2019年04月14日
その20合鍵
こうして私は父と避暑旅行をすることになった。旅行中父は私に哲学青年との交際について質問した。せっかくのホテルのフレンチ料理の味が台無しになりそうだった。それとフクロウの博物館に行って私は哲学青年とのお揃いのキーホルダーを買った。キーホルダーは縁起物の鳥の羽がガラスの中に入っていた。哲学青年はスピリチュアル系が好きだと知っているから選び買った。
避暑旅行から帰ったら哲学青年が約束の場所で待っていた。私は哲学青年にキーホルダーを渡した。哲学青年は私にアパートの合鍵を渡した。私が数日間居ないだけで哲学青年は寂しかったのだろう。それにしても付き合って一か月も経っていないで他人に合鍵を渡す?まあいいか、私は哲学青年の家の鍵と私の合鍵に同じキーホルダーを付けた。
こう、少し付き合うようになってから哲学青年の恋の情熱には、私も驚いた。私の恋は友達の延長線の感覚だった。ただ、哲学青年ともっと話せることに期待した。哲学青年は確かにステキな男性だった。だけど、彼の心の底は見えない。合鍵のおかげで私は彼のアパートに自由に行けるようになった。ある日哲学青年にベッドを買うことを勧めた。通販で選び、一週間で届くようにした。
私の家と哲学青年のアパートは歩いて15分の距離。私は自宅アトリエの仕事が終わると合鍵で哲学青年の部屋に入り、掃除をした。哲学青年の部屋は物は少ないが埃だらけ!それでも恋人の部屋の掃除は楽しい。
ところでそんな無防備で大丈夫?との質問がありそうだ。哲学青年は合鍵渡すし、私は彼の部屋の掃除をするし、長年友人だったので互いに信頼した。哲学青年も配慮して私にキスをして抱きしめる程度、無理強いは決してしない。私と哲学青年は溶け合うような仲だった。恋とはなんと恐ろしい魔力を持っている。そういえば哲学青年は魔術をやる人だったね……。