高齢化を背景に成長が期待されるアンチエイジング化粧品。特に伸び率が大きいとみられるシワ改善化粧品で大手3社の新製品が出そろう。コーセーは9月16日、最高級ブランド「コスメデコルテ」から同社として初めてシワ改善効果をうたった美容液を発売する。ポーラと資生堂に次いで3社目。今後は化粧水や乳液にも品ぞろえを広げる。業界2位の参入で競争が激しくなりそうだ。
新商品は「iP・Shot アドバンスト」。容量は20グラムで価格は1万800円。全国の百貨店や化粧品専門店で発売する。新商品に配合するのは「ナイアシンアミド」と呼ばれるビタミンの一種。血行促進や肌荒れ改善効果が知られ、すでに様々な化粧品に配合されているが、今回コーセーが新たにシワ改善効果を確認。厚生労働省から、効果を商品に表示するお墨付きを得た。
シワ改善効果をうたった化粧品はポーラが2017年1月、独自成分の「ニールワン」を配合した「リンクルショット メディカル セラム」を発売した。国内でシワ改善効果の表示を初めて認められた商品で、初年度の売上高は当初計画比1.3倍の約130億円と、近年の同社化粧品で最大のヒットとなった。
これに追随して資生堂も17年6月、中価格帯ブランド「エリクシール」から、同社が初めてシワ改善効果を確認した成分「純粋レチノール」を配合した美容クリームを発売。同11月には「SHISEIDO」ブランド、今年2月には「ベネフィーク」からも同じ成分を配合した商品を発売している。
コーセーによると、ナイアシンアミドは先行2社のシワ改善成分に比べて安定性が高く、クリームや液体など様々な剤形と組み合わせられるのが特徴。このため「競合がまだシワ改善商品を投入していない、化粧水や乳液などのジャンルでも、今度品ぞろえを広げる計画」(同社)という。
10月にはドラッグストアなど量販店向けの中価格帯ブランドでも、シワ改善の美容液を投入する計画で、5千円前後の価格を想定している。
各社の活発な商品展開で、「シワ改善」は「シミ対策」や「美白」と並ぶ機能性化粧品の新ジャンルとなっている。富士経済によると18年のアンチエイジング化粧品の市場規模は、16年比8%増の7340億円となる見通し。シミ対策や美白以上にシワ改善化粧品の好調な販売が全体を引っ張っているとみられる。
一方、メーカー間の競争も激しくなっている。ポーラは今年1月、リンクルショットの価格を1割値下げした。資生堂が同じ価格帯にシワ改善化粧品投入したことへの対抗とみられる。各社は美白や保湿など他の機能と組み合わせた、シワ改善化粧品の開発にシフトしている。今後は競合との機能面の差異をアピールする、宣伝・広告の巧拙も勝敗を分けそうだ。(企業報道部 松井基一)
[日経産業新聞 2018年6月20日付]