その11告白その13情報操作?

2019年03月29日

その12初デート

 2016年7月、真夏の暑い日だった。私は昔ロサンゼルスのサンタモニカで買った白いレースのドレスに同じ店で買った白い麦わら帽子、胸にはグリーンガーネットのペンダントをした。哲学青年は真夏なのに涼し気に漆黒のスーツを纏っていた。もともと討論友達なので会話は困らない。私と哲学青年は上野に出向いた。


 真夏の上野公園は濃い緑の葉が生い茂っていた。だけど、なんだかみんな私たちをジロジロと見る。私が白いドレス、哲学青年は黒のスーツ姿なので目立つのかなあ……。特に哲学青年は細身の長身で、髪の毛の色が茶色で眼は金色、哲学青年の容姿ってビジュアル系みたいだものね。私も派手な格好でまるでカップルがコスプレしているように見えたのかもしれない。


 哲学青年は古代ギリシャ哲学が大好きで、特にアレキサンダー大王に憧れを持っていた。アレキサンダー大王はペルシアの姫と結婚したと哲学青年は私に説明する。君はそのペルシアの姫のようだ。


 哲学青年は最後の最後までロマンチストだった。これ以後私のあだ名はペルシアの姫になる。そんなこと言われてこっちが恥ずかしい。でも哲学青年、眼をキラキラさせて私をペルシアの姫と真顔でいう!このひと真剣にペルシアの姫っていう!どうしよう!


 もうこの時点で哲学青年は恋の狂気に突入しているともいえる。


 さて、古代ギリシャ展は面白かった。いろんなの見るたびにいつもの討論が始まって、しゃべりすぎてあるご婦人に睨まれました。カフェでも会話を楽しんだけど、こう外出して哲学青年と話すと会話が止まらない!哲学青年はプラトンの「饗宴」が大好きで、次回説明してくれる約束をした。


 食事は上野の洋食屋の精養軒にした。私は男性におごられる機会が多いので、美味しくて少し洒落ていてかつ適正値段のレストランを選ぶ。私は食後口紅を直し、薬を飲んだ。薬を飲むとおしゃべりな哲学青年が急に黙る。


 そうしてあちこち寄り道しながら帰りの電車に乗った。私は家の近くの坂で哲学青年と別れようとした。そのときだった。哲学青年の手は私の手を強く握った。哲学青年の金色の眼は炎のようだった。


 「どうか真剣に考えてほしい。」


 その言葉を発する哲学青年は別人だった。細身で長身で子ども時代女装させられた哲学青年が、熱い男性の手で私の手を少し強引に握る!その情熱が少し怖く、私は目を伏せた。そして挨拶して急いで家に帰った。


 ……このことを書くと、何だかロマンティックな恋ですよね……。3年経っても私が忘れられない理由は哲学青年が本当にロマンチストな男性だったからだ。デート後私を真顔でペルシアの姫って呼ぶのですよ!どこの漫画?今回の内容はここまでにします。



gomafujin at 21:10│Comments(0)有る事件の告白 

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