シャドウバン(Shadowban)という言葉を最近始めて聞きました。
- Shadow = 影
- ban = 禁止
という意味からなる合成語なので、シャドウバンとは「ユーザーに知られづらい形で、いつの間にか何かが禁止されている」ものだということは予想がつきますが、あまり詳しいことは知られていません。
シャドウバンとは、正確にはどのようなものなのでしょうか。
2019/05/19:シャドウバンの1種であった「QFD」が無効になったようなので、シャドウバンは3種類となりました。その他、新たな検証結果なども含めて記事を編集しました。
目次
シャドウバンとは
シャドーバンとは、ソーシャルメディアの運営側が悪質なユーザーのアカウントの投稿をタイムライン等に表示させないように設定して(公の目に触れないようにして)半ばアカウント凍結(ban)に近い状態にする措置のことである。
– シャドーバンとは何? Weblio辞書
もう少し簡単な言葉で書くと、
という感じでしょうか。
さて、このこっそりとっていうのがポイントです。
通常のBAN(Twitterでいえば凍結に相当する)をされれば、された本人もフォロワーも気づきます。しかしシャドウバンは確かめようとしない限り、気づく機会がほとんどないです。これがいやらしいところです。
どうして気づきにくいのでしょうか?
それは、シャドウバンされるとどのようなことが起こるのかを知るとわかります。
Twitterでシャドウバンされると……
Twitterでシャドウバンされた人のツイートは、ツイート検索で引っかからなくなるなど「公の目に触れにくいように」されます。
つまり誰かが何か興味あるワードで検索をかけて、趣味の合う人を探そうとしているようなときに、シャドウバンされている人は見つけてもらえない可能性が出てくるわけです。
ちなみに、シャドウバンされている本人やそのフォロワーが検索した場合は、ちゃんとその本人のツイートは表示されますので、
とか、
というような、ユーザーに違和感を抱かせる状況は起こらないようになっています。
その本人と全く関係ない人が検索したときに表示されないわけであって、最初からその人の存在に気づかないわけですから。
図で説明すると、以下のようになります。
誰も違和感を指摘できる人がいないので、さっぱり気づかれない……。
気づかないうちに、自分のツイートが他人に見られるチャンスが減っているというわけです。
この他人に見られるチャンスが減るというのは、インプレッションが急に減るという形で現れます。インプレッションの確認方法についてはこちらの記事をご覧ください。
もちろん個人用にSNSを使っているだけという場合であれば、部外者に見つけられることがないというのは全く問題にはなりません。
しかし、
- 趣味を多くの人に広めたい方
- 企業のアカウント
など、不特定多数に見てもらいたいアカウントにとっては、シャドウバンは目に見えにくい脅威になりうるということです。
ただし、対策することはできます。
まずはご自身のアカウントがシャドウバンされているかどうか、調べてみましょう。
シャドウバンされてるかどうか調べる
Twitter Shadowban Test
こちらのサイト(この記事では今後「shadowban.eu」と書きます)にアクセスして、調べたいIDを入れて「CHECK」を押すだけです。
shadowban.euにはTwitterでログインする必要はなく、他人のアカウントでも調べることができます。
shadowban.euでは、3つのタイプのシャドウバンが設定されているかどうかを調べることができます。それぞれ、
- 効果
- 原因
- 解除方法
が異なります。詳しく見ていきましょう。
当然、このようなシャドウバンの種類や判定方法などをTwitterが直接教えてくれるわけではありません。ですから、これらの説明はshadowban.euに書かれていたものの翻訳や、その他参考にした情報源から書いています。注意して書いていますが、確実に正しいとは言い切れないのでご注意ください。
シャドウバンの種類
Search Suggestion Ban
これは検索候補からのBANと訳されます。
例えば上の画像のように、あるアカウントがこのSearch Suggestion Banを食らっているとします。
そして、このアカウントがこのようなツイートをしているとします。
ここで、このツイートに含まれている語句「新しいカメラ」を検索すれば、検索結果にこのツイートが表示されるはずですよね。これは当たり前ですね。
ところが、ログインしていないブラウザからこの単語を検索しても、このアカウントのツイートは表示されません!
これがSearch Suggestion Banの効果です。
原因は?
Search Suggestion Banは、どうやらスパムやエロ系の投稿などをしていると食らいやすいようです。
実際、成年向けの絵を投稿している絵師のアカウントをshadowban.euで調べてみると、ほぼ確実にこのシャドウバンに引っかかっています。
「18歳未満」でユーザーを検索(18歳未満の方のフォローはご遠慮ください、みたいなことを書いているアカウントが出てくる)して片っ端からshadowban.euに突っ込みましたが、マジで100%引っかかってました。同じことをお試しいただければわかると思います。
解除するには?
実は筆者の持っているアカウントも、心当たりもないのになぜか一時期これを食らっていることがありましたが、2か月経過してからもう一度shadowban.euで調べてみると解除されていました。
2か月といってもその間一切調べていなかったので、実際はもう少し早く解除されていた可能性もあります。
おそらく「不特定多数に対してあまり好ましくないツイート」を長期間控えていれば解除されるのだと思います。
そういうツイートを止められない方は
そもそも自分の活動内容からして、そのようなツイートは止めるわけにはいかないんだ!という方向けに、私なりの見解を書きます。
このタイプのシャドウバンを食らっても、あなたは「してはいけないことをした」わけではありません。ダメなら普通に凍結されているはずですからね。
ただ「あなたのツイートを見たい人もいる一方で、不特定多数には好ましくないかもね」と判断されて、Twitter側がゾーニングの一環としてシャドウバンという方法を用いているのです。
つまり、シャドウバンされているということは、あなた自身のためでもあります。
今後もそのようなツイートを続けていくのならば解除されることはないでしょうが、気にしないようにしましょう。
Search Suggestion Banに関する、さらなる推察も含めた考察はこちらをご覧ください。
Search Ban
これは検索からのBANということになります。
検索する人がログインしているかどうか、クオリティフィルターをONにしているかどうか、センシティブな内容を表示しているかどうか、などといったことは一切関係なく、検索結果に表示されなくなってしまいます。
Search Suggestion Banをさらに重くしたバージョンと考えてもよいかもしれません。
ただしシャドウバンの原則として「シャドウバンされた本人とそのフォロワーは効果の対象外」であることを忘れないようにしてください。本人とそのフォロワーが検索した場合は、ふつうに検索結果に表示されるはずです。
原因は?
こちらの記事に、このタイプのシャドウバンに関する体験談があります。
Twitterでシャドーバン(ShadowBan)されているか確認する方法って知ってます?ぼく知ってる
この記事によると、どうやらbotが行っているようにも見えるような「定型文のツイート」を定期的に行っていたとのこと。
トレードの成果を箇条書きっぽく普段からツイートしていたのが原因かもしれないということでした。
確かに、普段から同じような内容をツイートし続けるようなアカウントは、検索結果に表示する価値が薄いと判断されるというのは理解できる話です。
解除するには?
shadowban.euによれば、実はこのタイプのシャドウバンは特に活発なユーザーに対して一時的・限定的に行われるものだということです。
実際上記の記事でも、3日程度ツイートせずに放置していたらいつの間にか直っていたとのことです。
決して恒久的なものではないので、食らっても慌てずにしばらく待ってみましょう。
Thread Ban
これは会話からのBANです。
人気のツイートを見ると、このように「返信をさらに表示」となっていて特定のユーザーのツイートが隠されているということがあります。
私は当初これのことかと思ったのですが、shadowban.euの説明には「完全に隔離されて見えなくなる」とあります。つまり隠されるどころではなく元々存在しないようにするということかもしれません。本当はどちらなのかは今のところ分かりません。
原因は?
shadowban.euによれば、こちらもSearch Banと同様で、特に活発なユーザーに対する措置とのこと。
ですから人気のツイートに手当たり次第に関係のないリプライをしまくるとか、そういう「リプライに関する迷惑行為」を行った場合にされるものと考えられます。
解除するには?
Search Banと同様に「一時的な措置」だということですので、やはりしばらくの間おとなしくしているのがよいでしょう。
QFD (Quality Filter Discrimination)
この記事の執筆時点(2019年3月初め)では、shadowban.euによると、このタイプのシャドウバンもあるとされていたのですが、いつの間にか削除されてその理由も追記されていました。
どうやらこのシャドウバンによるフィルタリングの精度があまりよろしくなかったようで、無効にされたようです。
つまり、このシャドウバンに関してはもう気にする必要はありません。
シャドウバンに対する考察
Twitterのシャドウバンは大きく分けて2種類
ここまで説明したように、Twitterには少なくとも3種類のシャドウバンが存在しますが、それぞれを調べていくことによって分かったことがあります。
- Search Suggestion Ban
以上のタイプのシャドウバンは、比較的軽い措置だが、解除には時間がかかるものでした。
- Search Ban
- Thread Ban
一方、以上のタイプのシャドウバンは、重い措置ではあるが、解除にはそれほど時間がかからないものです。
というように、現在シャドウバンには大きく分けて2種類が存在し、それぞれのスタンスにちがいがあるものと思われます。
2種類のシャドウバンのちがい
軽い措置のほうのシャドウバンは、解説中にも書きましたが必ずしも避けるべきとは言い切れません。あなたの活動内容に即した発言をしているのならば、そもそも不可避である場合もあります。
説明した通り、このタイプのシャドウバンにはあなたのツイートが不特定多数から見られることを避ける効果があり、ゾーニングとして機能します。すると無用なトラブルを避けることに一役買っているかもしれません。
一方、重い措置のほうのシャドウバンは避けるべきです。そもそも迷惑行為と受け取られかねない行動によって発生するものであり、措置も短期間とはいえ重いものですので。
まとめ
以上のように3種類のシャドウバンについて説明しました。また各々のシャドウバンの性質のちがいも理解いただけたのではないでしょうか。
Twitter Shadowban Test
もう一度貼っておきますが、まずはこちらのサイトでご自身のアカウントにシャドウバンが設定されているかどうかを確認することからです。
されているようであれば、この記事で説明したことを参考にして、対策してみてください。
シャドウバンについてこのようなまとめを上げてくれた事には、この問題を理解し対応する手段を考えさせていただき、大変感謝しております。ただあなた様の最後のまとめにある、軽い措置の方であるサジェストバンを喰らうと、Twitter側からは解除方法も示されてない上に趣味嗜好が合わないかどうか分からない相手にすら、ましてやその性癖などとは無関係の全ての発言まで遮られてしまう事に、あなた様がTwitter社への忖度なのかどうか分かりませんが、どこがユーザーフレンドリーだと思うのか理解出来ません。
ご覧いただきありがとうございます。
忖度などは一切考えていません。しかしサービスの運営上、明らかにユーザーの反発があると考えられる施策をただで行うはずがなく、何かしらのメリットがあると考えたうえで第三者的観点から良い点・悪い点両方書くようにしています。
センシティブな内容に関してはシャドウバン云々以前に人間からの攻撃を受ける可能性もあります。そういった攻撃を避けるために、本来はユーザー側から進んで、そのような発言とそれ以外の発言をするためのアカウントを分けることを考えるべきだと思います。住み分けができていないことによって攻撃を受けることはユーザー自身の落ち度でもあります。それができていないユーザーに対してシステム側で勝手に住み分けを作るのはそれほど悪いことではないと思いました。
とはいえユーザーフレンドリーは書きすぎかもしれませんでした。シャドウバンに対して何も知識がない人に対しては何らフレンドリーではありませんので、そういった人々への周知は今後Twitter側としても行うべきことです。
またTwitterが目指しているであろう「真に攻撃的・差別的な発言のみブロックする」ことはAIの改善など企業努力が必要になる部分です。私はプログラマーでもありますので、まだまだ発展途上でありそれが難解であることは今のところは理解すべきことだと思っています。
フォローしているユーザーであっても検索から除外されてしまう現象が(昔から)多発していますがこれもShadowBanなのでしょうか?
原因や理由、対策や解除法が一切わからず不便しているのですが、調べてもらえないでしょうか
フォローしているユーザーがShadowbanされていても基本的には見えるはずです。自分のクオリティフィルターの設定によって除外されているかもしれませんし、またShadowbanとは別の原因で検索から除外される場合もあるようです(自己紹介が設定されていないアカウントのツイート、登録したメールアドレスが間違っているアカウントのツイート、古すぎるツイートなど)。
この辺りはアカウントごとに状況が違うので、私では決定的なことは言えません。
[…] […]
Search Suggestion Banのログアウトに関しては、規制を受けた側がログアウト中に検索された場合に表示されないのではなく、検索する側がログアウト状態だった場合に(ログイン中なら見れるツイートも)表示されなくなるというものです。よろしければ修正をお願いします。
ご指摘ありがとうございます。この情報の出典はどちらにありますでしょうか?shadowban.euの解説を読むと
>検索する人がシャドウバンを食らっている人と「つながりが強ければ」候補に表示されるかもしれない
とあるのですが、これが本当だとすれば、検索する側がログインしている状態でなければこの記述に意味がなくなります。
ただし、もちろんこの記述が誤りである可能性も否定できませんが。
なにぶんこの話題は情報源に乏しいため、ご指摘の件に関してソースがあるようでしたらご教示頂けますとありがたいです。
Search Suggestion Ban(以下、シャドウバン)状態である自身のアカウントを元に検証を行った結果についてお話しているため、Web上の出展を示す事は出来ません。
ただし、シャドウバン状態でアクティブなアカウントを発見して、ログアウト状態で検索すればそちら側でも簡単に検証できると思います。
「検索する人がシャドウバンを食らっている人と『つながりが強ければ』候補に表示されるかもしれない」というのは確かにログイン中のお話です。「検索する側がログイン中であれば、一定条件で表示できる。ログアウト中であれば無条件で表示されない」という話だと、自身の検証を踏まえてわたしは解釈しています。
ご自身の検証結果だったのですね。失礼いたしました。
こちらでも検証しようとしたのですが、元々件のSearch Suggestion Banを食らっていたはずのアカウントがいつの間にか解除されていました。そこで、適当なアカウントを調べてそれを食らっているものを発見し、私がログアウト中にそのアカウントのツイートした単語で検索をかけてみると、確かにそのアカウントは表示されませんでした。
よって、こちらでも同様の検証結果が得られたということになりそうです。
また、ログイン中とログアウト中のどちらかのみでこのBanが効果を発揮すると勝手に思い込んでおりました。両方という可能性もありましたね。ログイン中のほうは検証が難しいのですが、こちらの記述もとりあえずは「かもしれない」ということで残しておこうと思います。
ところで、Search Suggestion Banが解除されるというのも記事に書いた内容と異なりますし、またshadowban.euからいつの間にかQFDの項目もなくなっていた(説明も書いてあるようです)ので、記事全体の見直しが必要そうです。
ご指摘の点も含めて、現在の状況に適するように書き直そうと思います。情報提供ありがとうございます。
先日ログアウトの件について修正をお願いした者です。丁寧なご対応ありがとうございます。
……サイト消えてません?