2019年05月05日
その23薬は毒?後編
八王子駅はここから大分距離がある。しかし私と哲学青年は電車に揺られながらギリシャ哲学の話に白熱していた。八王子駅に着いて、私はアザラシ専門店に行きたいと哲学青年に行った。哲学青年も古本屋に寄りたいと言う。時間に余裕があるので、両方行くことになった。哲学青年はふわふわのアザラシの赤ちゃんのぬいぐるみが苦手だった。前に哲学青年がチェブラーシカ怖いの話を聞いたことがある。哲学青年、可愛いものが苦手?
次には哲学青年が愛する古本屋。確かにいい本が置いてある。だけど、何故か昭和のSMのグロテスクな本まである。さすがの私も目を背けた。私は人道的な愛情の延長線のエロが好きでも、グロはダメ。哲学青年はSM好き?まさか……。だけどそれっぽい言動はときどきある。私に対して妙に紳士的なのも気になる。
病院の時間だった。魔術師の医者の診察が始まった。私が魔術師の医者に薬の副作用の話をしたら、哲学青年も含めて二人共口をそろえて薬を飲むな!と言った。しかも魔術師の医者は私の父のことも知っていた。私の父は医療系の学者で検索すると写真が出てくる。何、検索すると出てくる!?そんなにも偉い人?いいえ、学者は半分タレント業なので、検索すると自動的に出てくる仕組みになっています。しかし魔術師の医者も哲学青年も、私の父についてそういう勘違いをしてしまったのだ。
私の診察が終わってから哲学青年も診察していた。魔術師の医者と哲学青年はチェルノブイリ型心臓の話をしていた。チェルノブイリ型心臓って一体何?私には500の悪霊がいて哲学青年には800の悪霊がいて、患者の中には10万の悪霊がいる???よくわからない……。病院の帰り、哲学青年はこう言った。僕の部屋は魔術師の医者の魔力の結界がはってある。だからもし君に何か危険なことがあったらいつでも僕の部屋にお出で、だから合鍵を渡したのだ。
今思えば狂気が始まったのだ。哲学青年の狂気の世界が……。そう、この恋には哲学青年の狂気が事件へと展開する。