2018/11/05
亡くなった親友との「再会」に涙 『おもいでケータイ再起動』ららぽーとで開催
ショッピングモールでガラケーと“おもいで”の再起動
「おもいでケータイ再起動」をご存じですか? 電源が入らなくなったガラケーを持ってきていただければ、専用機器を使って再起動。保存されていた写真を1枚プリントアウトしてプレゼントするイベントです。
手持ちのガラケーに合う充電用ケーブルさえあれば、いつでも充電できるんじゃないの? とお思いかもしれませんが、実はガラケーのバッテリーって、しばらく充電せずに放置していると、電力を完全に使い果たしてしまうのです。そこまでいくと“充電するために必要なパワー”すらなくなってしまう。その場合、いくら合うケーブルを買ってきても自宅では充電できなくなります。
それを専用の機器を使って再起動するのがこのイベント
昨年7月に名古屋からスタートし、KDDI直営店を中心に、今年8月までに仙台・福岡・那覇・長野・赤坂で開催してきました。
古いガラケーを復活させることで蘇るのは、懐かしい写真やメール、音声メモなどなど。首尾よく再起動にいたると、みなさんかなり喜んでいただけるのです。と、同時に「知っていれば持ってきたのに」「またやってほしい」というリクエストも多数いただいてきました。
そこで今回は「ららぽーと」にて出張して開催。9〜10月にかけて「ららぽーと湘南平塚」「ららぽーと立川立飛」「ららぽーと横浜」の3施設で、みなさんの古いガラケーと“おもいで”を再起動してきました。
今回もたくさんのガラケーが蘇り、たくさんの笑顔が
ガラケーに電源が入ったら、みなさん瞬時に笑顔に。
これぞ、「おもいでケータイ再起動!」。
若かりし日の自分の姿に驚き、今はもういない人々の写真に切なくなり、恥ずかしすぎるメールに照れ笑い。ガラケーの復活がキーとなって記憶が呼び覚まされるだけでなく、実は「“おもいで”を共有」する時間でもあるのです。自分と出会う前の妻・夫がどんな人生を歩み、どんな“おもいで”を積み重ねてきたか。
「キミが生まれる前のパパとママはこんなふうだったんだよ」とご両親。
再起動のまさにその瞬間の盛り上がりはもちろんですが、古いアルバムをめくるように、多くのみなさんが、ガラケーに収められた自分史を堪能します。毎度のことですが、それはそれは、たっぷりと時間をかけて。何時間もイベント会場で過ごす方もいます。
ららぽーとで再起動したガラケーと“おもいで”たち
さて今回、ららぽーとのイベントでは、どんな“おもいで”が再起動したのでしょうか。
■「薬局で3日に1回乗ってました」 うくらさん
古いガラケーのディスプレイに映っているオレンジ色のぞうさん。薬局の前にいますよね。突然ですが、ここで問題。この、ぞうさんの名前はなんでしょう?
正解は「サトちゃん」。製薬会社のマスコットです。なんと誕生したのは1959年というから、来年還暦! で、実はこのサトちゃんにがっつり抱きついている男の子の名前も、なんと「さとちゃん」。このころ3歳で、撮影されたのが13年前というから、現在16歳。高校1年生だそうです。
「3日に1回は、家の近くの薬局で50円入れてサトちゃんの乗り物に乗ってたんです。自分と同じ名前だから大好きで、カバンにもサトちゃんのキーホルダーをつけてました」と、さとちゃんのお母さん、うくらさん。
「乗るたびに結構、写真とムービーを撮っていたので、絶対また見たい! と思って、捨てられなかったんです」。現在高1のさとちゃんは全然写真を撮らせてくれないのだそう。でも、「こっそり撮ってますけど(笑)」。
半年ほど前にこのイベントのことを知り、近くに来るのを待ちかねていてくださったのです。
「8月にやっていた軽井沢まで行こうかとも思ったんですけど……待ったかいがありました! データいっぱい出てきました」
本来、プリントアウトは1〜2枚なんですが、記事用にちょっと多めにプリントさせてもらいました。
なるほど! 半袖Tシャツからダウンジャケットまで、さとちゃんの服装で、年間通して乗りまくっていたことがよくわかります。ムービーも7〜8本出てきました。
今も近所の同じ薬局の前に、同じサトちゃんのムーバー(お金を入れてガタゴト動く乗り物の正しい呼び名だそうです)は残っているそう。もちろんさとちゃんは、もう乗らないけれど。
■「ありがとね、ブーちゃん」 下山さんご夫妻
「私がコンビニに勤めていた時に、お客さんとして彼が来たんです。そのコンビニが閉店する時に撮った写真が見たくて」
出会いのきっかけとなった“おもいで”を蘇らせようとやってきた奥さん。
でも、コンビニの写真は見つからず。その代わり出てきたのが……「あ、ブーちゃんじゃん!」
ふたり同時に叫びました。
それは、結婚前にダンナさんが飼っていたネコ。
「ブサイクだから、ブーちゃん(笑)。めちゃくちゃ愛想のいいコでね。家が1階なんですけど、外に人が通るたびに近づいて行ってノドをゴロゴロを鳴らして。そのうち近所で人気者になって、廃品回収のおにいさんもエサを持ってきてくれるようになったんです」
そんなブーちゃんをひと目見たいという奥さんのリクエストに答えてダンナさんが送ったのが、この1枚。これも、ふたりの人生のターニングポイントのひとつ。
「4年前に死んじゃいました。最盛期にはうちに7匹いて、外ネコも3匹いて。いまもペットショップなんか覗いたりしますけど、ブーちゃんが圧倒的にカワイかったですね」
いまも飼ってるんですか、と尋ねると「もーさん、チビ、おかあさん、はるちゃん、金太郎、ふくちゃん……6匹ですね!」
■「検索ワード:昔のケータイ 復活させたい」 えりさん
「なぜ」って尋ねても、「とくに理由はないけど、ふと思ったんです」。
大学時代からおよそ10年が過ぎ、なんとなく昔の友だちに連絡を取ってみたくなったというえりさん。今も付き合いがある人とはSNSやLINEでつながっている。けれど、「どうしてるかな?」とふと思った相手は、しばらく疎遠になっていた人たちだったのです。
「機種変更の時にメールアドレスとか引き継いでなかったみたいで、今のスマホに一切、連絡先がなかったんですね。それで今日はメアドを知りたくて来たんです」
そもそもこのイベントのことは知らなかったけれど、検索しまくって見つけてくれたそう。
「どうしても昔の友だちの連絡先を知りたくて、“昔のケータイ”“復活させたい”で検索したんです。そしたら、『おもいでケータイ再起動』がヒットして。予約して伺いました(笑)」
で、ガラケーが復活して、大学時代の懐かしい写真が出てきたら「ああああああっ」って小さくシャウト。
えりさんの意向で、しっかりはお見せできませんが、成人式の晴れ着と短大の卒業旅行。
「わー懐かしー(笑)。ここにも連絡取りたい人が何人か写ってますね(笑)。みんな、どうしてるんだろ……」
と、電話帳からメアドをSDカードにコピー。仕様上、1件ずつしかできないようで、吟味しながら「名前を見ても誰か思い出せない人は、さすがにもういいかなと思って。こっちから連絡して、“久しぶり〜、ところで誰だっけ?”っていうわけにいかないですもんね!」
■「“見覚えのないガラケー”が家に2台あったんです」 中村さん
以前にこのイベントをテレビかネットで見て、「東京に来たら行かなくちゃ」と思っていたという中村さん。その日のために自宅に眠っているはずのケータイを探索したそう。そして出てきた、ガラケー2台。「間違いなく自分のもののはずだけど、使ってた覚えが全然なくて」と中村さん。
10歳と6歳の娘さんたちが、手近な紙にお絵描きとアルファべットを書き出すのに夢中になっている隙に、中村さん、しっかり再起動に成功。「アーーー、なるほど」。
「なになに、どしたのー?」とお嬢さん。
「ほらほら、これ見てー」とお母さん。
15年前。まだ、娘さんたちがこの世に生を受けていなかったころの中村さんのウェディングドレス姿。
「これたぶん、お色直しの時に式場の人に撮ってもらったものです。披露宴会場のは、オフィシャルのカメラマンの方や、お友だちにいっぱい撮ってもらったんですけど、控え室のはこれ1枚ですね。ウェディングドレスなのに、自分が“素”なのって、これだけだと思う(笑)」
この貴重な1枚を発掘している間も、同行の10歳と6歳は、やはりお絵描きに夢中なのでした。
■「ヤンキーじゃん!」「違うよ(笑)」 西山さんファミリー
13歳のお姉ちゃんが赤ちゃんだったころの写真はデジカメでいっぱい撮って、いっぱいプリントしたけれど、10歳の弟くんの時はほぼガラケーでの撮影。古いガラケーの機能停止とともに、彼の写真が見られなくなってしまったという西山さん一家。
見事、赤ちゃん時代の画像も復活。それ以降のかわいい盛りの画像のプリントアウトにも成功。
最終的には、古いガラケーの画像データをメモリーカードに移行し、スマホに保存するということで一見落着するのですが、とにかくみなさん、“おもいで”の復活を楽しまれました。
幼い日の弟くんの写真を母娘で楽しみ、お宮参りの画像からどんどんさかのぼっていって「あ、産んだ時の病院まできました(笑)」。
お姉ちゃんが「見てみて、ホラ、超かわいくない?」と赤ちゃんな弟くんの写真を本人に見せると、「ああ……ウン」と結構そっけなく返す弟くんのシーンも見られたりして。
最後は家族4人でキメの1枚を撮影。
でも、スタッフがもっとも盛り上がったのは、ふたりのお子さんが生まれる以前、2003年に使っていたガラケーの裏ぶた。これを見て弟くんが叫びました。「ヤンキーじゃーん!」
ダンナさんによると17年前の写真で、決してヤンキーではなかったそうです。なにはともあれ、超幸せそうなご家族でした。
■「おからだ、大事にしてくださいね」 ジョーさん
泣いていらしたので、思わず声をかけてしまいました。
こちらはジョーさん。
彼女が最近まで使っていたガラケーから復活したのは、親友の写真。中学の演劇部の1年後輩。でも、その後は先輩・後輩ではなく、友人として親しく付き合ってきたと言います。
写真は4年前、その友人と2人で甲府に旅行したときのもの。
「縁もゆかりもない土地だし、彼女は下戸だったので、ワインを飲むようなこともなかったんですけど、不思議と心なごむというか……。科学館みたいなところのイベントで恐竜の展示を見たんです」
目を真っ赤にはらしながら答えるジョーさん。
親友の写真が全部、隠し撮りふうになっているのは、
「彼女は写真を撮られるのが苦手で……」
だから写真があまり手元にないと言います。
「今回、貴重な1枚が出てきたのがすごくうれしいです」
親友はがんを患い、1年ほどの闘病の末に亡くなってしまったそう。
お話を聞かせていただいたお礼を言うと、ジョーさんはにっこり微笑んで言いました。
「みなさん、おからだは大事になさってくださいね」
ガラケーと“おもいで”を再起動させるということ
ガラケーを再起動させるこのイベントには、大切なものが二つあります。
まずは「バッテリーテスター」。文字どおりガラケーの電池の状態をチェックし、通電させるための専用のマシンです。
お持ちいただいた古いガラケーから外したバッテリーをセット。
パワーを失ったバッテリーを復活させます。
このイベントではauに限らず、すべての携帯電話会社のガラケーを受け付けています。あらゆる時代のあらゆるガラケーに対応すべく、専用のアダプターなども準備。バッテリーテスターはまさに「おもいでケータイ再起動」のキモなのです。
そしてもう一つ大切なものは、「参加者のみなさんの笑顔」。
お持ちいただいたガラケーが再び起動した瞬間の、みなさんのリアクションが素晴らしすぎるのです。パッと表情が変わり、歓声をあげ、ときには涙する。ガラケーの電源が入る、というだけで本当に喜んでいただけるのです。
だからスタッフも必死。再起動が成功すると、思わずみなさんと変わらない笑顔に。もらい泣きしちゃったりすることもしばしば。
今回の「おもいでケータイ再起動」は、このイベントを目的にしてきたお客さまだけではない、多くの人が行き交うショッピングモールで開催されました。だから、いつも以上に「古いガラケーを持ってくればよかった!」というお声が多かったように思います。
偶然このイベントを知ってきてくださった方はもちろん、「どうしてもガラケーを蘇らせて、データを見たい」というみなさんも数多くいらっしゃいました。
そんな思いを直接耳にすることで、「おもいでケータイ再起動」をもっと知っていただき、なんとしてでもみなさんのガラケーと“おもいで”を再起動させることに尽力したいと考えるスタッフ一同なのでした。
今回は首都圏のららぽーと3カ所、計7日間で181人のみなさんにお越しいただき、合計185台のガラケーを再起動することに成功しました!
というわけで、2017年夏に始まり、KDDI直営店だけでなく、今やさまざまなところに出張し始めた「おもいでケータイ再起動」。累計来場者数 約1,600人、約1,100台のガラケーに電源を入れ、それだけの“おもいで”をみなさんにお届けしました。
次回は、あらためてKDDI直営店での開催。11月9日~11日に大阪で実施します。今後もあらゆるガラケーを再起動できるように、いろいろなアイデアを用意しています。みなさんのお近くに行くことがあると思いますので、昔のガラケーをお持ちのみなさん、大事にしまって待っててくださいね。
文:武田篤典
撮影:TIME & SPACE編集部
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