◆レスリング全日本選抜選手権・第3日(15日、駒沢体育館)
男子グレコローマンスタイル60キロ級は準決勝まで行われた。16日の決勝戦は、2017年世界選手権59キロ級金メダルの全日本王者・文田健一郎(23)=ミキハウス=、昨年の全日本選手権決勝で文田に敗れた16年リオ五輪59キロ級銀メダルで、18年同級世界代表の太田忍(25)=ALSOK=の対決となった。決勝戦で全日本王者の文田が勝てば2大会ぶり世界切符を獲得。2大会連続の世界代表を狙う太田は、7月6日のプレーオフを含め文田からの2連勝が条件となる。
文田は着実にポイントを重ねる安定感のある攻めを続けて決勝に。初戦で河口清(九州共立大)を12―3で、準決勝は清水早伸(自衛隊)に10―1で圧勝した。天敵の太田を迎撃する文田は「忍先輩に勝って、世界選手権につなげたい。ここで1発で決めて世界選手権で東京五輪の代表権を獲得することが一番の近道。それしか考えていない」と望むところだ。
太田は大技を連発して、2戦連続無失点のフォール勝ち。初戦の2回戦で対戦した藤波諒太郎(専修大)を32秒殺。首を固めてから豪快な反り投げで背中かたマットにたたきつける大技をさく裂させた。
過去の対戦成績は文田の5勝4敗。10度目の対決に向け、太田は会見場に現れて開口一番、「減量があるので短めでお願いします。30分くらいで」とご機嫌そのものだ。
魅力でもある「荒々しさ」を全開に出した“太田節”もあますことなくさく裂させた。
「明日の決勝は間違いなくボコボコにして僕が勝つと思う」
「正直ここ1年で一番調子がいい。自信しかない」
「リオ五輪が終わってから何回日本で負けたことか。それをはらすのは明日とプレーオフで連勝するしかない。3年間屈辱を味わったぶん、明日返してやろうという気持ち」
デンジャラスボーイが、瞳をギラギラと輝かせた。