競り勝った楽天はウィーラーが2安打3打点と活躍した。1-2の4回に通算100本塁打の2ラン。3-3の8回は勝ち越し犠飛で、辰己の適時打につなげた。継投策も決まった。阪神は守屋ら救援陣が粘れず、1分けを挟んで4連敗。
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粘り強く、泥くさく。楽天が闘将にささげる勝利を飾った。「何とか、ここ倉敷で勝ちたかったのでね」。平石監督の、そして選手の強い思いが結実した1勝だ。
1点を追う2回は相手失策で同点。再び勝ち越された直後の4回1死一塁では、ウィーラーが来日通算100号の一時は逆転となる2ラン。直後に同点とされるが終盤の8回1死一、三塁ではウィーラーの右邪飛が犠飛となり、しぶとく決勝点をたたき出した。
2006年以来となる倉敷での公式戦。監督、球団副会長を務めた故星野仙一さんの故郷で、18年の死去後初だ。「副会長と一緒にやってきた選手もいるし、みんないろいろな思いを持っている」と平石監督。チームが特別な思いで臨んだ一戦だった。
秋季キャンプを行うなどゆかりも深く、スタンドが虎党一色の中で懸命に声援を送るファンの姿もあった。「何としても勝ちたかった」と繰り返した平石監督。闘将が見せた勝利への執念は、今もチームに息づいている。 (中田康博)