21 テンカ 一瞬で、それはわたしであると解った。 艶やかなロングの黒髪も卵型の顔も僅かに隆起した胸も、その全てがわたしのものだった。 目の前で、薄く瞼を閉じたまま眠っているのはわたしで、今それを眺めているのは、きっとこの体から抜け出た魂のようなものなのだろう。 正確に表現するなら、わたしの意識を超能力でスキャンして量子データ化したプラズマ体だ。 やっと、見つけたんだ。そっとその頬を触れると、電流が流れたように魂が痙攣した。 そしてその魂は本来の体の中へと、吸い込まれるように溶け合うように同化していく。 その中で様々な、映像や感情の奔流が流れ込んできた。 これは、きっとアマガミ村で目を覚ますまでの記憶……。 ポロポロと堰を切ったかのように涙があふれてきた。 ずっと探し続けてきたもの。 わたしの失われた記憶。 わたしはここにいたーー
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