その1哲学青年との出会いその3異次元?

2019年03月13日

その2ガラスのような青年

 まるで江戸川乱歩のような事件。芸術的な事件。


  シュタイナー哲学の喧嘩がキッカケで哲学青年と私は文学友達になった。哲学青年は夢中で私に文学や哲学、歴史や宗教学、美術論を語った。彼の瞳は夢を語る少年のようにキラキラと輝いていた。私は彼の話を聞いていた。彼と会う日は決まって毎週水曜日のカフェの聖書研究会の前の夜だった。


 私は語る彼の前で痛みが胸に刺した。恋の痛みだった。しかしその痛みのことは黙っていた。哲学青年は美しい。その美貌がまるで尖ったガラスのように私の胸に突き刺さる。だけど私は平静を装った。どう見てもかれは30歳前の青年だ。これだけ利発で美しければ私より若く可愛い恋人がいるであろう。私はただの友達なのだ。しかも私はクリスチャンで離婚歴もある。恋をしてはならない。彼と語る時間のみを感謝しよう。この恋は私だけの秘密。片思い。せめて聖書研究会の祈りの時間で彼の幸せをこっそり祈ろう。


 じつは哲学青年も私に恋をしていた。私がカフェで開かれている毎週水曜日の聖書研究会の夜に必ず来ることを、哲学青年は知っていた。でも私が恋をするまいと心に誓い、彼から一歩下がってコミュニケーションをとっていた。私は淡い恋をひっそりと隠していた。叶う恋でないからこそ、彼をそっとして、話だけ聞いていた。私は彼の想いには全く気が付いていなかった。彼を愛していたからこそ、恋を隠した。彼の幸せだけを祈っていた。だけど、祈るたびに胸に鋭い痛みがはしった。それでも私は痛みに耐えて宣教師たちによる聖書の勉強をした。私は神に仕えるために生きている。恋は罪なのだと牧師に習った。



gomafujin at 13:36│Comments(0)有る事件の告白 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
その1哲学青年との出会いその3異次元?