その31ビニール袋の中身その33哲学青年とマインドコントロール

2019年05月19日

その32そして狂気へ

 哲学青年は言った。一緒に暮らして結婚しよう。私は承諾した。このころ私と家族との間に亀裂が入っていた。もう私を異常者という家族とは暮らせない。私は極力家族との交流を避けた。一方私は哲学青年とのロマンスの文章も書いた。今現在そのロマンスの原稿は紛失した。


 哲学青年が出勤している間、私は不動産屋に物件を探し始めた。近所に信頼できる不動産屋を見つけた。


 ところで、これはおかしいのだ。誰が?私だ。私は哲学青年にマインドコントロールされてしまったのだ。私だけでない。教会もカフェも牧師も全員マインドコントロールされてしまった。全ては哲学青年がおもいのまま支配している。哲学青年は王になりたかった。いまや教会の人々は彼の臣下であり、私は哲学青年の妃に選ばれてしまったのだ。まさに帝国だった。哲学青年は今でいうサイコパスなのかもしれない。


 私と哲学青年はそれまで時々会う友達で、数ヶ月に一回の頻度だった。哲学青年は哲学青年の世界ができて、私は外野なのだ。私は哲学青年の築いた帝国の外の人間だった。哲学青年を恋い慕う女性はたくさんいた。私も恋心有ったが、哲学青年をそっとした。しかし哲学青年の恋の情熱に私は負けてしまったのだ。なんとも甘美な敗北だ。


 このころの私はおかしい状態だった。不動産屋の社長は様子がおかしいことを察した。そう、全てが哲学青年の狂気に呑まれたのだ。当時私は薬を中途半端に飲んでいた。ちゃんと飲んでいたらこの狂気に巻き込まれない。一切飲まなかったらもっと早く体に異常がでた。中途半端な薬の摂取のせいで体には異常は出ず、頭は徐々におかしくなる。


 私は自宅でのアトリエ仕事が終わると哲学青年のアパートに行った。哲学青年のアパートにいると心が落ち着いた。部屋のなかで掃除や英語の勉強をして夕方お風呂に入浴した。入浴が終わると、哲学青年の本を読んだ。「聖娼」も読んだ。


 後日談だが、「聖娼」は私の父の友達が手がけた本だった。ユング心理学と古代メソポタミア文明で繰り広げるロマンスな歴史書だった。「聖娼」は古代のロマンの本だ。逆にそれで本格的な心理学がわかるものではない。あくまで古代のエロティシズムのロマンなのだ。


 哲学青年との思い出を語ると、とてもエロティシズムな関係でしたね!と言われる。言われてみればそうかもしれない。哲学青年は硬派だし、私といつも知的な学問を語る仲だからこそ、なお一層エロティシズムが際立つ。語る学にエロティシズムが散りばめてあった。どんなエロティシズムかというと、図書館の奥で抱き合う男女っていう感じかな?街中で抱き合えばいいものを、図書館で抱き合うほうがエロティシズムだと思う、たとえ話ですが……。




gomafujin at 14:50│Comments(0)有る事件の告白 

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