さて、この世界線のモモンガ様とは、一体何者なんでしょう?
「えっとね……ネム、キーノ様みたいにモモンガ様と同じ
「モモンガ様、
確かにネムの言うとおり、”
元々、王族としては少々痩せ気味のラナーではあったが、身長や体重だけでなく膨らみの足りない胸も無毛の
だが時間を止める……それもPvP時のような僅かな時間ではなく、少なくと年単位。いや、ネムの言い方を考えれば、おそらく半永久的にも可能となってる可能性すらある。
最早そこまでいくと時間停止というより時間操作、それすら飛び越えて《時間支配》の領域になりそうなのだが……
モモンガにそんなことが可能なのだろうか?
端的に言ってしまえば”可能”である。
それも一応とか、とりあえずなどという修飾がつかずに、だ。
☆☆☆
原作だろうがこの世界線だろうが、モモンガの種族と言えば、言わずと知れた”
実際、100年前にこの世界に落下し、ツアーと出会ったばかりのモモンガは、種族Lvも職業Lvも原作となんら変らなかった。
いや、今でも人の姿を得る代わりに種族Lvを失う受肉時の総合Lvこそ99だが、オーバーロード時は相変わらずLv100.カンストプレイヤーなのだからデスペナでも起きない限り変りようがない。
では、100年という時間はオーバーロードとしての彼にはなんら変化を及ぼさなかったのか?
否。断じて否である。
時はやはり無慈悲にして巨大な力であり、良かれ悪かれに関わらず不変のはずのアンデッドにすら変化を強要する。
唐突ではあるが……モモンガの代名詞である種族、アンデッドの頂点の一角でありスケルトン系の頂点であるオーバーロードにも種類があることを皆様は御存知だろうか?
そう、《
お察しいただけた方もいるのではないだろうか?
そう、この100年の間に”オーバーロードたるモモンガの身に起きた変化”とは、即ち種族Lvの変質なのだ。
先に結論を言えば、モモンガ自身カンストプレイヤーである以上、骨の身である状態で総合Lv100は変らないし、種族Lvが合計40であることも同じだ。
だが、その40Lvの種族の割り振りが、この世界に漂着したときと大きく異なっているのだ。
現在のモモンガの種族Lv振り分け
○オーバーロード:Lv15
○エルダーリッチ:Lv10
○スケルトン・メイジ:Lv5
○オーバーロード・
○オーバーロード・
合計種族Lv40
まず特徴的なのは、転移したばかりのときと《
これを読み解くと、異世界転移によるルール変更と、本人の経験……特に骨の身として行動するとき、『一体、自分が何者なのか?』と認識して行動した結果だと推察できる。
やや哲学的な解釈になってしまうが……つまり、モモンガがモモンガとして行動するとき、意識無意識に関わらず『自分がオーバーロードである』と認識していた故の変化なのだろう。
今にして思えばユグドラシルで過ごした時間は12年、対しこの世界で過ごした時間は100年だ。受肉した人の身で過ごした時間を差し引いても、この世界で生きた時間の方が遥かに長い。
そう考えれば、12年の月日で出来上がった転移直後の体が、100年の時間の中で再構築されても不思議ではない。
そして、主たる種族がオーバーロードに切り替わり、そしてそれが単一種族Lvの上限たるLv15に至ったことで、更なる変化が起きた。
オーバーロードとして生きた経験、その行動如何により種族Lvの一部が”今のモモンガ”に合わせて書き換えられ、オーバーロードを極めたために派生する上位の種族Lvに置換されたのだ。
今のモモンガ……そう、即ち『オーバーロードとしてこの世界をどう生きたか?』の具現こそ、種族”オーバーロード・ワイズマン”と種族”オーバーロード・クロノマスター”なのである。
オーバーロード・ワイズマンはこの100年、最古図書館の蔵書をどれだけ愛読して叡智を蓄え、そしてカルネ村を代表格にそれを生かしてきたか、他者に分け与えてきたかを考えれば簡単だろう。その行動は紛れも無く”
オーバーロード・クロノマスターに関しては少々特殊だ。
元は骨の身、死んでる身とはいえ、白金の竜王ことツァインドルクス=ヴァイシオンより賜った神話級アイテム”
加えて、人の身であれば、やはり骨の身以上に顕著に時間変化を受ける成長や老化と呼ばれるものだ。
鈴木悟という今は捨てた名で生きていたリアルでは、その生活パターンや食生活から老齢と呼ばれる年齢まで生きられないことを薄々自覚していた(故にゲームでは不死の者を分身とした)彼は、一度老いというものを感じてみたかったのだ。
故に
無論、毎年受肉した状態を指輪にセーブしていたし、指輪の機能は実は装着した状態でもON/OFFできたし、指輪を外せば強制的に受肉状態が解除されてしまうので、そうしていただけなのだが……
そんな状態を知る本人は、むしろ暢気に老いるという状態を楽しんでいたのが……気がつけば老い衰えている愛する者を、不死者ゆえに刻一刻と近づく別離の瞬間を今を一所懸命に生きる夫に悟られぬよう哀しみ怯えていたキーノの心情は、察して余りある。
もうお気づきだろうが、モモンガは時折発揮する『うっかり』を発動させ、自分もまた不死者であることを伝え忘れていたのだ。
『まっ、もうここまで老いを経験できれば十分かな?』
確かそんな事を言いながら、妻の前で初めて指輪を外した時の出来事をモモンガは生涯忘れることはないだろう。
詳細は割愛させていただくが、その時のキーノのリアクションたるや……
長々と過去を話してしまったが、モモンガは人と骨の間を行き来することで生死の境界を、また人の身として老い、またセーブした肉体データをロードし、あるいはそれを外観データとして捉え弄ることで若返り……肉体的には不可逆であるはずの時間を擬似的に
故に得た”
☆☆☆
もし、モモンガが今まで経験してこなかった生者死者を問わず大軍を指揮するような機会が重なれば、もしかしたらもしかしたら《スケルトン・メイジ》が変化して《オーバーロード・ジェネラル》になる日が来るかもしれないが、今のところその兆候も予定もない。
大軍を指揮するなら、愛らしくも将の才に満ちたエンリがいるのだから。
そしてその妹である真新しいビキニアーマーを纏った
なら、それを叶えてやりたいとも思う。
だが、なればこそ伝えておかなければならないことがあるのだ。
「ネム、聞きなさい」
時を統べる力を得たモモンガと言えど、只人を終わり無き存在にするというのは、簡単に考えていい話ではなかった。
お読みいただきありがとうございました。
今回は捏造設定てんこ盛りでしたが如何だったでしょうか?(^^
実際、ジェネラル/ワイズマン/クロノマスターの日本語表記を大幅に変更しております。
総合Lv100や計40の総種族Lv/計60の職業Lvといった大きな枠組み変りませんが、その中身は100年の時間と経験でけっこう変化した……なんて感じで捉えてくれれば嬉しいです。
実際、上記の総Lvは同じでも、転移直後と100年後の今とでは、お骨様状態でもかなり強さも違えば、できることも違いそうですよ?
このお骨様、本人も知らない隠しパラメータとかいかにもありそうだし(笑