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【ドラニュース】

【龍の背に乗って】セキュリティーが甘ければ、そこを狙われる

2019年6月14日 紙面から

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 ロメロのサヨナラ打が左翼・遠藤の前に落ちたのが、せめてもの救いだった。

 「あれを捕れるとしたら、僕に予知能力がないと無理ですね」。こう答えた遠藤に捕れと言いたいのではない。同点の9回、2死二、三塁。セオリーでは外野手は定位置に守る。だが、あの瞬間、中日の外野手は前進守備を敷いていた。

 「勝負した結果です。こちらの指示です。マルティネスはパワーピッチャーですから、詰まった打球が落ちて終わるっていうのを避けたかったんです。それでフェンス際まで飛ばされるのは仕方ないとの判断です」

 工藤外野守備走塁コーチが、布陣の意図を説明した。マルティネスがパワーピッチャーなら、ロメロはパワーヒッター。前に守れば後ろが空く。定位置とは最も無難なポジショニングという意味でもある。定位置ならカバーできる範囲の飛球はあきらめ、あえて前の打球に重きを置いた。落ちたのはそのさらに前。冒頭に「救い」と書いたのは、たらればの話にならなかったからだ。

 だから納得の負け…。とはとても言えない。中日は申告敬遠3つを含む7四球。オリックスは7四死球。打った、打たれたより前に互いの自滅を拙攻で帳消しにする…。そんな試合だった。井領がバントをすればベースカバーががら空きになり、一気に好機が拡大。3点をもらった。でも失点にはつながらなかったが、ロドリゲスはゴロをまともに捕れず、計4盗塁と好き放題に走られた。ミスをやり合い、9回を終えたときにたまたまリードしていたのがオリックスだった。

 セキュリティーが甘ければ、そこを狙われる。勝ち越しはしたが、このチームが直面する課題は高く、大きい。正直、オリックスで助かった。そして、同じことをオリックスも思っている。舞台は千葉へ。風が吹く。雨も降るかもわからない。隙は見せるものではなく、突くものなのだ。

(渋谷真)

 

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