骨と吸血鬼兄弟   作:大三元
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二十七話 ハーフエルフと吸血鬼兄弟2

 

絶死絶命は瓦礫の中心で立ち尽くしていた、つい先刻までの闘争が嘘のような静けさの中で…

彼女は一時死を覚悟した、今まで自分より強い者は居ない、もし居たとして自分に勝てればその子を身ごもってもいいと考えていた、だがそんな事すら思わせない絶対的強者が現れたからだ。その者、いやその者達は今倒れている、死んでいるのか死んでいないのかなんて今はどうでもいい… 絶死絶命ただただ立ち尽くしていた………

 

 

 

 

 

 

 

同時刻ナザリック地下大墳墓内は未曾有の大混乱に陥っていた、きっかけは各守護者達とモモンガの前に現れたメッセージだ。

内容は【やっほ~、バレンタイン兄弟だよぉ~このメッセージ見てるって事は僕ちゃん達大変な事になってるんだぁ、予定ではスレイン法国を裏から牛耳ってるはずだったんだけど無理だった様だねぇ。って事で後は頼んだ! P.S.勝手に出てったのはごめんねぇ~敵を欺く前に、まず味方からって言うでしょ?】っという内容だ。

このメッセージを読んだモモンガ含めこの事を知らなかった守護者達は安堵し歓喜した、自分達を裏切ってはいなかった事、お隠れになった訳じゃなかった事を、しかし内容を再び確認して皆は大混乱に陥ったのだ。

 

 

 

モモンガは各階層守護者を自室に呼んだ、皆このメッセージの事は知っている、モモンガは皆に声をかけた。

 

「皆に集まってもらったのは他でもない、あの馬鹿兄弟がまたやらかした様だ。すまないが私は救出に向かう、それで万全を期して向かいたい、皆付いて来てくれるか?」

 

集まった皆は頷き答えた、そこから皆の行動は早かった、準備を整えると再びモモンガの元に集まった。それを確認したモモンガは幾つものスクロールを発動させたのだった。

 

「これよりバレンタイン兄弟救出作戦を開始する、皆… 行くぞッ!」

 

皆の表情を確認してモモンガは発言した、そしてゲートを発動したのだった。

モモンガ御一行がゲートから出るとそこは瓦礫の山だった、この惨状を見て皆不安になったのだが次の瞬間その不安は消えて無くなった。

 

「ソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッ!」

 

「ハイッハイッハイッハイッ!」

 

兄弟がリズミカルにハーフエルフを持ち上げたり振り回したりしている、この光景を見て皆は力が抜けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

メッセージが表示された数分後スレイン法国の戦場では相変わらず絶死絶命が立ち尽くしていた、これからどうしたらいいかを考えながら。ふと倒れている兄弟に目をやると居たはずの場所に居ない、辺りを見回しても居ない、不思議に思いながらも神の事だ何があってもおかしくはないと考えていた時上から声が聞こえた。

 

「いやぁ危なかった、パンドラにアイテムを起動させといてよかったな」

 

「本当だぜぇ、…あっ もしかしたらあのメッセージ流れてるかも………」

 

パンドラ? アイテム? メッセージ? 絶死絶命は訳が分からず二人を見上げる、もう自分には戦えるだけの体力も気力も残ってはいない、もうどうにでもなれ状態だ。ボーっと見ていると二人が近づいてきた。

 

「…まだやるかい?」

 

ルークが話しかけてくる、絶死絶命は首を横に振った。

 

「だろうなぁ、じゃあ遊ぶか」

 

ヤンがそういうと兄弟は絶死絶命で遊び始めた。

 

 

 

 

 

 

兄弟とモモンガの目が合う、兄弟は絶死絶命をその場に立たせると苦笑いしそろりそろりと逃げ出そうとする。モモンガはやれやれとため息をはくと二人に向かって話し始めた。

 

「おい馬鹿兄弟、どこに行くつもりだ?」

 

その声はアインズの時の声だ、絶望のオーラ1って感じ。兄弟は直ぐにその場で正座をした。その至高の御方々の姿を見た守護者達は涙を流し見守った、いつもと変わらない御方々を。

 

 

 

 



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