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【社会】

ヘイトスピーチ 罰金1万円超想定 川崎市、差別禁止条例案

 川崎市が本年度中の制定を目指す差別禁止条例案にヘイトスピーチ(憎悪表現)に対する刑事罰を盛り込む意向を、福田紀彦市長が十九日、明らかにした。

 市によると、ヘイトに刑事罰を科す条例は全国初。被害に遭ってきた地元の在日コリアンから歓迎の声が上がった。

 刑事罰は一万円以上の「罰金」を念頭に置き、条例に明記する。在日コリアンに対する排外的と疑われるデモなどが行われた場合、市が検察に通告し、刑事訴訟法に基づき、ヘイトに該当するかどうかを裁判所が判断する手続きが想定される。

 刑事罰を定めることに市議会で目立った反対の声は出ていないが、市は刑事罰を盛り込むことから、全会派一致での条例案可決を目指す。福田市長は十九日の市議会代表質問で「表現の自由に留意しつつ、条例の実効性の確保を図る」と答弁。本紙の取材に「ヘイトが行われる恐れが高い状況が続いている」と罰則の必要性を強調した。

 ヘイト被害を訴えてきた在日コリアンの崔江以子(チェカンイジャ)さん=川崎区=は市役所で記者会見し「罰則は被害から守られるために必要。条例案は日本中で被害に遭っている人の希望になる」と歓迎した。

 ヘイト問題に詳しい師岡康子弁護士は「画期的と評価する。啓発活動だけではヘイトを止められない。国際的にも許されない犯罪と規定するべきだが、ヘイトスピーチ解消法は理念法で罰則規定がない。条例が後押しする形で、国が解消法を改正するなど法整備するべきだ」と話した。 (大平樹)

 

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