@chablis777
シャブリ

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(井戸原)君にアニメーターとしての可能性があることだけは誰もが認めざるをえない。(仲)合格だ。
(麻子)じゃ 頑張んなさいよ。(下山)ようこそ 動画の世界へ!
なつは 晴れてアニメーターになりました。
信さん!
見つかったの?(信哉)うん。
(咲太郎)よし…8月15日 会いに行こう。
なつと咲太郎は12年前に別れた妹 千遥を訪ねました。
千遥?
千遥か?千遥なの?
(幸子)違います。
えっ…。
私は… 違います。
私はってことは… それじゃ 千遥は…?
(幸一)あの… あなた方は?
千遥の家族です。 姉と兄です。
千遥に会いに来たんです…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪「口にする度に泣けるほど憧れて砕かれて」
♪「消えかけた火を胸に抱きたどり着いたコタン」
(鈴の音)
どうぞ。
すみません いきなり来て。
としおばさんはいつ亡くなったんですか?
はい… 2年前に病気で…。
これは 下の娘の幸子です。
幸ちゃんか…。
幸ちゃんは 確か千遥の2つ上だったよね?
今 19です。
千遥が 本当にお世話になって…。
そんで 千遥は 今 どこにいますか?
申し訳ない…。
千遥ちゃんは いないんです。
いないって どういうことですか?
いないんです…。 許して下さい…。
どういうことですか?
千遥は…死んだということですか?
いえ それが…家出をしたんです…。
家出?いつですか!
私が復員して しばらくしてから…21年の夏でした。警察にも届けたんですが手がかりはなくて…。
そんな… そんな前に…。
それならどうして教えてくれなかったんですか!?
(幸一)私は すぐ 千遥ちゃんのいた孤児院に行ったんです。そしたら そこには もう誰もいませんでした。
手紙は?俺の出した手紙があったはずです。
その手紙には ここにいる なつの住んでた北海道の住所が書かれていたはずです。
その手紙は千遥ちゃんが持って出たようです。
千遥が?はい…。
だから… いずれはあなた方に会えるだろうと私たちはいちるの望みを抱いていたんですが…。
千遥は… 私らに会いたくなって家出したんですよね?
私や兄に会いたくて…。
うちの母から 逃げたんだと思います。
えっ?(幸一)幸子。
逃げたって…。どうして?
母が… 千遥ちゃんにきつく当たっていたからだと思います。
(幸子)千遥ちゃんにばかりきつい仕事を言いつけて…食べ物も 私や兄や姉よりも少なく与えて…それで 我慢しきれなくなって千遥ちゃんは逃げ出したんだと思います。
おばさんが?
おばさんは そんな人じゃなかった…。
俺は よく覚えてます。
母にとって おばさんは唯一の姉妹みたいな人で…本当は 俺たち家族全員で疎開しようとしてたくらいなんです。
あのころの家内は本当の家内ではなくなっていました。
私が こんな体になって復員して…幸子の上にも 3人の子どもがいて食べ物もなくて 働き手もいなくて…。
だから… 千遥を いじめたんですか?
千遥は… ずっと苦しんでたんですか…。
千遥ちゃんは ずっと笑っていました。
えっ?
だから 私も平気なのかと思って…。
千遥ちゃんは 嫌なことがあっても作り笑いばかり浮かべててそれで 母は余計に イライラしてたみたいで…バカにしてるのかって どなって…。
ごめんなさい… 私たちのせいなんです…。
本当に申し訳ない…。
♪~
なつ…。
♪~
(千遥)サンキュー。
♪~
なんて つらい日だ…。
私は もう そちらには帰れない。
千遥が 今 どうしているのか2人に 何も話してやれない。
この日はなつたち きょうだいにとっても特別な日だったのです。
乾杯。(亜矢美)お祝いしとこ…。
(戸が開く音)
お帰り。お帰り。
(信哉)どうだった?
千遥は 子どもの頃に 家出をしたらしい。
えっ…。子どもの頃に?
大丈夫だよ なつ。
警察に届けたと言ってるし…もし 千遥の身に何か悪いことが起きたんならそういう知らせがとっくにあったはずだよ。
な 信 そう思うだろ?ああ…。
そう… そうねその方が可能性として高いわね。
そういう知らせがないってことは きっとどこかで無事に生きてるってことだわ。
道で暮らす子も 亡くなる子も街に まだ たくさんいた頃だよ…。
それでも 千遥は…どこかで生きてるよ!
そんな奇跡 信じろって言うの?
お兄ちゃんの手紙だって持ってってるんでしょ?
それなのに どして連絡がないの!
千遥は 6歳だったんだよ…。
どうやって 一人で生きていくのさ?
一人じゃないかもしれないだろ。
俺やお前も 一人じゃなかった。
だから生きられた。
俺たちが生きられたのだって奇跡だろう。
私は… 何も知らないまま今まで生きてた…。
千遥の悲しみや絶望を知らないまま…幸せに…。
千遥を見捨てたのに…。
なつ!なっちゃん…。そんなふうに考えちゃダメ。
お兄ちゃん… 奇跡なんてないんだわ。
♪~
(富士子)「なつ二十歳の誕生日 おめでとう。東京へ行って 1年半だね。仕事には 少し慣れたかい?なつのことだからきっと 夢中で頑張ってるんだろうね。二十歳の記念に 万年筆を贈ります。父さんと選びました。たまには 手紙書いてね。みんな喜びます。 母より」。
♪~
千遥…。
ごめんね…。
なつよ 二十歳の誕生日 おめでとう。
どうか その夢が その道がいつまでも続きますように…。


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