手法への傾倒が見られた。<恐翼>ドレッドウィング、<嵐翼>ストームウィング、<鴉翼>レイブンウィング、<鉄翼>アイアンウィング、そして<死翼>デスウィングを含む6つの「翼」の創設などはその典型である。彼らはまた多くの先進的な古代技術やプラズマ兵器を配備しており、大征戦の初頭においてこの第一兵団は間違いなく最も強力な戦力であった。
破滅的な力によって幼き総主長たちが銀河中へと散らばったとき、のちにライオン・エル・ジョンソンと名付けられる子供はキャリバンという中世初期時代の地球に類似した文明水準を持つ辺境の惑星に降り立った。エル・ジョンソンを見出し、同輩の騎士から彼の命を救ったルシエルは<騎士団>の一員であり、エル・ジョンソンとルシエルはほどなくして親友となった。かの総主長は最終的に<騎士団>、そして全キャリバンの長となったのだ。
その間、キャリバンの人々には知る由もないが、皇帝は銀河をまたぐ規模での大征戦を遂行しており、人類を再び団結させ、異種族によって支配されたあらゆる星系を浄化していった。<帝国>による征服の波は銀河中に及び、帝国軍の斥候は孤立していた惑星キャリバンを再発見した。まもなくして皇帝はエル・ジョンソンと再会し、迷子の息子を見つけ出した父親の喜びで胸を満たした。皇帝が最初に行ったのはライオン・エル・ジョンソンに第一兵団の指揮権を与えることであった。<騎士団>における年長の騎士たちは総主長とその父たる皇帝をともに暗殺しようと企てたが、ザハリエルによって阻止された。このスペースマリーンの兵団は総主長のDNAサンプルより皇帝の手によって作り出されたものであり、大征戦が銀河規模で遂行される中で兵団はほかの帝国諸軍とともに戦った。
第一兵団はその後ダークエンジェルと呼称されるようになった。これはかつて怪物を食い止めたとされる偉大で廉直なる英雄たちの伝説にあやかったものである。総主長によってこの名が布告されると、この名の含意するところを真っ先に見出したのはルシエルであった。彼は<戦闘者>がジャンプパックで舞い降りる光景が初めて目撃されたときの伝説からある一節を引用した。「そして暗闇の天使たちは炎と光からなる翼にて舞い降りた……それは偉大にして恐るべき<暗き天使>たちであった」
キャリバンはダークエンジェル兵団の拠点惑星となり、<騎士団>は<戦闘者>の戦列へと加わることとなった。騎士の中でまだ十分に若い者は兵団の遺伝種子を移植され、遺伝種子を宿すには年を経すぎた騎士たちは外科手術によって<帝国>の精兵となった。彼らは完全なるスペースマリーンでこそなかったものの、強化手術によって特別な能力と常人を超える寿命を与えられていた。このやり方で最初に兵団へと加わったのは他ならぬルシエルであり、彼は<騎士団>にいた時と同様ジョンソンの副官を務めた。しかしまだダークエンジェルの大征戦への貢献がようやく始まろうとしていた時期に、ライオンはルシエルとダークエンジェルの小規模な分遣隊をキャリバンへと送り返した。公的には彼らがキャリバンに駐屯することで新兵訓練の質と速度を向上させるとのことであったが、理由はどうあれ、送り返された者たちは恥辱と疎外感にまみれることとなった。
大征戦は続けられねばならなかった。人類の住む数え切れぬほどの惑星がいまだ<禍つ神々>の影響下にあり、あるいは異種族の圧政に苦しんでいた。大征戦における不名誉な逸話としては、<紅き要塞>攻略戦の後半においてライオンとスペースウルフ兵団の総主長たるレマン・ラスが殴り合いに及んだというものがある。この事件以来両兵団の間には41千年紀の現在まで続く強き確執が生まれた。通常この確執は二人の代理戦士による儀式的決闘という形をとって表れるが、儀式的という名とは裏腹に非常に激烈なものであるということが知られている。
最初の<戦闘者>兵団として、大征戦の初期から中期にかけてダークエンジェル兵団は非常に大規模な戦力を有していた。しかし第三次ラングダン異種族殲滅戦において第一兵団は<帝国>北部を護るために五万人もの同胞を失った。この途方もなく高い代償はついに完全に回復することはなく、ダークエンジェル兵団はついに「最強のスペースマリーン兵団」という称号を失うこととなった。代わってこの称号を最終的に名乗るようになったのはウルトラマリーン兵団である。
ジョンソンの名声が銀河中へと広がるに従い、大征戦における彼の功業や武勇の知らせが拠点惑星キャリバンにも届くようになった。ルシエルは彼の得るべき栄誉の取り分が簒奪されていると思うようになった。彼は自分はジョンソンに並び立つ存在であると当然のように見なしていたし、それに見合うだけの承認と名声を求めた。半ば忘れられた辺境の惑星総督などという役目は彼にとってますます侮辱のように感じられるようになった。ジョンソンが<騎士団>の総太守首座となったときに蒔かれた嫉妬と軋轢の種は、総主長が名声と称賛を得れば得るほどに育ち、ルシエルを苛んでいったのだ。
さらなる大逆の種が蒔かれたのは惑星サロッシュに対してダークエンジェルが征戦を行っているさなかであった。サロッシュの惑星政府はひそかにライオンの旗艦<頑健なる理性>へ核弾頭を潜り込ませていたのだ。この企みを見抜いたルシエルは、しかしほんのわずかの間ではあるが嫉妬に飲み込まれ、果たしてジョンソンをこのまま死ぬに任せてはどうかと逡巡した。しかしルシエルはサロッシュの暗殺計画を挫くことで速やかにその忠誠心を証明した。しかしこの時のルシエルの躊躇いはふとした拍子にライオンに知られてしまう。二人の同胞の間にはある種の不仲が生じ、ライオンはルシエルとダークエンジェルの部隊をキャリバンに残すと、自らは大征戦の残りを片付けに向かった。キャリバンに打ち捨てられたという思い、そして混沌信者や窮乏貴族たちによる叛乱への対処が、次第にルシエルと彼の軍勢を総主長への離反へと向かわせていった。
ホルスの大逆
ホルスの大逆が勃発したとき、ダークエンジェル兵団は地球から遠く離れて<盾なる惑星>の数々からなるゴルディオン連盟との戦役に従事しており、大逆戦争と直接関われる距離になかった。それでもライオンは小規模な攻撃部隊を率いて工業惑星ダイアマットへ向かい、大逆者の軍勢が重要な補給基地を得ることを防いだ。ひとたび兵団の大部分がゴルディオン連盟との戦争から自由になると、大元帥ホルスはナイトロード兵団に命じ、東部辺境宙域にてダークエンジェルを迎撃させ、皇帝への救援を妨害させた。しかしスラマス征戦において大部分のナイトロードの艦隊が待ち伏せされ撃滅されると、ナイトロード総主長コンラッド・カーズはダークエンジェル旗艦<頑健なる理性>にて立ち往生してしまった。しかし彼は捕獲の手を逃れ、送り込まれたあらゆる追っ手を殺戮した。最終的にライオン自らカーズを狩ると、ダークエンジェルの艦隊は地球へと向かった。
<歪み>のディーモンとの戦いにおいて、ダークエンジェルはライオン自らの命により、ニケーア公会議での決定に違反すると知りながらも司書官の身分を再建した。<歪みの嵐>が東部辺境宙域を蝕んでいったため、ダークエンジェルはファロス(訳注:皇帝のアストロノミカンと似た働きをして<歪み>航行の道しるべとなる古代の科学装置)の光を追ってウルトラマールに辿り着き、総主長ロブート・グィリマンと彼のウルトラマリーン兵団に合流し、<第二帝国>(訳注:ワードベアラー兵団が作り出した強力な<歪みの嵐>により皇帝のアストロノミカンの輝きが妨害され東部辺境宙域に届かなくなったため、総主長グィリマンが地球陥落にも備える意味で緊急的に作り上げた第二の<帝国>)の形成を手助けした。それと時期を同じくして、オルマンド中隊長指揮下のダークエンジェル分遣隊はスペースウルフへの増援としてアレクシス・ネブラにおけるアルファレギオン兵団との戦いに参加した。
ダークエンジェルはついに地球へ向かうことが可能となった。ウルトラマリーン兵団とスペースウルフ兵団(彼らもまた同様の困難を乗り越えてきた)に続くダークエンジェルの接近は、ホルスにかつての主君たる皇帝との直接対決という全てを賭けた大博打を強いることとなった。ホルスは皇帝によって討たれたものの、皇帝自身も致命的な負傷を追い、<黄金の玉座>として知られる生命維持装置に安置されねばならなくなった。エル・ジョンソンはホルスの手から皇帝を守り切れなかったという事実に打ちのめされることとなる。大逆ののち、ダークエンジェル兵団は<帝国>の秩序回復を手助けしていた。しかしその間にも、キャリバンに残されたダークエンジェルたちは実質的に辺境惑星のお守りを強いられていると不満を募らせていった。このことが駐屯部隊の長たるルシエルを、代理戦士たるホルスの死によって打ち破られたばかりの<禍つ神々>へと転向させることとなった。
大いなる裏切り
詳しくは「堕ちし天使」を参照
大逆戦争ののち、ようやくキャリバンへと帰還したダークエンジェルを迎えたのは、惑星防衛陣地からの対空砲撃であった。拠点惑星への強襲を余儀なくされたダークエンジェルたちが見たものは、裏切り者となったかつての同胞たちの姿であった。皇帝とホルスの写し鏡のようにエル・ジョンソンとルシエルは一騎打ちを繰り広げる。最終的にルシエルはかつての友に致命的な一撃を与えるも、かつての親友を討ったという事実に気づき狂気へ陥り、捕らえられた。またしても敗れたことを知って怒りに震える<禍つ神々>は<歪み>の裂け目を作り出すと大逆の<堕ちし天使>たちを銀河中へと散らばらせた。一説によるとこの<歪み>の裂け目は、41千年紀においてアズラエル、サイフェル、ティファウスらがキャリバンの歴史を変えんとしてトゥクルカ・エンジン(訳注:ほか2つのエンジンと組み合わせることで行先の場所や時間を正確に指定した<歪み>航行が可能となる古代の遺物)を起動したことで生じたものであるという。真実がどうであるにせよ、<堕ちし天使>のなかにサイフェルがおり、彼がエル・ジョンソンの剣である<獅子の剣>を持って<歪み>へと消えていったことが報告されている。
ダークエンジェルの艦隊はキャリバンへ無慈悲なる衛星軌道砲撃を加え、結果としてキャリバンの地殻は崩壊を始めた。新たに形成された<歪み>の裂け目がこの爆撃と組み合わさることで惑星は完全に砕け散り、小惑星帯と化してしまった。この裏切りはダークエンジェルの名誉を大きく汚すものであったため、この出来事は完全に兵団内部のこととして地球には知らせず、キャリバンで起きたことを兵団外部の誰一人として知ることがないようにした。再編後のダークエンジェル戦団自身においても、<死翼>や上級士官など選ばれし古参兵のみがこの事実を知ることを許されている。戦団の統率は長きにわたってかの真実が<帝国>に広く知れ渡るのを防いでおり、時に異端審問官直々の命令にも服従せず、また戦団の秘密に対し興味を持ちすぎた人物の「失踪」にも関与しているとされる。
大逆者ルシエルはまだ生きており、<岩牢>最深部にある独房にて狂気に苛まれている。このことを知るのは<執行会>として知られる最も高位の同胞のみである。ライオン・エル・ジョンソンの遺体はまだ見つかっていない。ルシエルの主張、それはほとんど無意味な世迷言のようでもあるが、によるとライオンはすぐ近くにおり、間もなく戻ってきて彼に赦しを与えるという。事実ライオンは<岩牢>の最も厳重に隠された小部屋にて眠っている。彼の存在を知るのは<暗闇の監視者>と皇帝のみである。ライオンが目覚めしとき、彼は戦団を新たな、そしていまだかつてない規模の征戦へと導くであろう。ルシエルが現在の総太守首座アズラエルに語ったところによれば、その日はもうすぐそこまで来ているのだ。
大逆の余波
詳しくは「キャリバンの破滅」を参照
キャリバンはかの裏切りによって破壊され、衛星軌道砲撃と<歪み>の亀裂により粉々となり、その残骸はかなりの規模の小惑星帯を形成した。その中でも最も大きな一片、巨大なヴォイドシールドにより破壊を免れた<天使の塔>と呼ばれる大要塞院周辺の岩盤は、中をくり抜かれ、超巨大宇宙戦艦にして要塞院、そしていまや紋章色を黒から暗緑へと変えたダークエンジェルの故郷として生まれ変わったのだ。ライオン・エル・ジョンソンはかつてダークエンジェルは自らのアーマーを緑色へ変えてもよいと布告した。この色はキャリバンに住む緑色の獣との戦争の記憶からとられたものである。
この裏切りの物語はダークエンジェルの秘すべき恥辱であり、ダークエンジェルとその後継戦団たち、そして、恐らく、<黄金の玉座>に臥す皇帝の他に知るものはない。戦団の内部であってもかの運命的な日々に何が起こったのか正確に知るものはごく一部の同胞のみである。
近年の戦史
- <忘れられし戦争> – 580.M31 – 635.M32. ダークエンジェル戦団は<恐怖の目>の境界にて混沌の軍勢と戦った。
- 第二次モーティス・ゲート戦役 – 560.M33. ダークエンジェル戦団のほぼ全軍が参戦した。
- レッドスターズ戦役 – 732 – 822.M33
- <血の疱瘡戦役> – 101.M34
- フラーコン戦役 – 975.M35
- フラッドの台頭 – 980.M35
- 不信心の疫病 – 408.M36
- レブルス粛清 – 439.M36
- ドミヌス・プライム包囲戦 – 673.M36
- パーセンブの戦い – 551.M37. 中隊守バラディエルの指揮によりダークエンジェル第三中隊は惑星パーセンブにてケイオスロード・ポチェックの軍勢と戦った。
- クーリン・アクロポリス防衛線 – 551.M37
- ミッドポイント攻防戦 – 871.M37
- ザンベク叛乱 – 883.M37
- アルティッド征戦 – 299.M38. ダークエンジェル戦団は惑星アルティッド156を強襲し、”庇護者”エルシダクスと戦った。
- 第四象限の叛乱 – 775.M41. ダークエンジェル戦団全軍が展開し、暴動を粉砕するうえで重要な役割を担った。この戦いでサマエルは一昼夜にわたる決闘の末に<堕ちし天使>カリガーを打ち負かした。
- マカリアの大逆 – M41
- スラリアン・ゲート防衛線 – M41.ダークエンジェル戦団とインペリアルガードの連合軍がグロブロニックのWaaagh!と戦った。
- ヴラクス包囲戦 – 821.M41. アズラエルが戦団の半数を率い包囲。ダークエンジェルの軍勢は強襲戦艦<復讐の天使>と打撃巡洋艦<キャリバンの剣><救済>そして何隻かの補助艦によって到着した。
- フェイズⅤ叛乱 – 897.M41. ダークエンジェル戦団は冒涜的機械知性およびフェイズⅤにて蜂起した暴徒たちと戦った。
- パンドラックス戦役 – 959-961.M41.
- ダーガニオンⅩⅢ粛清 – 996.M41
- ピッシーナⅣの戦い – 997.M41. 第三及び第九中隊がこの戦役を担った。第三中隊はコス・リッジ防衛により栄誉を受ける。
- マキールの混沌魔女団を排除 – ???.M41
- カプーア戦役 – M41. <鴉翼>が混沌の軍勢とカプーア星系にて戦った。この戦いでサマエルが鴉翼総太守となる。
- ベインズ・ランディング防衛戦 – M41. 以前殺害された同胞への復讐をなすための探索中、中隊守バルタザール指揮下の第五中隊はクリムゾン・スローターとして知られるケイオススペースマリーンの戦士団と対決する。
- プリフェクシア防衛戦:帝国騎士キャピュランの支援を受けたダークエンジェル戦団はかの地にてシャス・ヴレ・ドロス操縦のKV128ストームサージと戦った。
- キャリバン星系の戦い – M41 – <堕ちし天使>を現在に呼び寄せようとするティファウスと<堕ちし天使>アステランの連合艦隊に対し、ダークエンジェル戦団全軍がキャリバン星系にて戦った。
- 第十三次<黒き征戦> – 999.M41. <強奪者>アバドンと戦うため10個中隊全てが<恐怖の目>に展開。ダークエンジェル戦団は謎めいた人物<皇帝陛下の御声>を捜索する。
フェンリス包囲戦 – 999.M41. チェンジリングに操られた結果、ダークエンジェルは軍勢を終結させ、スペースウルフの拠点惑星フェンリスへ進軍してしまう。 - ゲヘフト侵入 – 発生年不明. 惑星ゲヘフトがケイオススペースマリーンの戦士団ブライテッド・クロウの攻撃とディーモンによる物質世界への侵入を受け、サマエル率いるダークエンジェル戦団とホワイトスカー戦団、そして帝国防衛軍ブリンデルヴェンド連隊は住民の救援に駆け付ける。彼らの奮戦にもかかわらず事態はすでに手遅れであり、惑星ゲヘフトには<究極浄化>が施された。
遺伝種子
後継戦団
ダークエンジェル及びその後継戦団は「許されざる者」として知られており、互いに緊密な連絡を取り合っている。各戦団の戦団長は<執行会>に属しており、<執行会総太守>の称号も保持している。ダークエンジェル戦団の戦団長は<執行会>の最高指導者でもあり、<堕天使狩り>の際には全ての<執行会>構成員が彼に従う。
<堕天使狩り>のためならばダークエンジェルの後継戦団は自分も含めあらゆるものを放棄するだろう。第二期創設の際ダークエンジェル戦団は少なくとも3つの第二期創設戦団を生み出したことが知られているが、他にも幾つかの戦団がこの時ダークエンジェルより生まれたと考えられている。
文化
ダークエンジェル戦団の組織はまずもって戦団の持つ歴史によって規定されており、結果として他の戦団とは異なったものとなっている。ダークエンジェルは本質的に修道院的であり、祈祷や礼拝に多くの時間が割かれている。戦団には多くの位階が存在し、それぞれのダークエンジェルたちはこの位階を一段ずつ登っていくのだ。各位階に到達するたび、彼らはダークエンジェルの起源にまつわる真実を少しずつ見出していく。ほとんどのダークエンジェルは戦団の始まりについて全く知らずにいる。全ての真実を知るのは最高位のダークエンジェルのみである。
組織
外部の観測者にとって、ダークエンジェル戦団は<戦いの聖典>の規定する組織構成、すなわち約100人のスペースマリーンからなる10個中隊と司令部人員、に従っているように見える。しかしダークエンジェルとその後継戦団は幾つかの点で独特の組織構成をも有しているのだ。
- <執行会>:ダークエンジェルは高位の組織構成においては<戦いの聖典>の規定から逸脱している。戦団の最も高位な組織が<執行会>であり、通常の中隊組織から分かれた多くの士官、そして戦団司書官や尋問教戒官によって成り立っている。各中隊を指揮する中隊守もまた<執行会>の一員である。
第一そして第二中隊もまた独自に編成されている。
- 第一中隊は<死翼>と呼ばれており、彼らはターミネイターアーマーを着装しての戦闘に特化している。
- 第二中隊は<鴉翼>であり、彼らはバイクやランドスピーダー編隊といった高速かつ高機動な部隊によって構成されている。
残りの中隊は<戦いの聖典>に従う形で編成されているが、そのままの形で展開することは稀である。中隊単位での配備よりも、ダークエンジェルはしばしばキャリバンの伝承に基づいた攻撃部隊を展開する。重強襲<獣殺し>攻撃部隊や<キャリバンの天罰>多方面強襲部隊などがその典型である。もっともよく使われる攻撃部隊は<獅子の剣>であり、これは少数の<死翼><鴉翼>部隊に支援された半個中隊編成である。しばしば第十中隊から引き抜かれた部隊が斥候としてこれを補強している。
大征戦およびホルスの大逆の時期、ダークエンジェルには<死翼><鴉翼>を含む特定の戦術に特化した6つの<翼>が存在した。<恐翼><鉄翼>そして<嵐翼>もその名を知られている。
戦団編成
司令部
戦団司令部
<執行会>
総太守首座
ダークエンジェル戦団総太守首座アズラエル
総太守
中隊守10名
隔世の間
教戒官総太守サッフォン
尋問教戒官30名
蔵書院
司書官総太守エゼキエル
朗読官4名
追補官8名
記録官8名
修練者4名
<岩牢の騎士>
<岩牢の番人>同胞アファラン
ヴェネラブル・ドレッドノート6機
それ以外の部門
武具庫
<岩牢の守>ベラフォール
技術官22名
技能奉仕者113名
レイザーバック
プレデター16輌
ホワールウィンド12輌
ランドレイダー21輌
艦隊司令部
艦隊総太守ネファラル
強襲戦艦8隻
打撃巡洋艦16隻
高速打撃補助艦21隻
サンダーホーク強襲揚陸艇31隻
医術院
医術院総太守ラザエク
医術官10名
その他
<門の番人>セファロン
技能奉仕者1200名
司令部スタッフ
戦団奉仕者
中隊
999.M41における中隊構成と中隊長は以下の通り。
<死翼>
第一中隊
死翼総太守ベリアル
教戒官
医術官
旗手
死翼騎士団
死翼指揮分隊
ターミネイター20個分隊
ヴェネラブル・ドレッドノート9輌
<鴉翼>
第二中隊
鴉翼総太守サマエル
教戒官
医術官
鴉翼指揮分隊
旗手
黒騎士団
攻撃分隊6個
支援分隊4個
ランドスピーダー(ヴェンジェンス型・ダークシュラウドを含む)
ダークタロン及びネフィリム高速戦闘機
戦闘中隊
第三中隊
中隊長にして武具庫長アストラン
教戒官
医術官
指揮分隊
旗手
中隊古参兵
戦術分隊6個
強襲分隊2個
撃滅分隊2個
ドレッドノート3輌
ライノ
第四中隊
中隊長にして艦隊長官コラハエル
教戒官
医術官
旗手
中隊古参兵
戦術分隊6個
強襲分隊2個
撃滅分隊2個
ドレッドノート2輌
ライノ
第五分隊
中隊長にして<不可視なる儀式の番人>バルタザール
教戒官
医術官
指揮分隊
旗手
中隊古参兵
戦術分隊6個
強襲分隊2個
撃滅分隊2個
ドレッドノート4輌
ライノ
待機中隊
第六中隊
中隊長にして典礼長アラフィル
教戒官
医術官
指揮分隊
旗手
中隊古参兵
戦術分隊10個
ドレッドノート1輌
ライノ
第七中隊
中隊長にして<監視者たちの長>エゼキヤ
教戒官
医術官
旗手
中隊古参兵
戦術分隊10個
ドレッドノート3輌
ライノ
第八中隊
中隊長にして宣告長モロチ
教戒官
医術官
旗手
中隊古参兵
強襲分隊10個
ドレッドノート2輌
ライノ
第九中隊
中隊長にして聖遺物管理長ゼロファス
教戒官
医術官
旗手
中隊古参兵
撃滅分隊10個
ドレッドノート4輌
ライノ
斥候中隊
第十中隊
中隊長にして入団典儀長ラナエウス
教戒官
医術官
斥候分隊10個
未割当人員117名
修練士多数
募兵
ダークエンジェルはもはや拠点となる惑星を保持しておらず、様々な惑星、主として非常に原始的な惑星より新兵を徴募している。そうした惑星の一つが未開惑星キンメリアであり、アズラエル自身もここからダークエンジェルに入団した。ダークエンジェルの戦団代理人はかつて自らが常人であったころ過ごした惑星を訪れ、惑星人口の中で最も強靭な若者たちを連れていくのだ。入団希望者は徹底的に精査され、そしてスペースマリーンとして入団を許された瞬間から彼の過去は葬り去られるのだ。
大逆後、ダークエンジェル戦団は<平原の惑星>として知られる一つの惑星からのみ新兵徴募を行っていた。41千年紀以前のいずれかの時期、帰還した<死翼>の部隊は故郷が50年にわたってジーンスティーラーの支配を受けており、異種族の支配を受けていない人間はもはやわずかしか残っていないことを発見した。誓いと誇りにかけてジーンスティーラーを根絶するべくターミネイターたちは戦いの準備を始めた。作戦成功の見込みは限りなく低かったため、彼らは惑星住民に伝わる死の儀式を執り行った。自らの肌を白い灰で聖別する代わりとして、彼らは装甲服を白い灰で覆ったのだ。ターミネイターたちは惑星を浄化し、奴隷化されていた惑星住民を解放した。この英雄たちの逸話に倣って、今でもダークエンジェル戦団のターミネイターアーマーは白く塗られているのだ。それと同時に、ダークエンジェルの指導部たる<執行会>は一つの惑星に人的資源を頼ることの愚かさを認識し、それゆえ徴募対象の惑星を複数持つこととなったのである。
知られている徴募惑星
デュソヴァン
キンメリア
ヌミダエ
<平原の惑星>
司令部
詳しくは「岩牢」を参照
キャリバンの残骸はキャリバン星系に位置しており、<恐怖の目>の近辺にある。大征戦以前からホルスの大逆にいたるまで、この惑星は青々と茂った森に覆われており、<歪み>の影響で変異した怪物たちが生息していた。キャリバンの人々は誇り高く勇敢で、この環境で生き残るため石造りの要塞院で暮らしていた。
ダークエンジェルたちは彼らの要塞院を、それがかつて建てられた惑星の断片の上に再び蘇らせようとした。岩盤を深く穿ち、廃墟を再建したのだ。新しい要塞は公式に<天使の塔>として知られているが、<岩牢>という呼び方がより一般的だ。<岩牢>はワープエンジンを備え、<歪み空間>を通過することによる超高速航行が可能である。
<岩牢>の地殻奥深くはダークエンジェルたちが彼らの堕ちし同胞を連れていく場所であり、彼らは尋問教戒官によって贖罪させられることとなる。<岩牢>には更なる多くの秘密が隠されていると<異端審問庁>は信じている。
しかしこれらの秘密などもダークエンジェル戦団が抱える最大の秘密に比べれば色褪せてしまうだろう。この秘密を知っているのは<暗闇の監視者>と、そして皇帝のみである。ダークエンジェルが拠点とするこの小惑星の岩盤奥深くには隔離された小部屋が存在する。この小部屋の中で<暗闇の監視者>たちに付き添われながらライオン・エル・ジョンソンは眠り続けているのだ。