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【放送芸能】

教え子との“絆” “情熱”呼び覚ます 映画「泣くな赤鬼」あす公開

主演・堤真一

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 人気作家、重松清の小説が原作の映画「泣くな赤鬼」(兼重淳監督)が十四日、公開される。高校教師と余命半年の元生徒との絆を描く感動作。主役の高校教師を演じた堤真一は「単なるいい話にしたくはなかった。(元生徒役の)柳楽(やぎら)優弥君のすごい演技に反応していいシーンが撮れた」と振り返る。 (竹島勇)

 堤が演じたのは、甲子園を目指した野球強豪校の監督だった小渕隆。熱血指導と日に焼けた風貌から「赤鬼先生」と呼ばれたが、今は弱小校の顧問となり野球への情熱を失いかけていた。柳楽は強豪校時代、小渕の期待に応えられず逃げるように退学したゴルゴこと斎藤智之役。二人は十年ぶりに偶然再会、小渕は死期迫る教え子に向き合う…。

 小渕には、ゴルゴを挫折から救えなかった苦い思いがあった。「ゴルゴの最期の日々、自分への純粋な思いを改めて知ることで教師としての情熱を取り戻す。かつて見捨ててしまった生徒から新たな生き方を気づかせてもらう」と眼目を語る。

 クライマックスはお互いのわだかまりが消えた後、ゴルゴをみとるシーン。堤と兼重監督の話し合いで、どんな演技をするかは堤に任された。堤は事前に演技プランを固めず、その時に決めるつもりでいた。兼重監督はリハーサルをせず、いきなり本番に。柳楽とも事前に細かい打ち合わせはせず臨んだという。「柳楽君の死んでいく芝居がすごくて…。彼の演技が僕の演技を引き出した」と明かす。柳楽について「どんな役でもその核をつかむのが早く、その後は躊躇(ちゅうちょ)がない。天才的だと思う」。

ゴルゴこと斎藤智之(柳楽優弥)(左)と小渕隆(堤真一)

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 ゴルゴの妻役は元AKB48の川栄李奈。堤は「自分の役の悲劇性だけでなく、家族の一人としての芝居ができていた」とたたえたが「アイドルだったんですってね。知らなくてずっと女優さんやってた方かと思ってた」と笑った。麻生祐未、キムラ緑子、竜星涼らが共演。

川栄李奈(右)とキムラ緑子

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 「役者堤」にとって、師と仰ぐ存在とは。英国人舞台演出家で世界的に活躍するデヴィッド・ルヴォーを挙げた。「双頭の鷲(わし)」(一九九〇年)や「人形の家」(二〇〇八年)で演出を受けた。「『せりふはおまえの役を説明するものじゃない。相手役の感情を変えるためだ』とたたき込まれた。どの作品に出ていても『デヴィッドに見られて恥ずかしくない演技をしているか』と心で問うています」

 

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