その42お腹空いた……その44静かに貞淑に

2019年06月15日

その43発症

 2016年8月下旬の木曜日だった。哲学青年は私を抱きしめることはすれど、最後の一線は越えていなかった。それには理由があって、私が生理でもないのに出血したからだ。だからその日私は婦人科に行くことにした。これから勤めに出る哲学青年を途中の道まで見送った。8月の下旬、秋風が吹いた。哲学青年と付き合ってから2か月も経っていないが、まるで千年の時を過ごしている感覚だった。


 それはそれで問題の無いはずだった。ところが私の身体から命の薬がとうとう切れてしまった。意識が急に朦朧とした。突然私は妄想にかられた。それは、上手く説明できないけど、この世の終わりが来たような感覚に襲われた。薬が切れたところで私は発狂したのだ。哲学青年は都心に勤めに行ってしまったし、マインドコントロールの魔術のせいで家にも戻れない。


 私は町を彷徨った。気が付いたら婦人科の予約時間が近くなったので電車に乗って病院で検査した。結果異常なし。帰りの電車に乗って町に帰った。発狂しても電車に乗り降りはできた。町に帰った後なんと私は自宅に戻った。おそらくマインドコントロールの魔術が若干解けていた。


 これには理由があって町の不動産屋の社長が私のマインドコントロールの魔術を外してくれたのだ。洗脳解除は完全ではないが、あのとき私は哲学青年に挨拶して自宅に戻ろうかと思った。私は自宅に戻って食事を食べてから、哲学青年のアパートに戻った。ここはややこしい。私の精神は正気とマインドコントロールの魔術が混在しているのだ。


 哲学青年が帰宅して、私は一旦自宅に戻ると言った。哲学青年は真っ青になって魔術を始めた。哲学青年のマインドコントロールの魔術が解けかけていることに気が付いたのだ。


 「君の眼がおかしい!誰がこんなことにした!」


 私はこの質問には答えなかった。まさか町の不動産屋の社長がマインドコントロールの魔術を解いたとは言えなかった。


 「……まあいい。今夜の君はおかしい。一体何があったのか……。僕が本来の君に戻す。君は呪いをかけられたのだ。いいかい、これから僕の言うことに正直に答えるんだ。」


 哲学青年の金色の眼が鋭く光る。哲学青年の問答が始まる。しかしこれはマインドコントロールの魔術なのだ。私はさっきまでのことがわかんなくなった。


 「哲学青年、ごめんなさい。今までの私はどうかしたの?何故私は家に戻ろうとしていたの?」


 「いいや、やっと元の君に戻った。それでいいのだよ。」


 ここは一番怖いシーンだ。なぜならせっかくマインドコントロールの魔術が解けかけていたのに、また強いマインドコントロールの魔術を哲学青年はかけたのだ。


 こうして夜が更け、私と哲学青年は愛し合った。婦人科の医者にも安全の保証はもらった。やっと哲学青年に身も心も全て委ねられる。

 
 しかし、うまくいかなかった。私は5年哲学青年は10年そんなことは無かったのであまり気まずくならなかった。




gomafujin at 11:38│Comments(0)有る事件の告白 

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