2019年03月23日
その9最後の壁崩れる
哲学青年の恋の持久戦は凄まじいものだった。今思えばよく都心の会社から5時に退社して6時のカフェにいるな、と思います。とにかく会いまくります。鈍感な私でもおかしいな?と薄々感じました。
それでも私は友達を貫いた。友達を貫けた。なぜなら哲学青年との年の開きがあったから。哲学青年、きっと年下だろうな。
ある日、そう2016年6月、カフェのマダム、私、哲学青年との3人になった。そのとき年齢が話題になった。カフェのマダムは私より一つ年上、哲学青年も自分の年齢を語る。その瞬間私は怖かった。
なんと哲学青年、私より年上でした!私が昭和54年、哲学青年は昭和52年!うそ!そんな美少年のような容姿で私より年上!せっかく年下だろうと思って保った私の最後の建前が崩れた。
じゃあ、彼を思ってもいいの?この時点で私、恋モードになりましたね。更に哲学青年追い打ちをかける。次に会ったら哲学青年は私にプレゼントを用意していた。聖水のはいった装飾がほどこされた小瓶と数本のフラワーエッセンスだった。フラワーエッセンス、聞いたことある人いるかもしれない。花のエネルギーを水に移したもの、というもの。哲学青年は私の薬を飲む姿を見て、君は身体弱いから僕からのプレゼントと言って渡された。
哲学青年はもっともっととどめを刺す。哲学青年、慶応義塾大学出身です。もともとカフェのなかで天才と呼ばれた人だしね。
この状態でまだ友達です……。しかしここまで徹底的に恋の攻撃されて私、ボロボロでした。恋をするまいと2年間も思っていたのに……。密かに好きだった男性にこうもされたらもう、ダメですよ……。
聖水とフラワーエッセンスをプレゼントしてもらったとき、不思議なことがあった。哲学青年と私が会話したとき、互いの指が触れた。そのときだった。彼と私の接触した指から火花が散った!バチッという音をたてて本当に花火のような火花が散った!こればかりは哲学青年も私も純粋に驚きました。湿った季節の6月なのに火花?
このあたりから私が哲学青年に会いにいきました。哲学青年は毎週土曜日カフェにいる人と判明。これが早くわかっていたら恋の流れも若干早かったに違いない。
既に恋の霧に迷い込んだ私、だけど哲学青年の本名はまだ知らなかった。事件まであと2か月なかった。