東芝メモリが開発する無線LAN搭載SDメモリーカード「FlashAir」の、開発者向けサイト「FlashAir Developers」が9月17日に閉鎖することが、同サイト上でこのほど発表された。製品自体については「今も生産・販売を続けている」(同社)としている。
FlashAirはカメラに挿入することで、ワイヤレス機能を搭載しないカメラでもスマートフォンなどに撮影データを転送できるのが特徴だ。プログラミング言語「Lua」で機能をカスタマイズできるなど、開発者向け機能も搭載している。しかし、「開発者向け機能を活用する方々の規模が、想定に届かなかった」(同社)ため、開発者向けサイトの閉鎖を決めた。
東芝メモリは今年5月にも、FlashAirとクラウドをつなぐIoT支援サービス「FlashAir IoT Hub」のサービスを7月31日に終了することを発表していた。
FlashAirの製品は17年発売の「FlashAir W-04」シリーズが最新で、以降新製品は発売されていない。
FlashAirと同様に無線LAN機能を内蔵し、カメラにワイヤレス転送機能を付加するSDメモリーカード「Eye-Fi」は、2008年から日本で販売が始まったものの、開発する米Eye-Fiが事業を売却し、16年に会社は解散。東芝メモリは同社とライセンス契約を締結し、Eye-Fiの一部機能をFlashAir W-04シリーズに搭載している。
Eye-Fi(08年発売)やFlashAir(11年発売)の登場時期はスマートフォン黎明期に重なっている。スマートフォンの普及とともにSNSの利用者も伸び、写真共有のリアルタイム性が重要視され始めていた。Eye-Fi社のジェフ・ホロブ社長は08年当時、「“新鮮”な写真は家族や友人に喜んでもらえる」と述べていた。まだまだワイヤレス機能を搭載していないデジタルカメラが多い中、無線LAN搭載SDメモリーカードはPCやスマートフォンへの撮影データ転送に重宝された。
しかし時を経るにつれ、Wi-FiやBluetoothによる無線通信機能を内蔵するカメラも増えた。
スマートフォンカメラの高画質化が進み、デジタルカメラもスマホの勢いに負けないよう多機能化が進む中、FlashAirが再び立ち位置を見つけるのは難しそうだ。
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