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ホリエモンが明かすロケット打ち上げ成功までの軌跡「正直あの時彼を説得していなかったらと思うとゾッとする」

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ロケット, 堀江貴文, 宇宙・科学関連

MOMO-F3の打ち上げ成功からひと段落した。とはいえ資金調達およびPRが主な役割の私からすればむしろこれからが忙しくなる。現場チームの頑張りを次の資金に変えていかなければならない。宇宙先進国のアメリカには宇宙へ到達できずに倒産の憂き目に遭った会社は山の様にある。CGベンチャーと揶揄されたりもする。

高度100kmへの到達はまあ例えて言うならばロケット開発企業としてはなんとか仮免許を取得できたくらいのレベルだ。軌道投入機にはクリアしなければならないハードルがまだまだたくさんある。でも姿勢制御や強度計算、主に民生品の部品を使っての格安生産、ガスジェネレーターガスジェット(GGG)でのおそらく世界初のロール制御技術の習得(軌道投入機のターボポンプ回す為のガスジェネレーター技術の習得に繋がる)などなど軌道投入機でクリアすべき課題をいくつかこなしたので一から作るよりはかなり短期間で成功に近づける。

そして、軌道投入機を実現できれば大型化は主に資金力の問題になる。その頃には資金もかなり集まりやすくなっているので軌道投入機を実現できれば世界有数のロケット企業になれるだろう。もう少しだ。

思えば長かった。最初ロケットはロシアからエンジンとカプセル持ってくれば簡単に出来るもんだとタカをくくっていた。甘かったね。エンジンが売りに出てたのはソ連崩壊の直後、ロシアが金に困っていた時だ(アメリカは凄いことにこの時期にガレージセールのごとく売られていたロケットエンジンを大人買いして主力ロケットアトラスの1段目に使っている)。ロケットは打ち上げサービスとして高額で買うしかないのだ。それから自前で作るべく様々な手段を検討した。ISTに繋がる夏のロケット団メンバーを紹介してくれたのは、なんとロケットアニメの金字塔「オネアミスの翼」のガイナックスさんだった。北海道の民間ロケットの嚆矢である植松電機さんと北大の永田先生にも打診した。カムイロケットへの資金提供の申し出は残念ながら断られた。でも、一からガレージベンチャーとしてロケットエンジンの開発に一応成功した(30kgfと超小型だが)実績を持って行ったら共同実験を快諾してくれた。それから植松電機さんの赤平工場で数年間実験を共にする。

その流れでカムイロケットの発射実験をやっていた大樹町を紹介してもらい、2011年初のロケット「はるいちばん」の打ち上げに成功した(本当は東日本大震災の次の日予定だったのだけど震災の影響で一週間ずれて私は観に行けず)。

それから私は刑務所に入るのだけど、メルマガを数少ない手紙発信回数を消費して書き続けだ。もちろんロケットの開発資金のためだ。当時はまだISTとして独立した法人になっておらずSNS株式会社という私のマネージメント会社の一部門だった。それを収監中に独立させてほぼボランティアの設立メンバーにも株を持ってもらい独立させた。とはいえ、収入はほぼないのでSNS株式会社からの研究開発委託という形を取らざるを得なかった。初代社長の牧野さんとの出会いも偶然だった。

私の中学高校大学の一つ上の先輩である村田さんはソニーミュージックの社員だったのだけど、「着うた」立ち上げチームの一員だった。そんな畑違いの彼に宇宙ロケット作る話と一緒に作ってくれる技術者探しの話をしたのが良かった、というより仲良くなった人全員にその話をしていた。そしたら知人に1人でロケットを作ってる人がいるという。今みたいにSNSもスマホもない時代。そんな繋がりを持つのは厳しい時代だった。紹介されたのが日本ビクターで同じく着うたを担当していた牧野さん。どこにチャンスが眠っているのか分からないんである。とにかく全てのチャンスにベットするべきだと私がいつも言っているのはこういうことだからだ。

牧野さんがプロパー社員として加わったことでロケット開発は加速した。出所してきてはじめての打ち上げは失敗したけれど、ボランティア参加していた東工大の院生が優秀らしいと聞いた。なんでもカメラメーカーに就職が決まっているという。3/29に私は彼に「君はロケットを作りたいのかカメラを作りたいのか」と聞いた。彼は「もちろんロケットです」と答えた。そして4/1の入社式に内定辞退をしたのである。それが現社長の稲川くんだ。残念ながら難病に倒れた牧野さんの後を引き継ぐ社長に抜擢された。

彼は不思議な人望がある。人が自然と彼の周りに集まってくるのだ。そして、いい意味で老成しているところがある。正直あの時彼を説得していなかったらと思うとゾッとする。人も集まり第三者割当増資で資金を調達してきた。クラウドファンディングも融資も補助金もなんでも使える手段は全て駆使してきた。でも何度も資金難にぶち当たった。すでに私の会社の収入で支えられる規模を超えているのである。でも多くの人たちに声をかけてきた結果なんとか資金繰りを持ちこたえて宇宙空間に到達することができた。

死屍累々のロケットベンチャーにとっては一つの大きなデスバレーを越えることができて感慨深いが、私の仕事はこここからが本番だ。ホリエモンは資金を出してるだけで何もしてない、とか悪意のある言葉に傷つくこともあるが一度は社員数千人の上場企業を経営していた身。資金調達や技術者中心のチームビルディングはむしろ本職だし、PR力もある。私が現場でネジを締めるのはむしろ本末転倒であり、ベンチャー企業は適材適所で動かないと余裕がなくなってしまう。

というわけで、読んでくださった皆様、出来るだけ多くのご支援をぜひインタステラテクノロジーズにお願いします!

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