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【芸能・社会】

サザン40周年ツアー熱狂締め 桑田「また帰ってまいります」

2019年6月17日 紙面から

過去最大のツアーを完走し、手を取り合ってファンにあいさつするサザンオールスターズ。左から桑田佳祐、原由子、関口和之、松田弘、野沢秀行=東京ドームで

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 人気ロックバンド「サザンオールスターズ」がデビュー40周年を記念し、初の6大ドームを含む11カ所22公演で55万人を動員した過去最大のツアーが16日、東京ドームでファイナルを迎えた。昨年6月25日の40周年記念日にNHKホールで開催したキックオフライブを皮切りに、企画アルバムの発売や野外フェスへの出演などで花を添え、元号をまたいで記念イヤーを締めくくるツアーでは、40年間の軌跡が詰まった“胸熱”パフォーマンスでファンにたっぷりと恩返しした。

 サザンにとって「おいしい葡萄の旅」ツアー以来4年ぶりとなる東京ドームのステージ。ボーカル桑田佳祐(63)は「壮年JUMP」の歌詞を「全国巡り 今日は千秋楽 お越しくださいまして ありがとう みんなの笑顔に逢いたくて 東京ドームへ 帰ってきたよ」と替えて歌い、ファン5万人の心をわしづかみにした。

 3時間半のステージで披露したのは36曲。「希望の轍」「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」など王道のナンバーから「赤い炎の女」「JAPANEGGE(ジャパネゲエ)」などコアファン向けの楽曲も織り交ぜながら、中盤でバラードの新曲「愛はスローにちょっとずつ」(仮)を披露した。

デビュー曲「勝手にシンドバッド」でファンとお祭り騒ぎするサザンオールスターズ

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 「今回のツアーで、お客さんとともに熟成させていく曲」だそうで、まだ“完全版”ではないためタイトルは仮題となっている。桑田は「チャンスがあれば世に出そうと思っています」とリリースを検討中であることを明かした。

 アンコールでデビュー曲「勝手にシンドバッド」を歌った際はサンバ衣装の女性ダンサーや、巨人の球団マスコット「ジャビット」がステージを彩り、間奏時には「40年間ありがとね」の文字がスクリーンに流れた。同曲は3月30、31日に宮城で開幕したツアー当初は曲目に入っていなかったが、桑田が自身のラジオ番組を通じてファンの声を聞き、根強い要望に応える形で4月13、14日の横浜アリーナ公演から取り入れていた。

 お祭り騒ぎに続き、最後に歌ったのは、36年前に発表した「旅姿六人衆」をアレンジした「旅姿四十周年」。歌詞に「東京ドームで また逢おうね みんな元気で ありがとうね」というメッセージを込め、次なるステージでの再会を約束した。

熱唱する桑田

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 尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」が流れる中、5人は一列になって手を取り合い、何度もファンへ感謝を伝えた。桑田は「41年目もよろしくお願いします。スタンド、アリーナ、ありがとう!! サザンオールスターズ、また帰ってまいります!!」とシャウトした。キーボードの原由子(62)が「還暦過ぎても、バンド女子頑張っています!」とあいさつしたように、令和の時代もサザンは新たな歴史を作り上げていく-。 (江川悠)

<記者の目>楽しみながらも原点に

 「いとしのエリー」も「真夏の果実」もやらなかった。40周年のアニバーサリーライブは、アップテンポの曲を中心に並べた新旧自在のプログラム。いつの頃からかレギュラーといってよいストリングスを今回は編成せず、原点のバンドらしさを感じさせた。

 「赤い炎の女」「古戦場で濡れん坊は昭和のHero」など渋めの選曲もあれば、「当って砕けろ」「DJ・コービーの伝説」など初期の作品でオールドファンの心をキュンとさせた。

 が、勢いで押しまくったデビュー当時からは、格段にレベルアップした演奏、スケール感に、あらためて偉大なバンドに成長した年月を感じさせた。

 お約束の桑田佳祐の“ヅラ”は、本編最後に登場したが、ホースを抱えての放水はなし。それでも随所に小ネタを仕込んで、3世代が珍しくなくなった55万人のファンを惜しみなく楽しませた。

 単に区切りのお祭りにするのではなく、メンバーが楽しみながらバンドの原点を思い起こそうとしたかのようなツアー。そこには、次へと向かう覚悟がこもっていたように思う。モンスターバンドの進化は、留まることを知らない。 (本庄雅之)

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