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うっかり、暗黒王のおはします世界に異世界転生してしまった!?(月夜 涙)

テンカ

12 「黒金の壁の外の世界」に一歩足を踏み入れると、そこは遠目にも感じていたように「黒金壁の中の世界」と、風景そのものはそれほど変わらなかった。 しかし、見た目は同じでも、その空気感というか、雰囲気が決定的に異なっていた。 空気と光と音と匂いがどこか少しずつ、いつもと違っている。 まるで自分が別の入れ物に入れられているような感じだ。世界を走るレールが分岐して切り替わり、別の世界線へとやってきたのだ。 自分の体が、まだその新しい世界に馴染んでないのが解る。 そこには、なにかもともと自分と相いれないようなものが存在するというような感じがする。 それから、手の指を順番に動かしてみる。ちゃんと動く。 痛みも、痺れもない。足も動く。呼吸も正常だ。 そして今気づいたが、その目に映る全てのものの「質感」と「質量」が何倍にも膨れ上がり、なぜだかそれらが妙に本物で「リアル」に思える。 わたしは、足元に転がっていた妙に「リアル」なーー少なくともわたしの網膜にいはそう映っている小石を拾おうとしてみる。 しかし、それに触れる事は出来なかった。わたしの掌は、小石を透過した。まるで、透明「「人間」」にでもなったみたいに。   

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