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2019-06-16

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「ほぼ日」がスタートして、すぐにTシャツをつくった。
 最初の最初につくったのは、1枚だけだった。
 急に「笑っていいとも!」に出演することになって、
 「最近はどうしてるの?」と質問されるから、
 「インターネットの新聞みたいなことをやってます」
 と言わなきゃならないし、言いたいしということで、
 じぶんで着る分だけつくった。
 だから、これはもう一点ものの衣装だった。
 その現物は、いまどこにあるのかと問われても、困る。
 明言しよう。ただの一枚のTシャツとして、
 他のTシャツと同じように捨てられている。

 そこから、すぐに、
 草野球チームがユニフォームをつくりたがるように、
 関係者が着るスタッフTシャツをつくった。
 もともとは、お中元やお歳暮という
 盆暮れの慣習の残っている時代に、
 「東京糸井重里事務所」では、
 Tシャツやらポロシャツをつくっていたので、
 そっちのほうは慣れていたし、好きなことだった。
 あいつも、あいつにも、あの人にも、と数えていくと、
 ともだちの多い新郎新婦の結婚式みたいなもので、
 ずいぶんとたくさんつくることになる。
 その相談をしているときに、「金ちゃん」が、
 「これ読者に売ったらどうでしょうねぇ」と、
 やや遠慮がちに言った。
 「たいして売れないよぅ。めんどくさいし」と、
 あんまり考えもせずに、ぼくは言ったのだけれど、
 話しているうちに、ぼくの「めんどくさいし」が消えた。
 ただただ赤字でやってきている「ほぼ日」に、
 焼け石に水みたいなものでも「売上げ」が入るかどうか、
 やってみなきゃわからないじゃないか、と。
 ダメだったら笑って「魚亀」で打ち上げをしよう。
 というようなことで、いざやってみたら、
 たしか1,800枚だったか、買ってもらえた。
 びっくりしたさ、もう。
 ぼくらが思っている以上に、
 「ほぼ日」はおもしろがられているということを、
 どんな人が言うよりも、Tシャツが教えてくれた。
 Tシャツが、ぼくらを生き延びさせてくれたのだった。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ほぼ日ロゴのTシャツをつくろうかなと思って、考え中。


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