【芸能・社会】中村雅俊デビュー45周年 明治座で初座長 7・1に4枚組ベスト盤発売2019年6月15日 紙面から
中村雅俊(68)が、デビュー45周年を記念して7月に明治座で初座長公演に臨む。同劇場には約3年ぶりの登場で、本格的時代劇「勝小吉伝~ああ わが人生最良の今日~」(脚本鹿目由紀、脚本・演出鴻上尚史)で沸かせた後、第2部は歌のステージ。俳優と歌手、ともに第一線で活躍してきた道のりを示す初めての2本立て1カ月公演にチャレンジする。 「オレ的にはまだ20年ぐらいしかやってない感じ。40周年とか50周年っていう先輩の話を聞くと、すげえ偉業のように感じてましたけど、一挙にやったっていうより積み重ねなんで、役者も歌手もやってきて、中身の濃い45年だったのかな」 1974年4月、日本テレビ系「われら青春!」で主役デビュー。同年7月に出した挿入歌「ふれあい」がオリコン10週連続1位を記録。同年3月までは「そこらにいる貧乏大学生」だったが、あっという間にスターダムに。以後、仕事の幅を広げてきた。昨年は、NHKの連続テレビ小説「半分、青い」でギターの弾き語りをする粋な祖父役が話題になった。 多忙でもドラマの掛け持ちはせず、マイペースで走り続けてきた。「少しくらい休みがあってもよかったかなというのもあるんですけど、よく働いたな」との言葉に実感がこもる。 今回演じる勝小吉は、江戸城無血開城に力を尽くした幕臣勝海舟の父親。最下層の旗本の家で育ち、剣術には長けていても定職に就かず、けんかっ早く、吉原通いもする。それでも、度胸とおとこ気で町の顔役となっていく破天荒な人物だ。 「お芝居の中で、今日の自分によかったと言える生き方がしたいっていうんですけど、『俺たちの旅』っていうドラマをやった時に、オレは今日一日精いっぱい生きりゃあそれでいいんだよ、みたいなこと言うんですね。どちらも自由人で通じるとこがある。自分は多少違いますけど、オレに合ってるんじゃないかな」 賀来千香子、寺脇康文、田山涼成ら気心の知れたキャストが集まった。稽古初日までに台詞をすべて覚えたほど気合十分だ。毎年のツアーでも楽器を披露するが、今回はサックス、ハーモニカ、ギター、ピアノと盛りだくさんの予定。「オレのライブとか来たことない人に、聴いてもらうだけじゃなくてビジュアルでも見せられたらと思って」とサービスにも心を配る。 デビュー以来リリースしたのは300曲以上。吉田拓郎、小椋佳、松任谷由実、小田和正、桑田佳祐らそうそうたるミュージシャンから曲の提供を受けた。3カ月がかりでオリコン1位になった「心の色」、「恋人も濡れる街角」の時はドラマ「おしん」の雪深いロケ地では電波が届かず、ふもとに下りてテレビの中継で歌い、再び戻って宿で酒盛りしたことなど思い出も多い。 歌手デビュー記念日の7月1日には、4枚組シングルベスト「yes!on the way」を出す。タイトルは「まだ途中」の意味。芝居の立ち回りなど体力的に厳しい面もあるが、よけいに燃えるタイプ。「45周年ということで踏ん張りどこだなと思ってます。中村雅俊のすべてとまでいきませんが、ほとんどを見せられたらいいなと思ってます」。 公演は7月6~31日。 (本庄雅之) ◆7・15はSPライブ公演期間中の7月15日は、スペシャルライブを行う。「ふれあい」などヒット曲の提供を受けたシンガー・ソングライター小椋佳、同世代の歌手仲間の松山千春がゲスト出演。ベテランならではのトークと歌で自ら45周年を祝うステージを見せる。
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