相模川そばの海老名市河原口周辺で約3カ月にわたってクジャク1羽がすみ着き、付近の住宅では軒先にふんを落とされたり、家庭菜園が荒らされるなどの被害が出ている。ペットとして飼われていたものとみられる。連絡を受けた海老名市は捕獲を試みてきたが、成功していない。同時に捕獲できた後に、飼い主が現れない場合の引き取り先を探すなど、対応に苦慮している。
クジャクは雌のインドクジャクで体長約80センチ。扇状の羽冠(うかん)があり、全体的には茶色で頸(くび)の一部が鮮やかな濃青色をしている。
地元の女性によると、クジャクは今年9月中旬ごろから姿を見せ、ほとんど毎日、女性宅の庭先に現れる。午前中は周辺を散歩し、午後に戻ってきて、夕方になると隣家の屋根の陰で眠っているという。
女性は「軒先にふんを落とされ、困っている。近くの家では庭の菜園の作物が荒らされ、ネットを張っている」と困惑した様子。ただ、今のところ大きな鳴き声を上げたり、人に直接、危害を加えることはないという。
地元住民から連絡を受けた海老名市農政課はこれまで現地を調査し、何度か捕獲を試みたが失敗。同課は「このまま、放置しておくわけにはいかないが、人に危害を加えているわけではない」と説明。捕獲して、飼い主が見つからないことも想定して、市内の学校などに問い合わせ、引取先を探しているが、これまでのところ見つかっていないという。
捕獲後は、警察に拾得物として届けられ、引き取り手が見つからない場合、クジャクは殺処分される。
野生動物の救護などにあたる県自然環境保全センター(厚木市七沢)の加藤千晴獣医師は「おそらく、誰かが購買したものの、飼えずに捨てたのではないか」と推測。その上で、「希少種でもなく、鳥インフルエンザの発生などで、動物園でも引き取りにくいだろう」と話す。
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