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【首都圏】ベラルーシの甲状腺検査、現状は チェルノブイリ原発事故で汚染
◆現地医師ら 福島、栃木で講演三十三年前の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故で汚染されたベラルーシ・ブレスト州で、住民らの健康状態を調べ続けている現地の医師ら三人が来日し、福島市や福島県郡山市、獨協医科大(栃木県壬生(みぶ)町)で、地元住民や医療関係者らに講演した。より多くの人たちが甲状腺検査を受けられるようにする移動検診の取り組みなどを紹介した。 (大野孝志) 三人は、州立内分泌診療所のアルツール・グリゴロビッチ所長とウラジミール・シブダ移動検診室長、国立卒後教育医学アカデミーのマキシム・ルシチュク准教授。同州はチェルノブイリ原発から二百キロ以上離れているが、事故当時の風向きの影響で汚染された。 州内では、事故当時四十歳以下だった約七十万人が甲状腺検査の対象で、98%が検査を受けているという。高い受診率を支えている取り組みとして、講演では移動検診を挙げた。
移動検診は一九九七年十月、国際的な援助で始まった。甲状腺が専門の医師と検査機器をワゴン車に乗せ、医療機関から遠い場所を訪問。車内や地元の診療所、学校などで、二〇一八年までの約二十年間に延べ二十五万五千人以上を検査した。住民が仕事などで忙しくても受診でき、その場で検査後の診療や生活の相談にも応じているという。 獨協医科大での講演では「移動検診の費用は相当かかるのではないか」との質問に、シブダ室長が「国費で出ており、受診者の負担は無料」と答えた。 三人は、NPO法人チェルノブイリ医療支援ネットワーク(福岡市)と木村真三・同大准教授(放射線衛生学)が招いた。
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