2019年06月04日
その34哲学青年と琥珀色の眼
「もう君を手放さない。きっと幸せにする。なのに、君は毒を飲ませる家族のもとに戻ろうとする!君はきっと病なのだ。幸せを怖がる病なのだ。僕はそれも治す。八王子の魔術師の医者も君の治療に協力する。」
そういって哲学青年は私を抱きしめる。私は困惑した。私は家族も愛しているし、哲学青年も愛している。当時私の家族と哲学青年の関係はよくなかった。哲学青年のアパートの部屋の買ったばかりのベッドで、哲学青年は私を精一杯愛でる。でも最後の一線は越えない。私は切なかった。哲学青年から愛されることに、破滅を感じた。
哲学青年は混血なので髪の毛は茶色、肌は白く、眼は琥珀色だった。哲学青年の輝く眼には深い暗闇があった。思えば哲学青年とシュタイナー理論で大ゲンカしたときから相思相愛だった。でも私は想いを伝えず恋にするまいと天に誓い、哲学青年の幸せだけを祈った。それが2年間続いた。愛する人だからこそ哲学青年との愛を避けた。哲学青年と友達時代から遠まわしな愛情告白があってもやんわり断っていた。哲学青年の情熱的な愛には闇、それも深い闇があった。
それなのに、哲学青年の求愛に私は負けた。哲学青年に愛されるほどに恋の陶酔と破滅を同時に感じた。私も若くないので過去にも恋遍歴がある。それでも哲学青年の純粋な愛はすさまじかった。私はどうか恋で哲学青年が破滅しないでほしいと願った。これが哲学青年との恋の重要テーマになる。
gomafujin at 12:01│Comments(0)│有る事件の告白